釣りとベンチとカントリードール キャッツ

「仲良きことは美しきかな。」

「どうしたんですか?お父さん。急にそんな事、言っちゃって。お父さんらしくありませんよ。」

「昔、家のお皿に書かれていた文字を思い出してね。武者小路実篤さんだったかな。この言葉が描かれた食器を、最近めっきり見る事がなくなったなって思って。」

「そう言えばありましたね。でもそれは、とおい昔のお話ね。」

「お母さん。僕たちは、『仲良きことは美しきかな。』って夫婦だったかな?。キミにとって、私は良い夫でいられたかな…。」

「馬鹿な事を言わないで下さい。当たり前ですよ、お父さん。当たり前に決まってるじゃありませんか。安心して下さい。アナタは私にとって、最高のご主人様でしたよ…。アナタ….。お父….。そうですか。眠ってしまいましたか。」

病院の許可を取り、二人で釣りに出掛けた帰り道。幸せというものは、こんな些細な会話の中に存在するものな….。

「てぇ~~~!ストップ!。
ストップですよ、お父さん。何やってんですか?。何やらかしてくれちゃってるんですか!。カントリードールでお人形遊びですか?。これは、売り物でしょ?。遊んじゃ駄目なやつでしょ?。OIDENYAIのおばちゃんからの預かりものでしょ?。ヤバイよマジで。5万パーセント怒られますよ。」

「そうは言うけれど、サヨリちゃん。このカントリードールを見た人の想いなんてぇ~のは、人それぞれなんじゃないかなぁ~。お父さんは、夕陽を二人で眺める老夫婦ってぇ~のを連想したちゃったんだよね。良いよねぇ~夫婦って。うん、本当に良いものです。かくありたい。」

「それはそうですけれども、そうでしょうけれども、否定はしませんけれども。ボクが止めていなければ、お父さん殺してたでしょ?。最後に、『あら、お父さん、眠ってしまったのですか?。今までお疲れ様でした。安らかに眠って下さいね、私も、、、私も、こちらの用事が終わったら、後からそちらへ逝きますからね。あの世で私を待っていて下さいね。』。みたいなオチ作るでしょ?。絶対、ハッピーエンドで終わらせないでしょ?。それはまずい。まずいです!。」

「そっかぁ~。まずいかぁ~。だったら…。」

「酷いよぉ~、マチャ彦。ワタシの服、気づかなかったでしょ?。ホント、信じられないわ~。最悪だよぉ~、マチャ彦、最悪ぅ~。」

「ごめん、ほんと、ごめん。何か…ごめん。」

「ワタシがどんな気持ちでこの服選んだか分かってる?。この服選ぶのに2時間も掛かったんだよ。2時間だよ!。2時間も掛かって、やっと選んだ服なんだよ。それ、全然、気づかなかったでしょ?。何で釣りばっかりして、ワタシの服に気付かなかったの?。この服の感じ、マチャ彦が好きって言ったじゃない!。ホント、マジ信じられないんですけどぉ~。何が『この引きがたまらん。』なのよ。こっちがたまらないわよ。」

「分かってた、最初っから分かってた。その服、似合ってるよ。ホント、今日のキミは綺麗だよ。最高だっ!。」

「そんな事無い!。マチャ彦、ずっと釣りの事ばかり考えていたでしょ?。ワタシの事、見てなかったでしょ?。あーーー、もう、ヤダ。マジ、やめてぇ~って感じだわ。このままじゃ、ワタシ、デート続けられない。こんな服じゃいられな~い。もう、帰る。お家に帰ります。」

「そんな事無いって。これからレストランでお魚料理してもらうでしょ?。予約もしてるし、ねっ、ねっ…..あ~ぁ~、ホント、綺麗だぁ~、美しいぃ~、今のキミは、世界で一番素敵だ!。パーフェクトビューティーだぁ~。」

「もーーーーーーーーーーっ!!!。嘘ばっかりぃ~。でも、ちょっと嬉しいかもぉ~。」

「シャラーーーップ!。
お父さん、これは『お出掛けバカップル』です。Peeping Lifeさんにマジで殴られますよ。ここまでです。これ以上は駄目ですから。やめて下さい。」

「そっかぁ~。駄目かぁ~。マチャ彦、駄目だったかぁ~。」

「駄目です。お父さんの妄想モンスターはこれで終わりです。終了です。ジ・エンドです!。老夫婦が最後死んじゃうとか、平成バカップルとか、もっとマシな事を書かないと、世間様から総攻撃を喰らいますよ。OIDENYAIさんからロケットパンチ的なものも喰らいますよ。もっと、しっかりして下さい!。真面目に考えて下さい。」

「ベンチに腰掛け、今日の出来事を楽しく語らう二人。楽しかった釣りの話、学校の話、そして将来の話。真っ赤な夕陽の光に包まれて、何だか良い感じな二人。このまま時が止まってしまえば、どれだけ幸せだっただろう。今から222秒後、二人は、時空と空間を超えた壮絶な戦に巻き込まれる事も知らずに。
次回新番組、『超巨大ロボットにゃんダインZ』。第一話『僕たちのお魚を取り戻せ!』、乞うご期待!。はい、サヨリちゃんCMぅ!。」

「カントリードールのお買い求めは、OIDENYAIですニャ!。しまった、釣られたっ!。」

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