今さらだけれど『きみの読書感想文』は、アニキからもらった本の感想を、きみとオタに語らせるつもりで書き始めた。きちんと本を読んでいますよ……そう、アニキに伝えたい。その想いがスタートだった。天道さんとの打ち合わせの中で、今のカタチになったのも僕なりの落としどころを見つけたからだ(汗)
とはいえ、せっかく小説を読んだのだから、文章のカタチでアニキに伝えたい。その気持ちが強くて、これまで印象に残った作品をブログレビューとして残そうと思う。だって、そうでしょ? 僕たちは、文章を通して絆を深めてきたのだから……。
ひと言で『とわの庭』という作品を表すとすれば、盲目の少女が未来の扉を開く物語。突き詰めればそうなるのだろう。それ以上は語れない。これから書くであろう作品たちにも、同じスタンスを取るだろう。ネタバレ記事の方がアクセスを稼げるけれど、そこに興味を感じないからだ。
とはいえ、リヒトには言いたいことが山ほどあって、「ロバといっしょに井戸に埋めるぞ」と、ちょっと思う。なんなら、貞子の住む古井戸へ(汗)
僕の本棚にある作品の中で、どうして『とわの庭』を選んだかといえば、身近に盲目の人がいたからだ。その人は視力を取り戻したけれど、匂いで色を感じたり、皮膚で季節を感じたり、白い杖で街を歩いたり……その体験談と盲目の少女の描写に似たところがあったからだ。
その人も、食べることが好きな人だった。白いお米が好きと言っていた。口に出しては言えなかったけれど、包丁を使って料理をすると聞いたときは、ちょっと信じられない気持ちになった。その人の言葉を重ねて、『とわの庭』を読んでいた。リアルと創作とが重なれば、引き込まれぬはずもなく、表紙を開いた日に読み終えた。半日もかからなかったと思う。
小川糸さんの文章は読みやすく、その名のとおり、小川のせせらぎのような文章と洗練された美しい描写とが相まって、物語がスーッと頭の中に入ってくる。ホラー的なハードな展開もあったけれど、終盤になると心が豊かになる作品だった。
今は過激な作品が好まれるだろうけれど、僕にはこっちの方が合っている。こんな世知辛い世の中だもの。どんなに醜い試練があったとしても、小説くらいは前向きな気持ちで読み終えたい。そして、前向きな気持ちで読み終えられた。読んでよかったと思った。
知り合いに小説を勧めることは難しい。その人に合うかどうかを見極める必要性があるからだ。「この小説で人生が変わりました!」なんて話を耳にする、その逆も。だからこそ、慎重になって当然だ。それでも、僕のおススメ小説の一冊に『とわの庭』を加えようと思う。
この夏は、すき家の牛丼を用意して『とわの庭』を読み返すことになるのだろう。
魂祭りの風を感じながら……。

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