熱中症対策の水分補給として人気の高いポカリスエット。「スエット」は汗だというのは薄々感じていたのだけれど、「ポカリ」って何だよ?。気になって調べてみると、大塚製薬公式サイトで明確な回答が出されていた。
「ポカリ」は、語感の軽い明るい響きを持つ言葉としてつけたもので、特別な意味はありません。「スエット」は「汗」の意味で、水分やイオン(電解質)の大切さを訴える意味で、身体から目に見えて失われる「汗」を表しています。
大塚製薬 ポカリスエット 「ポカリスエット」のネーミングの由来を教えて下さい より引用
アレだ…いい感じで耳障りが良かったから採用しましたみたいな。どんな美味しくても体に良い飲み物でも、ネーミングひとつで闇に葬られる商品は星の数ほどある。「ポカリ」の音を発見した社員さんは社長賞ものだと思うのです。
1980年(昭和55年)ポカリスエット新発売!
ポカリスエットが新発売された1980年。
山口百恵が引退し松田聖子がデビューを果たす。新時代の幕開けに相応しい新感覚のドリンク。あ〜私のぉ〜恋わあ〜♪で、皆んなアゲアゲ。必然的にポカリブームが一瞬だけ巻き起こる。初代ポカリスエットは水に粉末を混ぜて飲むタイプ。粉末と一緒に専用ボトルも買った。めっちゃカッケー。これ、スクイズボトルってんだよ。今夜は欽ドン見ながらダンシングオールナイトだね〜、もんた。
良い子・悪い子・普通の子を見ながら、ポカリの白い粉を水で溶いて口に含んだよ、親に隠れて。ポカリ知らないオカンが、息子のこんな場面見られたら卒倒するわ、机の上に白い粉って洒落にならん。
それが人生初ポカリ。もうね、ポカリの液体が舌の上で転がった瞬間…「なーーーーーー!」って、ハイスクールララバイとシンクロしてた。このポカリは…激マズ男だった。あ〜、私のぉ〜濃いわ〜♪だった。薄めてもマズ男はギバちゃんにはならなかった。
でも、もしかしたら悪いのは僕かも知れん。自分の味覚が世間と違う可能性だってある。翌日、一緒にスクイズボトルを買ったクラスメイトに意見を求めた。彼は何も語らなかったけれど、ポカリのスクイズボトルを一度も学校に持って来なかった。
まぁ、そういう事なのだろう。
そんな思春期のほろ苦い経験の後、ポカリと僕とは断絶状態。その関係は僕が就職するまで続いた。真夏の現場で大工の親方にキンキンに冷えたポカリをもらった。要らなかった。でも、飲まないも失礼だと思って一気に飲んだ。それが社会人としてのマナーだ。嫌いな野菜を食べる時と同じ要領で飲み干した。
あら、美味しい…。
発売当時とポカリの味が変わった的な噂は聞いていたのだけれど、どこが変わったとか具体的に言えないけれど、こんなに美味しく飲み易くなっていた事に驚いた。よほど僕が美味そうに飲んだように見えたのだろう。親方からのポカリキンキン攻撃がしばらく続いた。
ガッツりと汗をかいた後はポカリスエット。それが当たり前になったのは言うまでもない。あの最初に飲んだポカリスエットは本当に不味かったのか。それともポカリはそのままで、大人の階段を登った僕の味覚が変わってしまった結果なのか。
それは永遠の謎である。
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