すあま(ヤマザキ)

レビュー
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───ヤマザキのすあま。

 かれこれ、一年半ほど。僕はヤマザキの〝すあま〟という和菓子を探していた。スーパー、コンビニ、ドラックストア……ヤマザキ製品がありそうな店に入ると必ず、すあまを探して店内を歩く。本家本元、デイリーヤマザキの看板を見つけると、必ず入店するのだけれど、すあまと出会うことは一度もなかった。

 僕は、どういうわけだか求肥が好きだ。例えるのなら、ロッテの雪見だいふく。アイスを包む皮の部分。アイスはどうでもよくて、もっちりとした皮が好き。どれだけ好きかと言えば、自分で作って食べるほど。それを知った友人が───求肥だけを食べたい時は、代用として“すあま”を買ってました。と、ヤマザキのすあまを教えてくれた。それからずっと、すあまを探し求めて、今日もサヨリは元気です(笑) マルコの〝母をさがして〟くらい頑張ったのだけれど、すあまの〝す〟の字もありゃしない(汗)

 ブログでおねだりを記事に書くのは、とても容易たやすいけれど、安易にそれができない僕である。地道に探したその先で、僕はひとつの結論に達していた。すあまって……高松には、ねーんじゃねーの? ネットで調べてみると、すあまには地域性が存在していて、西日本では、ほとんど見かけることがないのだそうだ。つまり、このオペレーションは……詰みである(汗)

 そんなことを言ったって、何かの拍子に出会うこともあるだろう。そんなヤマザキ黒糖フークレエ探しの感覚で、あっという間に月日が流れた。そんなある日「必要なものがあったら教えてください」その文字が相棒のメールの中にあった。

 これまでも、同じような文面を頂戴したのだが、どうもおねだりが苦手なたちで、たゆたいながら、ずっと黙っていたのだけれど、意を決しておねだり決行───「僕は、ヤマザキのすあまが食べてみたいです!」それは「僕はエヴァンゲリオン初号機パイロット碇シンジです!」くらいの勢いあった。それが相棒への初めてのおねだりとなる。そこまで恥ずかしがることもないのだが、たぶん、女子高生くらいに、モジモジとはにかんだ……と、思う(汗)

「あぁ、ヤマザキのすあまですね」

 その回答があっさりしていて、香川で言うところの

「あぁ、あんもち雑煮ですね」

 くらいのあっさりだった。きっと、あちらではメジャーな食べ物なのだろう。もっと早くに言えばよかった。で、告ってから数日後。すあまと初対面となるのだが、どうみても……すあまの風貌は、板の無いかまぼこだった。パッケージ裏の表示を読めば〝山崎製パン株式会社〟と書いてある。和生菓子なのだから、すあまなのだろう……少なくとも、かまぼこではない。

 パッケージのビニールを剥いで首をひねる。やっぱり……かまぼこ?

 えい、やっ! っと、すあまを指でつまんでかぶりつく。ひと度、かまぼこと認識した脳が、若干バグっていたけれど、そこはかとなく甘くて、まさしくこれは和菓子である。友人の言うとおり、これも僕が好きな味。これが、すあまというやつか! 「どげん? 美味しい? ねぇ、美味しい?」聞こえるはずの無き丸い声に「うん、美味いわぁ~」っと、相槌を打ちながら半分食べた。

 これは……薄く切ったら、もっと美味しくなるんじゃね? 大昔の小僧寿しのトロくらい、薄く切って食べてみた。これだわ、これ。すあまを送ってくれた相棒に、感謝の言葉しか僕は知らない。一年半もの心の中のモヤモヤ。それが、すっきりした瞬間だった(笑)

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