相棒からの本が来た。ボッコちゃん(星新一)と噂(荻原浩)である。星新一先生はショート・ショートの神様で、荻原浩先生は……すんません、はじめまして(汗)
で、どちらから読むかという、究極の二択になるのだが、分厚い噂から読み始めることにした。だって、そうでしょ? ぶ分厚いもの。ゴールまで500ページくらいあるもの。後回しにしたら机の上で、きっと平積みになるだろう……。ならば、とっとと読もうではないか! とはいえこのぶ厚さである。読破まで一ヶ月くらいの覚悟を決めて、今日もサヨリは元気です(笑)
───えっと思わず声が出る衝撃のラスト1行
帯に書かれた言葉が煽る。ホントかよ? 誇大広告じゃねーの? 僕は帯の文字を疑った。本をひっくり返すと、簡単なあらすじが書いてある。この本は、どうやらサイコ・サスペンスらしい……ははははは、こういうジャンル、読んだことない(汗)
圧倒的読書不足な僕である。相棒もサスペンスが小説の肥やしになると思ったのだろう。さっそく本を開くと……死体が転がってなかった。このタイプの小説には〝冒頭で死体を転がせ〟という格言があるらしいのだが、女子高生の噂話から始まった。この感じ……映画のリングと同じ感じだ。え? これって、まさかのホラーなの? そんな気にもなる。
───筆記用具、筆記用具……。
今回は、万年筆とメモ帳の準備をしてから読み始める。その理由は単純である。新たな試みというやつだ。読めない漢字、読めるけど意味を説明できない熟語。それらをメモして、後で調べるためである。これがまた、相棒からこれまで紹介された本よりも、それらの漢字が多かった。哀憐、怜悧、僥倖、諦観、憐憫、逡巡……僕のブログで一度も使ったことなき熟語たち。こんなの、熟語のディズニーパレードじゃないか? なんとなく意味も分かるが、取りあえず意味も調べた。
読んで書いて調べながら続きを読む。去年の僕なら読了まで、ヤマトの旅ほどの時間を要しただろう。どんなにワープしても、イスカンダルまで届かない。こんなんじゃ、スターシアがおばあさんになってしまう(汗) ところがどっこい、波動エンジンで大ワープ! 一週間ほどで読み終えてしまった。まぁ……それが、昨夜だった。
本編を読み終え、僕はしばらく考える……そしてふと、相棒にテレパーシーを飛ばす。
───これは、そういうことで……いいんだよな?
テレバシーを飛ばしたその後で、気になる数カ所を読み返す。正確には三箇所だ。そこで僕は思った。荻原先生……えげつないですなぁ……と。なんつーの? 僕が椅子に座ろうとしたら、荻原先生が僕の後ろで椅子をギュンと引っ張ったみたいな。まぁ、転ぶわな……僕の脳が(汗)
書評の書き方を知らない僕だから、やっぱり何も語れない。こんな僕が言えるのは、予備知識ゼロで読むこと。1ページだとて飛ばさずに読むこと。ラスト100ページを一気に読むこと。これだけで、帯の理由が理解できるでしょう。その後で、作中の何気ない会話の裏側が見えてくるという、一粒で二度美味しい作品だった。二粒目は、ゾッとするほどおぞましいのだけれど(汗)
ついさっき予備知識ゼロと書いた、舌の根の乾かぬうちにだが、ラスト近くで名島慎之介というサッカー好きの保育園児が登場する。セリフは「むむむ……」の一言だけだ。こんなことを思う僕がサイコなのか? この男の子の将来を、作者はサイコパスにするよう仕込んではいないか? そう僕は疑っている……。
小説家は、物語の一部を作品にする。けれど、本に書かれた更に先まで考える。当然のように、本作に登場した人々の数年後、数十年後まで考えているだろう。なぜならば、それは続編への架け橋だから。そうなれば「むむむ……」から想定される慎之介君の未来は……。
まぁ……考察すればする程に、闇深い作品でした(怖) 時代背景がケータイ全盛期が故に、アラフィフから上の世代の方々にオススメします(笑)
本当は、金曜日(小説の日)に記事にしようと思ったネタだけれど、噂を読み終えた報告を相棒にすると、とても嬉しそうだったので、今日の記事に書きました。せめてものお礼の気持ちっす(笑)
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