真夏には、ギュイーンと伸びて木陰で転がり。真冬になるとま~るくなって、ブロック塀の上に座って日向ぼっこ。時には狂ったように背中をアスファルトに擦り付け、絶対に視線を合わせず、何を考えているのかも分からない。未知の存在。それが、僕にとっての猫でした。好きか嫌いかと問われれば、まぁ、飼う気にもなれない存在です。あの縦細い、ヘビのような目が嫌い。
だって、そうでしょ? 呼んでも来ない生き物だもの。そんな僕が十年近くも、猫のお世話しているのですから、人生なんて、先に何が起こるか分かりません(汗)
うちの猫の名前は、サヨリと言います。冒頭のちゅーるを持ったサヨリの画像は、このブログを始めた頃の姿です。今から八年前のサヨリちゃん。当時の僕は、猫について何も知らない人でした。猫に小判、僕に猫。全く猫に興味がなかったからです。猫は鋭い爪で引っ掻くらしいし……。
ブログを開設してから、猫の記事を書きながら、ツイッターを眺めていると、謎のスティックが気になります。それに喰らいつく猫の画像が、ドンドンガンガン流れています。その謎のスティックが、ちゅーるでした───買ってみるか? コマーシャルみたいに食べるかな? それともサヨリは食べないのかな? 子どもにおやつを買うような、そんなぶらり散歩気分で、買って帰ったのが、昨日のように思い出されます。
猫ブームの少し前。当時のYouTubeに、猫動画はそれほどだったと記憶しています。猫の情報も少なくて、ツイッターに流れるツイート。それを参考にしていました。サヨリの足の指が一本足りない! 猫の足の指は四本なのに……今では至極当たり前の知識でさえも、僕にとっては驚きでした。
とはいえ、すっかり成猫になったサヨリです。僕に懐くはずもありません。ちゅーるは、僕からの挨拶代わり。つまり、賄賂……というべきでしょうか? その前は、こっそりスルメを与えていました。家族に凄く怒られました。〝猫にスルメを食わすと耳が落ちる〟あんなに美味そうに食っているのに……。僕とサヨリとの関係は、そんなところからのスタートでした。
猫は飼い主を選ぶと言いますが、僕はサヨリに選ばれてはいません。状況の変化に応じて何となく手を組んだ。その関係に近いでしょう。ちゅーるがなければ、呼んでも来ません。そんなサヨリに変化が起きたのは、冬でした。サヨリは僕のコタツの魔法に落ちたのです(笑) 呼ばなくても膝の上。そんな冬を過ごしました。膝の上が暖かい冬でした。
───猫は三日で恩を忘れる。昔からそう言われています。それはそうなのかもしれません。けれど、八年過ごした時の流れに、四日くらいなら大丈夫? そんな自負さえ持てるようになりました。そして、うちのサヨリは引き寄せの魔法使い。そんな一面を持っています。数限りなく、様々な人や物や事象などまで引き寄せます。もうね、ダイソンの掃除機のようです(笑)
そして、大切な人たちまで引き寄せました。引き寄せてしまいました。友人、相棒、その周りの人たちまでも。ネットで猫の記事や投稿をしている人なんて、それこそ星の数ほど存在します。僕とサヨリが特別なワケでもありません。ただのおっさんと老猫コンビ。それが友人を引き寄せ、相棒を引き寄せ、僕に小説までも書かせているのですから。これほどの吸引力を持った猫なんて、そうそういるものではありません。ある意味で、唯一無二の存在です。恩を売った覚えはないけど、可愛がっていさえすれば、猫の恩返しは確実にあります。
子猫を段ボールの中に入れて捨てる。
そんな話をチョイチョイ耳にします。仕方なくそうすることもあるでしょう。困った末の決断だったのかもしれません。そこには、断腸の思いが……。でも一歩だけ、踏みとどまってほしいのです。僕とサヨリとの出会いのような、それは、成り行きに過ぎなかったことだけれど、猫と共に暮らすのも、今になって振り返れば、とても楽しいものですよ(笑)
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