知らぬが花とは、このことだ(汗)

雑談
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 金曜日、嫌な気分で帰宅した。余計な心配がひとつ増えた。とはいえ、人間関係とか、金の話だとか……そんな、人間臭い話ではない。いうなれば、身に差し迫る危機と呼ぶべきか……それがワンランクアップしたのは確実だった。

 金曜日は夜勤の日。いつものように仕事を終え、いつものように施錠する。そして、これまた、いつものように出入口をチェーンで封鎖するのだけれど、その夜は少し勝手が違った。職場は山の中にあり、月夜の晩は明るいけれど、闇夜の晩には一気に視界が奪われる。数メートル先に貞子がいたとて、それに気づかぬほどの暗がりで、僕は手探りでチェーンを張っていた。チェーンの先の南京錠を取り付け終わると、僕の真横を何かがかすめた。それは、四つ足の何かだった。

 イタチでもなく、タヌキでもなく……漠然と……犬? そんな思考が働いた。暗がりに佇む四足は、シェパードやシベリアンハスキーの成犬サイズに思えた。仮に犬だとて、それはそれで脅威を感じる。僕との戦闘力の差がありすぎだ。犬と判断したのには理由があった。この辺り、夕方になると犬の散歩をよく見かけるからだ。その中には、リードを外す飼い主もいた。これは、これで問題なのだが。

 そう考えれば、僕が犬だと判断したのも、強ちハズレでもなさそうにも思えた。そう……もうすぐ飼い主が、あの四足を追ってくるのだろう。ところが、追ってきたのは自動車だった。そっか、そっか、脱走ですな。ほんの20メートルほど先の、二車線道路の真ん中で、四つ足が振り返る姿勢で立っている。

 コンマ数秒後、僕の横を自動車が通り過ぎる。タクシーだった。思ったのとなんか違う……。タクシーが四つ足の前で停車する。タクシーの運転手が飼い主だとて、なんら不思議なことじゃない。タクシーから運転手が降りて、犬を乗せて走り去る。そんな光景が瞬時に脳裏を過るのも、小説を書いた恩恵だろう。想像豊かなジジイの目が、タクシーの動向を静かに見守る……被検体007くらいのワクワクで。

 ところが、僕の想像とは全く別の未来があった。タクシーは停車を続けている。運転手も微動だとしない。これは一体、何事ぞ? タクシーライトの先の四つ足。僕は、それを目を凝らして凝視すると、そこには、巨大なイノシシの姿があった。

 こりゃ、100キロ級だな……。 

 道路を塞ぐ、イノシシ眺めて我思う。なぁ、イノシシよ。怖ぇ~じゃねぇ~か! どうしちゃって、くれるのさ! 次の夜勤。休めるものなら、嘘でもついて休もうか?

 知らぬが花とは、このことだ(汗)

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