どうして「今日もサヨリは元気です」なのか?。

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今日もサヨリは元気です。
うちの猫の話

――今日もサヨリは元気です。

 いつの頃からか、僕のブログでこのフレーズが定番になった。その一端は愛猫サヨリの高齢化にある。家猫の寿命は十五年。サヨリも年相応に劣いを見せる。その日によって、僕に見せる顔も様々である。調子の良き日、調子が悪き日、ご機嫌さんの日、不機嫌な日、人間と同じだ。

 サヨリは10年も昔に大病を患った。ウィルス性の疾患だった。腹に管を通しながらも一命を取り留めた。けれど、酷い鼻水の症状は残る。

 写真を撮る前、彼の鼻をティッシュで拭き取るのがお約束となった。猫は人のようにチーンと鼻水を飛ばさない。僕の前にキチンと座り、いきなりクシャミで鼻水を飛ばし、意気揚々と僕の膝の上に乗る。

――なにそのプレイ?。

 だから、サヨリの前で食事を取る。そんな、みつばちマーヤの冒険を僕には出来ない。サヨリとの場において、僕にとっての飲食とは危険との隣り合わせであった。つまり、食レポはある意味で緊張状態なのである(汗)。

 4、5年くらい前からだろうか?。鼻水に加えてサヨリの目やにも酷くなる。目を丸くした角度バッチリな写真を撮ってもそれが邪魔をする。残念だけれどボツである。人様にお披露目出来る写真が中々撮れない。その頃から、ブログからサヨリの露出度が減っていった。いつも寝ているものだから、記事に書ける話も少なくなる。

――弱った猫の姿を誰が望む?。

 その頃から、サヨリの露出度は激減し、ブログも別のカタチを模索する。僕は、猫ブログから雑記ブログへと徐々に路線を変更させた。とは言え、ここはサヨリ人気ありきのブログである。「サヨリさん元気?」リアル世界ではあいさつ代わり。ネットでは、SNSやメールを通してそんなメッセージが偶にある。

 写真に撮るのも可愛そうな状態の時は少し困った。だってそうでしょう?、元気だけどお顔がね……。そこで始めたのが、

――今日もサヨリは元気です。

 この一文は良き仕事をしてくれた。毎日書くブログの中で、このフレーズは常連様にも定着した。遠く離れた友人もそのひとりであった。

 ブログを毎日書き続ける事は難しい。あまりの難しさに、ニュースの愚痴でも語り始めようか?。未来予測が不能となった、コロナ禍では特に思った。いわゆるヤケクソ心理がそうさせた。ブログなど割とどうでも良いと思い始めた頃でもあった。

 人の不幸は蜜の味である。自ずとアクセスは爆上がる。記事ネタにも困らない。そして、僕ならきっと、人の心をえぐるような文章に仕上げるだろう。ブラック雉虎がほくそ笑む。

――それは出来ない相談だけれど……。

 日々の出来事を大人しく淡々と。

 その中に差し込む「今日もサヨリは元気です」 昨年のある日、それを入れ忘れた日があった。文脈の中に入れ込む余地がなかった記事だから。いつものフレーズが絶妙に文章のバランスを崩すように思えのだ。だから意図的に外した。

 今日もサヨリは元気です。

 このフレーズを外した日。投稿終了の10分後に友人からのメールが届く。何事ですか?、事件ですか?。毎日のようにメールをくれる友人だったけれど、投稿直後のメールとは穏やかじゃ無い。

 メールの題名は――「サヨリさん、元気?」

 友人は僕の記事を一字一句全て読む。全てを読み考察する。過去記事は全て頭の中に記憶しているらしく、何年も昔に書いた文面を引っ張り出してくる事もしばしばであった。書き手が忘れても、読み手は決して忘れない。それを教えてくれた人である。

 その友人が慌てている。サヨリの身を案じて不安で仕方ない。それが手に取るように分かる。僕はすぐさま返信で事情を説明すると、とんぼ返りで安堵の返事が返ってきた。それ以来、僕は必ず入れるよう肝に銘じた。

 今、サヨリは途轍もなく元気である。食欲もあるし、散歩にも出かける。気を抜けば脱走を試みるほどやんちゃ猫である。ざっくりと十歳くらい若返ったと思うくらいの元気さである。

 とは言え、僕もサヨリも歳は歳。柔軟性が無くなったのだろう。首を掻く後ろ足は届かない。それでも一生懸命に後ろ足で首を掻いている。その姿に、あちら側で友人も目を細めて見ているだろう。

――今日もサヨリは元気です(笑)。

コメント

  1. 今日も雉虎さんとサヨリさんが元気でなによりです(笑)。例えば漫画でもドラマでも、もし、お決まりのセリフを主人公が言わなかったら?。僕も、とても気になります。こちらのブログの主人公は雉虎さんとサヨリさんの二枚看板。ヒーローのいつもの言葉、お決まりのセリフが無かったら「どうしたの?何かあったの?」って、それは心配するでしょう。いつものブログ、いつものセリフ、いつもと同じ、今日もいつもと変わらない、それが幸せ。そういう事、ありますよね。

    • マコトさん、いつもありがとうございます。
      毎日、毎日、決まったフレーズを入れ続けると、それが無いだけで不自然になってしまうのでしょうね。繰り返す幸せ、忘れないようしないと(汗)。

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