「手が冷たいよ、サヨリちゃん。」
「冬ですからね、お父さん。暑いほうが変なんですよ!。」
「手も冷たいけれど、サヨリちゃんも冷たいね。」
「ボクはお父さんの作ってくれたコタツがあるから常夏ですにゃ!。」
「はい!出来たよ、『ねこひねり』三番手の下向き猫。」
「今日は雑ですねぇ~。」
「うるさいわ。」
ねこひねりNO.3下向き猫
「猫が下を向いているにしては哀愁漂ってますね、お父さん。」
「そしゃそうだよ、サヨリちゃん。手が冷たくって冷たくって、お父さんの寂しさが粘土に投影されたんだよ。」
「横から見ると手抜き感が半端ないですよ、お父さん。粘土に割れ目が沢山見えます。」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。後から修正出来るから。さっきなんて、招き猫の頭が取れたよ。ビックリしたけどボンドでくっつけたら直ったよ。」
「石粉粘土って、許容範囲が広いんですね。」
「これで3体目ですね、お父さん。」
「ねこひねりの本には12体の猫があるから、まだまだゴールは遠いよね、サヨリちゃん。」
「夏の方が良かったんじゃないですか?。」
「夏になると、逆に粘土が固まる速度に追われそうだからね。冬で良かったかも知れないって思っているよ、サヨリちゃん。」
「粘土には慣れましたか?、お父さん。」
「ちょっちね~♪。」
「色はいつ塗るの?。」
「粘土が乾いたらいつでもGOだよ。」
「アクリル絵の具は買って来たの?。」
「買って来たよ、サヨリちゃん。」
「筆は?。」
「ちゃんとあるよ。馬の毛で作られた筆だよ。」
「パレットは?。」
「心配症だね、サヨリちゃん。ちゃんと買ってありますって。」
「ところで、ちょっと触って良いですか?。」
「ダメっ!!!!!。」
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