2024-06-19

猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(エモいの使い方)

いつもの屋根で家康はくつろいでいた。この一帯が家康の縄張りであり、見張りをするのに丁度いいのだ。そこのブロック塀の上、高々と尻尾を上げて歩く白い猫───ケイテイか……。家康は、ぼんやりとケイテイの姿を眺めていた。「なぁ、家康ぅ~」 聞いたような声の先に、見たことあるような茶トラがいた……誰だっけ?「馴れなれしいやんか? わけぇ~の。お前、誰だっけ?」 思ってもみない言葉に、信長は驚いた。「ほら、あそこ。白猫の名前を教えてくれたやろ? どんだけ、高齢やっつーたって。二、三日前のことくらい覚えてるやろ? な、そんな目で俺を見るなよぉ~ 家康ぅ~」 信長は寂しげな瞳で家康を見つめた。 二、三日前?…...