2024-07

猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(正解率五十パーセント)

───明日から八月である。 梅雨が明けてからというもの、海の木陰で家康は夏の暑さをしのいでいた。猫カフェでバイトをしたい気持ちもあるが、老猫にお呼びがかかる場面など稀まれである。───平成の猫カフェじゃ、ナンバーワンとうたわれたワシなのにな……年は取りたくないものじゃ。 この数年間、家康は釣人のおこぼれで生計を立てていた。それが、老いた野良猫の末路である。けれど、家康はたくましく生きていた。───そろそろか……。 堤防で釣りをするふたり組。それに的を絞り込む。竿が引いた瞬間、釣人の横に座っておこぼれを待つ。それが家康のオペレーション梟ストリクス。 男女の組み合わせなら、高確率で魚を得られる。男...
レビュー

スイカの初収穫(2024)

月曜日に畑に行くと、割れそうなスイカとプリンスメロンを収穫した。連日の日照り続きで一雨ひとあめ降れば、スイカもメロンも気持ちいいほど割れるだろう。そんな嫌な予感が働いて、今日もサヨリは元気です(笑) カゴにメロンとスイカを入れて、畑から出る瞬間。ゴロリと何かが落ちた音がする。メロンか? 大丈夫、大丈夫。プリンスメロンはナンボでもあるから大丈夫。そんなぶらり散歩気分で、僕は地面に転がる物体を二度見した。 スイカだった……。 こんなのオウンゴールじゃないか! でも、スイカは生きているぅぅぅ! これくらいなら、ぜったい食える! 日向小次郎なら、きっと食う! 僕はレジ袋にスイカを入れて、そのまま事務所...
畑の話

畑が50度超えているのだ……が?

今年は涼しい……七月の頭まで、僕はそう思っていたのだが……なんだよ、こんなの灼熱地獄じゃないか? 生命の危機すら感じてしまう……。ひまわりの花だって、しんどそうにしてるじゃないか。 これって、何度あるんだよ?! 火星かよ? 温度計で気温を計ると、知ってる、それ嘘でしょ? 地表温度が50度にまで達していた。きっと車のボンネットに玉子を落とせば、いい感じの目玉焼きができるのだろう。なにはともあれ、僕は地獄の業火の晒されている。それを認識すると、頭がクラクラして吐き気する(汗) こんなの普通にヤバいって! 畑の野菜は激夏モード。きゅうりも一気に枯れ始め、トマトもそろそろ止まりそうだ。テントウムシモド...
ブログ王スピンオフ

ゆきの部屋

俺が知るゆきの部屋。そこには、女の子の願望が詰まっていた。 まるで、お城の一室である。広い空間に置かれた家具の数々。所狭しと置かれたぬいぐるみと小物たち。そして、巨大なキャットタワーには、可愛らしいジュリアーノ(ゆきの飼い猫)。もちろん寝室は別にある……見たことないけど。女の子なら、誰もが羨ましく思う部屋。それが、ゆきの部屋だった。だがそれは、俺が中学までの記憶である。 ゆきの部屋は、きっと中学時代から進化を遂げているのだろう。なぁ、ゆき。そうだろ? お前のすくすく育った乳のように……。高校入学と同時に、ゆきの胸はアケミが妬むほどの進化を遂げた。 高二の学園祭、コスプレ姿のゆきがいた。「……な...
ショート・ショート

明晰夢(リピーター)

「今日の帰りどうする? 本屋に寄る?」 教室の掃除当番をしながら、足立あだちが俺に声をかけた。いつでもチャンバラ遊びができるよう、足立は箒ほうきを持っている。俺たちは学校帰りに本屋に寄ったり、駄菓子屋に寄ったり、スーパーの屋上に寄ったりと、真っすぐ帰宅しなかった。だって毎日、新たな発見があるからだ。いつだって、新たな発見がそこにはあった。「今日は、用事があっから帰るわ」 あのキタゾエに呼び出しを食らった俺である。それなのに、俺はキタゾエのことをあまり知らない。そこへ足立を連れてはいけない。もしかしたら……上級生に囲まれて、ボコられる可能性だって否めない。リンチなど、俺の中学で珍しいことじゃない...
小説の話

やっぱり、スマホは苦手だわ(汗)

音に敏感な人が世の中にはいて、自然の音しか受け付けない人もいる。絶対音感を持つ人は、音が楽譜になって見えるのだとか……そこまで極端ではないにしても、僕も雑音に弱いタイプ。最近、イラッとするのが通知音である───スマホの。ピン♪ 小さな短い音に集中力を切られてしまう。やっぱり、スマホは苦手だわ(汗) 脅迫の煽り運転が半端ねぇー! これが自分でも面倒だけれど、他人様の通知音にまで反応してしまう。鳴ってもないのに鳴った気がする……これがまさかの依存症? そんな不安も抱いてしまう。小説を考えていると、些細なことでイラッとする。だって、そうでしょ? 「さぁ、書くべ!」そんな、ぶらり気分で書けたら何の苦労...
雑談

2024年版 猫の冷や冷や段ボールハウス

去年まで使っていた、愛猫サヨリの冷房ハウスを処分した。内部スペースが狭く室温が下がりすぎるのだ。僕もだけれど、お年寄りを冷やすのはよくない。少し暑いくらいが丁度いい。僕の暑さへの耐性が強いのか? 事務所の室温はマックス32度くらいである。去年の経験では、マックス35度まで室温が上昇する見込みである。とはいえ、壁面は東向き。午前中よりも室温が上がる心配もない。そして、猫の体温は38~39度。28度を目標に、僕は新たな猫ハウスを考えていた。 これはお役に立ちそうだ……。 六月に猫用のアルミ板をホムセンで二枚買った。一枚、1300円くらいだったと記憶している。事務所に敷いて、手を当てるとアルミの表面...
猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(軽い決断)

梅雨も明けたある日。 縄張りを監視する家康のニャルソックだが、焼けるように熱い瓦の上になんていられない。野良猫のサマータイムの導入だ。日中は海の木陰で涼をとる。海に出たついでに、釣人から魚を分けてもらう。人間なんて、チョロい、チョロい。近づいて、ニャーニャー鳴いてりゃ勘違いを起こす生き物だ。あわよくば、ちゅーるがもらえる特典もある。家康はのんびりと、夏のバカンスを楽しんでいた。「こんなところにおったんか? やっと見つけたぞぉ、家康ぅ!」 木陰で涼む家康に、暑苦しい猫の声。信長が家康に向かって走り寄る。「久しぶりやな、秀吉」「信長じゃ!」 毎回、繰り広げられる茶番にも、そろそろ家康は飽きていた─...
レビュー

畑のプリンスメロンが割れている

今日は、昨日の続きでプリンスメロン。 去年と一昨年のマスクメロンは失敗だった。もうね、マスクメロンに疑心暗鬼。トラウマだ。でもね、一度でいいからメロンを作ってみたいのよ、好きだから(笑) つーことで、今年はプリンスメロンを種から育てた。それが立派に育って、今日もサヨリは元気です(笑) 今現在、実がゴロゴロとなっている。それは、キチンと間引きをしなかった結果だ。だから、実は大きくなれそうもない。糖度も低い気がしている。その代わり、実の数だけはしっかりある。今回は、それでいい。 昨日は割れたスイカの話を書いた。ここだけの話、プリンスメロンも割れていた。元凶は、晴天続きの後の雨。こればかりは仕方ない...
満月だからスイカの話

小玉スイカがやっぱり割れた(汗)

昨日は満月の夜だった。だからスイカの話を書くべきだけれど、スピンオフがお楽しみな読者もいる。だから今日は、一日遅れでスイカの話。畑の話とフュージョンさせよう(笑) 早速さっそくですが、残念なお知らせから。 梅雨の間にスイカが一個割れていた。中身を覗くと真っ白だ。とはいえ、畝うねに植えた苗である。本丸は袋栽培のスイカで、袋で割れた経験はない。つまりそれは想定内で、今日もサヨリは元気です(笑) 梅雨が明けた。スイカは水切り体勢に入った。数日後の収穫を待つだけだった。狙い目は、最初に実をつけたスイカだった。その成長を畑に行く度に確認していた。 今年のスイカは特別だった。ダメ元がカタチになった。だから...
ブログ王スピンオフ

のんとゆいのビデオ通話

地元の美容学校へ通うウチは、定期的にのんちゃんと連絡を取っていた。のんちゃんはガラケー派だけれど、両親が心配するという理由から、大学入学を機にスマホデビューを果たしていた。 のんちゃんは、大切な人だけにスマホ番号を教えるのだと言う。あの容姿なのだ。それくらいで丁度いい。女子大生の身分でスマホとガラケーの二台持ち。人はそれを贅沢だと思うだろう。ところがどっこい、のんちゃんは天下の旅乃琴里である。それくらいの出費なら問題ない。今まで、そうしなかったのが不思議なくらいだ。てか、最も胸を撫で下ろしたのは、出版社の人だろう。なんてったって、ビデオ電話ができるのだから。打ち合わせの効率も上がる。───とこ...
ショート・ショート

明晰夢(昭和)

二度目の人生、最初の朝。 俺は自転車の前で絶句した。そうだった、そうだった。この自転車は……確かに俺のだ。「かーっ! これで学校に行けってか?」 六段変速の黒いボディ。ダブルヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、方向指示機まで完全装備。そう言えば聞こえもいい。だがこれは、スーパーカー自転車(ジュニア自転車)なのである。隣に佇たたずむ弟の自転車は、ランボルギーニ・カウンタックをイメージしたタイプ。ボタンを押すと隠れたライトがギュイーンと上がるタイプである。「記憶からは薄くなったが、これはもう……デコデコのデコチャリだな」 これでも中身は還暦かんれき前。このデコチャリで中学へ行くか? しばら...
小説の話

ブログ読者からのリクエストが有り難い(笑)

〝のんちゃんのブログ王・スピンオフ〟にリクエストがあった。 急がないので、こんな話があったら……。 新作は、ブログ王の十年後の世界である。のんと放課後クラブの面々は二十八歳。ツクヨは二十歳の世界を描く。とはいえ新作では、ブログ王の面々は脇役である。つまり新作では、ツクヨ世代の新たな登場人物たちの物語である。試験的にスピンオフに、彼らのエピーソードを紛れ込ませたりもしている。スピンオフでは本編から過去の物語を書いてきたけれど、リクエストがあったので、ブログ王から新作までの十年間を第二章として書き始めた。過去記事にも似た話を書いたと思う。───025 喫茶グリム ここからが、第二章の位置づけである...
雑談

ブログのご紹介がありがたい

ブログ界隈かいわいには〝交流〟と呼ばれる慣習がある。交流が親密になると、ブロガー同士が互いにブログを紹介しあうようになる。かつての相互リンク(死語)だったり、記事中でブログを紹介しあったり。BBS(掲示板)に書いた足跡に、ページアドレスを残してみたり……。遠い昔の何もかもが懐かしい(笑) すると、アクセスがちょいと増えるのだ。誰のブログにだって一定数の読者がいる。そのアクセスが流れるからだ。SEOの観点から見れば、かつては被リンクの恩恵さえも受けられた。それは誰も傷つけない、ウィン・ウィンの関係だった。ある意味で、アクセスの理想形だと僕は思う。 時は世紀末、インターネット黎明期れいめいき。ホー...
猫の話

それだとて、今日もサヨリは元気です(笑)

「猫ちゃん、いくつ?」「忘れた」 意図的に、僕は愛猫サヨリの年齢を考えない。永遠の十歳くらいで留めておきたい。そうでもしなけりゃ、やってられない。それなりの老猫だけれど、まだまだイケるっしょ? そんなぶらり散歩気分で、毎日を過ごしたい。こいつの頭を撫でていたい。 猫ブームが始まってすぐ、猫を飼い始めた人々も、たぶん、同じ気持ちで生きている。僕は、そう思いたい。 ところが……だ。 思わぬ方向から、サヨリの年齢を考えさせられた───オカンである。 話は変わるが、オカンの飼い犬は僕のことが大好きだ。ちなみにメス犬である。その愛情表現があからさまで、飼い主のオカンが苦笑いするほどなのである。恋する乙女...
レビュー

まぁ、軽く読書の話ということで

レビューとは、商品や作品についての感想をピンポイントで書くのが一般的だ。最近では〝薫る花は凛と咲く〟についても書いたのだけれど、相棒からの書籍は多種多様。僕がグレンラガンを好きだと知ると、スピンオフ作品までもが送られてきた。どれだけ僕は愛されてんの? そんな感じで、今日もサヨリは元気です(汗) なにはともあれ、ありがとう(笑) つーことで、〝のんちゃんのブログ王〟を書き上げてから、可能な限り本を読んだと思う。相棒からの本以外にも、コンビニ人間(村田沙耶香)、船を編む(三浦 しをん)、博士が愛した数式(小川洋子)、ひとめあなたに(新井素子)、天元突破グレンラガン(ガガガ文庫)などに目を通した。自...
畑の話

畑のひまわり(2024)

この夏も、ひまわりが花を咲かせた。去年のこぼれ種から芽吹いたひまわり。ニョキッと畑のあちこちで、芽吹いた苗を集結させた。ひまわりの芽と雑草との区別。それは容易に判断できる。見栄えが全然違うのだ。 とはいえ、畑の雑草の勢力が強くて、ゴールデンウィークまではハラハラしていた。だって、そうでしょ? 雑草に成長速度が負ければ、すべてがオジャン。最悪だけは避けたくて、今日もサヨリは元気です(笑) 何はともあれ無事に育った。この夏も、ひまわりの花が畑を華やかにしてくれるだろう。邂逅のじいちゃんのひまわり畑まで派手じゃないけれど、これくらいで丁度いい。 そもそも、畑にひまわりを植えたのには理由があった。その...
ブログ王スピンオフ

白いヘッドホン

土曜日。 今日は喫茶グリムで新メニューのお披露目会だ。メニュー開発に貢献した、ツクヨと忍の小五コンビも招待された。ふたりは朝からツクヨの部屋ではしゃいでいる。きっと忍は、俺に見せない笑顔なのだろうなぁ……。「なぁ、オッツー。頼まれてくんね?」 俺は事前にサプライズを準備していた。免許を取得したオッツーに送迎をお願いしたのだ。きっとツクヨは飛び跳ねて喜ぶだろう。あいつはオッツーと一緒なら、いつでも幸せを感じる子どもだから。 叔父贔屓おじびいきを差し引いても、ツクヨは可愛らしい女の子だ。中学になれば、いずれ告られる日が来るだろう。彼氏ができれば〝わたしのオッツー〟からも卒業だ。そうなれば、俺が立ち...
ショート・ショート

明晰夢(序)

あの頃に戻れたら…… これが還暦ブルーというものか? 六十歳を前にして過去の記憶が蘇る。大人の記憶は曖昧で、幼い記憶は鮮明だ。認知症になると自分を若く思い込む。それが理解できる年になった。受け入れたというべきか……。 人生を振り返る夜。それは、誰にでもあるのだろう。あの頃に戻れたら……いや、もう人間なんて一度で十分。俺は人生を諦めていた。後は年老いて死ぬだけだ。 そんな俺にも、ひと目会いたい人がいた。数年前、彼女は先に旅立った。だから、あっちで会おうと心に決めた。言えずに終わった言葉があった。 とはいえ、俺の健康ばかり気遣った女である。何よりも、俺の長寿を願った女である。おいそれと死ぬこともで...
小説の話

生きた文章とは?

以前の僕は、執筆テクニックだけを追い求めていた。哀愁とか情景とかの類に興味もなかった。SEO(検索エンジン最適化)を駆使して、それっぽい文章にフックを絡めて記事を書いていた。なにはともあれ、検索上位表示が最優先。アフィリエイトするなら王道の手段で、今日もサヨリは元気です(笑) キジとら(このブログ)を書き始めて八年が経過した。過去記事を遡れば、書き始めてから二年ほどの期間。それに準じた文章を書いている。その証拠に、今でも古い記事へのアクセスが幾分かあり、さらに売上も発生している。アフィリ界隈での常識〝記事は資産〟の具現化だ(笑) 今でもそれを続けていれば、収入面でそれなりの結果を得ていたのかも...