飼い猫信長と野良猫家康(正解率五十パーセント)
───明日から八月である。 梅雨が明けてからというもの、海の木陰で家康は夏の暑さをしのいでいた。猫カフェでバイトをしたい気持ちもあるが、老猫にお呼びがかかる場面など稀まれである。───平成の猫カフェじゃ、ナンバーワンとうたわれたワシなのにな……年は取りたくないものじゃ。 この数年間、家康は釣人のおこぼれで生計を立てていた。それが、老いた野良猫の末路である。けれど、家康はたくましく生きていた。───そろそろか……。 堤防で釣りをするふたり組。それに的を絞り込む。竿が引いた瞬間、釣人の横に座っておこぼれを待つ。それが家康のオペレーション梟ストリクス。 男女の組み合わせなら、高確率で魚を得られる。男...