白いヘッドホン
土曜日。 今日は喫茶グリムで新メニューのお披露目会だ。メニュー開発に貢献した、ツクヨと忍の小五コンビも招待された。ふたりは朝からツクヨの部屋ではしゃいでいる。きっと忍は、俺に見せない笑顔なのだろうなぁ……。「なぁ、オッツー。頼まれてくんね?」 俺は事前にサプライズを準備していた。免許を取得したオッツーに送迎をお願いしたのだ。きっとツクヨは飛び跳ねて喜ぶだろう。あいつはオッツーと一緒なら、いつでも幸せを感じる子どもだから。 叔父贔屓おじびいきを差し引いても、ツクヨは可愛らしい女の子だ。中学になれば、いずれ告られる日が来るだろう。彼氏ができれば〝わたしのオッツー〟からも卒業だ。そうなれば、俺が立ち...