知らぬが花とは、このことだ(汗)
金曜日、嫌な気分で帰宅した。余計な心配がひとつ増えた。とはいえ、人間関係とか、金の話だとか……そんな、人間臭い話ではない。いうなれば、身に差し迫る危機と呼ぶべきか……それがワンランクアップしたのは確実だった。 金曜日は夜勤の日。いつものように仕事を終え、いつものように施錠する。そして、これまた、いつものように出入口をチェーンで封鎖するのだけれど、その夜は少し勝手が違った。職場は山の中にあり、月夜の晩は明るいけれど、闇夜の晩には一気に視界が奪われる。数メートル先に貞子がいたとて、それに気づかぬほどの暗がりで、僕は手探りでチェーンを張っていた。チェーンの先の南京錠を取り付け終わると、僕の真横を何...