花音の部屋
人生とはプラマイゼロ。良いことがあれば、悪いこともある……でも、なんで今夜なの? キツネとタヌキに挟まれて、その上、増援が目前に。のんの部屋の前で、俺は謎の窮地に陥っていた……。 非常階段から六人……エレベーターから四人……か。ぞろぞろと、女たちが集まってくる。キツネとタヌキで十二人って……使徒ですか? にしても、グリムで見た顔が、雁首がんくび揃えて並んでいる。とはいえ、相手は女ばかり。黙って、二、三発、殴られたら、この場も穏便に収まるだろう。のんには悪いが、俺は撤収を決め込んでいた。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ、飛川三縁ひかわさよりじゃん!」 「マジでぇ~、ウケるぅ」 「何しに来たの?」 「決ま...