2024-09-21

ショート・ショート

明晰夢(美男子)

早朝五時五十五分……。 日曜日だというのに、運動部員たちが所狭しとグランドの中を駆けている。野球部の金属バットが奏でる快音。サッカー部員たちの踊るようなドリブル。正確にゴールに向かってシュートを決めるバスケ部員。チーターの如く全力疾走するスプリンター。そして、先輩にエールを送るテニス部員の黄色い声援。その光景に、青春の息吹を俺は感じた。一度目の人生……俺は、あの中の一員だった。「お早いですね、キューブさん。おはようございます」 体育館の前。運動部の練習を見つめる俺に、サクラギが声をかけた。サクラギは、見た目どおりの几帳面な性格なのだろう。腕時計を確認すると、時計の針は縦に直線を描いていた。「サ...