飼い猫信長と野良猫家康(いつものアレ)
「今日も暑いなぁ~家康いえやすぅ!」 いつもの海の木陰で釣り人を眺めている家康に、信長のぶながが声をかけた。 「そんなに外出して、ご主人様に怒られないのか? 信長! 今朝だって午前様だったろ?」 昨晩、閻魔えんまの背中で眠りこけた信長である。睡眠不足の家康とは裏腹に、絶好調な面持ちの信長に、家康は思う。このバカに聞くんじゃなかった……と。 「ご主人様はお優しい人なのじゃ。てか、信長じゃ! あれ、いつものアレは?」 「アレとは、なんじゃ?」 肩透かしを食らった信長は、急に不安な顔を見せた。 「なぁ、光秀みつひでは? ミ・ツ・ヒ・デ!」 「お前への光秀の呼び名はな、閻魔様に譲ったんじゃ。だか...