2025-01-03

小説始めました

今日もサヨリは元気です(笑)”007 黒猫”

007 黒猫 天国の待合所は、地平線の先まで緑の絨毯じゅうたんで覆われていて、所々にお花が咲いていて、巨大な公園のようでした。広い湖を囲うように、所々に白いベンチが置かれています。待合所の人たちは、湖を眺めたり、談笑したり、空を眺めていたり、寝ていたり……。動物たちも自由に走り回っています。 トビちゃんの家から、歩いて三つ目のベンチの上に、チョコがぴょんと飛び乗りました。そして、姿勢を正してボクを見ます。僕はベンチの上のチョコを、下から見上げています。なんだか、見下されてる気がします。「サヨっち、十蔵じゅうぞうちゃんを誤解してない?」 チョコが僕に言いました。「誤解って?」「ウチの十蔵ちゃんと...
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今日もサヨリは元気です(笑)”006 イケメン”

006 イケメン 水面みなもに映るボクの顔が、お父ちゃんの姿になりました。段ボール箱の中で眠るボクの頭を、お父ちゃんが撫でています。「ボクはここだよ!」 お父ちゃんに向かって、何度も何度も叫んだけれど、ボクの声は届きません。向こうのボクの頭をお父ちゃんが撫でると、トビちゃんが、代わりにボクの頭を撫でてくれました。「お月さまはね、最後のお別れをしているの。サヨリさんの段ボールの中。毛布とプールとカリカリとちゅーる。あんなにいっぱい……雷電のプラモまで。あれは、サヨリさんへの贈り物よ。もうすぐ、ここに届くからね。楽しみに待ってようね」 トビちゃんが、優しくボクに言いました。お父ちゃんは、静かに段ボ...