2025-01-05

小説始めました

今日もサヨリは元気です(笑)”011 兄さん”

011 兄さん「サヨリさん、おかえりなさい。チョコちゃんとお友だちになれた?」 散歩から戻ったボクに向かって、トビちゃんが両手を広げます。迷わずボクは、トビちゃんの胸ポッケの中に入りました。この中に入ると、なぜだか心が和みます。「サヨリさま。自分、また遊びに来ても、いいっすか?」 チョコがボクを見上げて言いました……トビちゃんの前で〝さま〟だけは、やめてほしい。「チョコちゃん。サヨっちで、ええんやで」 ボクは笑って言いました。チョコはしばらく考えて「分かったっす。だったら、兄貴で構わんでっしゃろか?」 クスクスとトビちゃんが笑っています。なんだか面倒くさくなったので「せめて兄さんで」 と答えま...
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今日もサヨリは元気です(笑)”010 地獄”

010 地獄「地獄は辛いところよ。とても辛いところなの。それでも聞きたい?」 ボクとチョコに、サチさんが凄みます。チョコは怖くなったのか、ボクにピッタリとくっつきました。顔が……近い。ボクはサチさんに問いかけます。「虹の橋から、ここへ来る道中で、大きな穴がありました。真っ暗で底が見えないほど、深い穴がありました」 すると、チョコが口を挟みます。「自分も、ヤマトから見たっす! でっけぇー穴。見たっすよ!」 チョコは、怖いもの見たさが勝ったのでしょう。かなり興奮しているようでした。「そうそう。あの穴が地獄の入り口ね。偶たまにね、大きな蜘蛛くもが巣を張って、地獄に糸を垂らしてるわ。芥川龍之介って、き...