
不幸の手紙
インターネットのなかった時代、僕らの通信手段は電話と手紙であった。隅っこに謎の相合傘がちょこっと書かれた、駅の伝言板も含まれる。今回は手紙の話だ。忌まわしき不幸の手紙。その内容は、ネット時代のチェーンメールのようなものだが、詐欺メールのように一定数は真に受ける。それは、今と比べものにならないくらい、膨大な数になるだろう。不幸の手紙が全国で飛び交うとすれば、ゆうびん屋さんはウハウハだ(笑) これは、日本全国に口裂け女の噂が広まった八十年代の話である。同時期に、不幸の手紙がインフルエンザのように流行した。少し年上の先輩の頃は、幸福の手紙であったそうだ。───不幸の手紙が来た! 噂話が現実味を帯びた...