2025-04-03

小説始めました

後ろの席の飛川さん〝002 学級委員長は瀬戸の花嫁〟

これから学級委員長の発表だというのに、飛川ひかわさんはネームプレート磨きに精を出し、広瀬さんは時が停止したように、ぴくりとも動かない。 我が明光中学は、ひとクラス三十名の三組編成で、受験テストの順位で振り分けられる。上位の三十名は、ボクが所属する一組だ。そして、新入生が慣れていない今回に限り、入学試験の成績トップが学級委員長に任命される。副委員長は二番手である。スクールカースト……いやだ、イヤだ、嫌だ……。そんなものになりたくない。 ボクは図書委員になると決めていた。夏は冷房、冬は暖房。設備環境が整う図書室で、ボクは三島文学を満喫するのだ。図書委員の肩書きさえ手にすれば、誰にも邪魔されることは...