
後ろの席の飛川さん〝003 便所飯の脅威は去った〟
平岡修斗ひらおかしゅうと君からの助け舟で、便所飯の脅威は免れた。平岡君に吸い込まれるように、ボクは彼の席へと移動する。「まぁ、黄瀬きせ君。ここに座んなよ。にしても、すげぇ~のな。飛川月読ひかわつくよだっけ? 夢が花嫁って、ピュアの申し子って感じだな。それとも、ウケ狙いかな? でも、あの子……どっかで見た気がするんだけどなぁ。思い出せないのがモヤモヤする」 平岡君が首をひねる。飛川さんの容姿に、ボクも同じことを感じていた。彼女は、芸能人や有名人の誰かに似ているのだろうか? そう言われたら……誰かに似ている。「そんなことより、飯だ、飯」 制服の上からもうっすら分かる筋肉が、彼の自信の源なのだろう。...