2025-05-13

小説始めました

後ろの席の飛川さん〝016 七つの海は、女の涙でできている〟

ボクへの誕生日プレゼントを発端に、姉ちゃんの初恋の相手が、桜木さんだと発覚した。でもそれは、ボクの想定の範囲内。うどん県は、日本で最も狭い県である。讃岐の田舎じゃ、あり得ないことでもない。むしろ、その逆。コミュニティは小さい。よくある話だ。「姉ちゃん、それから?」 姉ちゃんの恋バナに、ボクは耳を傾けた。「ウチの高校じゃ、桜木先輩は、神童って呼ばれていたんだ。成績は群を抜いていて、常に学年トップだった。てか、全国模試でも上位だったらしい」 桜木さんは、ボクの目から見てもそんな感じだ。「沈着冷静で、いつも穏やか。そして、あのフェイス。ウチのような隠れファンは多かったと思う。でも、目に見えない壁を感...