2025-05-19

小説始めました

後ろの席の飛川さん〝017 おいしい奈良漬けは、食べすぎに注意しましょう〟

前の席の広瀬さんは、ミステリアスな美少女だ。ポーカーフェイスで、ほとんど言葉を発しない。 ただ、例外もある。 コソコソと早口で、飛川ひかわさんだけに耳打ちをする。そして、屈託のない笑顔を見せるのだ。このふたり、どんな会話をしているのだろうか? ボクの悪口じゃないことを祈る。「ねぇ、きいちゃん」 後ろの席の飛川さんは、いつもの笑顔で問いかける。「放課後は、真っすぐ帰るの?」「ええ、そのつもりですけれど? 中間テスト期間は、海洋生物研究会もお休みだと聞いていたので……」 まさか……お休みだから、釣りに行こうとは言うまいね?「だったら、うちに寄ってくれる?」 飛川さんの家は学校に近い。行くのは別に構...