2025-06-23

小説始めました

後ろの席の飛川さん〝026 イチゴを捨てるバカはいない 〟

真っ赤な夕陽に照らされた、高い高いのシルエット。 広瀬さんの写真には、幼き頃の飛川月読ひかわつくよが写っていた。尾辻さんの肩の上、桃の実に袋をかける飛川さん。夕焼け空と黒い影。その幻想的なコントラストが、ボクの想像力を刺激する。「オッツー、右」「あいよ」「もうちょい、上」「あいよ」 仲睦まじい、ふたりの姿が目に浮かぶ。父娘、兄妹、恋人……そして、未来の夫婦。このふたりには、すべての言葉が当てはまる。きっと、前世も、現世も、来世だって……写真が放つ幸せのオーラが、ボクをそう思わせてしまうのだ。 ふたりは、この夕暮れを何度も繰り返したのに違いない。繰り返す幸せ……その言葉と共に、彼女の自己紹介を思...