きゅうりってのは、放っておくと大変なことになる。どんどんデカくなって味が落ちる。その成長速度も早い。一本残らず収穫しても、三日もすれば、今日と同じ光景が目の前に広がるのだ。既視感(デジャブ)なんて甘い話じゃない。もはやこれはループである───今年のきゅうりは強敵だ。
きゅうりの貰い手を考えないと、冷蔵庫が飽和する。ついでに、僕の胃袋だって、そこまで寛大にはできてない。農作物が金を介さず流通するのが田舎である。捨てるなら、誰かにあげよう畑の野菜。それは美しい考えだ。けれど、分ければ余る、奪えば足りない。この現実に直面する。今年はきゅうり余りの年なのだろう。その証拠に、どこのきゅうりも葉がデカい。
ついでに言わせてもらえるのなら、トマトとピーマンへの警戒も必要だ。これは脅しなんかじゃなくて、僕の身近な読者への予告である。野菜が来るぞぉ~、気をつけろ! その僕に
「きゅうり、持ってく?」
そんな声がかかるのだ。
「俺を誰だと思っていやがる?」
シモンが如く、そう言いたい気持ちをグッと抑えて、作り笑いでお断り。
「うちもきゅうりで困ってるんだわ」
やんわりとお断る。去年ならウハウハでもらえたけれど、今年はそんな気分になれやしない。さぁ~て、先ずはこのきゅうり……どうするべ? 昨日。どこからか、ワーちゃんはきゅうりを貰ったらしい情報は入っている。つまり、ワーちゃんちへは持ってけない。その周りも、たぶん無理。別ルートを考えると、ユッキーの顔が頭に浮かんだ。背に腹は代えられぬ……ダメ元だ。
───取りあえず、五本から。
カッパのようにきゅうりが好きでも、そんなに沢山もらっても困るだろう。この五本は、ジャブである。
「きゅうり大丈夫か? 数あるけど……消費できる?」
「イケると思う。余っても、回すとこもあるし……」
あっけなく、秒で交渉は成立した。その瞬間、僕はきゅうり問題から解放された。だったら、もう二、三本くらい仕込んでおくか。今の苗は、お盆までが限界だから。摘心した蔓先を、性懲りもなくペットボトルで育てていたのだ(汗)
ユッキーとの雑談の中で、コーヒーの話題を僕が振る。ブログ王の舞台が喫茶店に移行する。それを知った相棒から、小説の肥やしにと沢山のドリップコーヒーをもらった話だ。そこで思わぬ返事が飛び出す。
「グリムの話?」
え?……読んでたの? 小説の話題は出るものの、適当に話を合わせているものとばかりだと思っていた。そのユッキーの口からグリムの単語が飛び出したのだ。それには、うれしさよりも驚きで、今日もサヨリは元気です(笑)
これまでよりも、グリムの話は文字数が多い。たぶん、六千文字を超えている。すまないねぇ、ここはキモだから。どれもこれも削れない。だから話が長くなる。そう、読者に詫びながら書いた話だ。それ、読んでたの? ありがとう(笑)
ここから先は、相棒にもしていない話である。喫茶グリムにはモデルがある。老夫婦が営む喫茶グリムは、実在する喫茶アンデルセンがモデルである。詳細は、ググれば簡単にみつかるだろう。
八〇年代、喫茶店全盛期。アンデルセンは、その当時から存在している。その店名が好きな僕が、いつかは使いたいなと思っていたけど、いざとなると使えない。そこで、アンデルセンならグリムでしょ? と、次の舞台となる喫茶店をグリムと命名したのだ。
「そうやな、アンデルセンは有名やから、使い辛さはあるやろな」
それにはユッキーも同意見だった。十数年ほどご無沙汰だけれど、ゆっくりコーヒーを飲みに行こう。新作を仕上げた後で(笑)
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