雉虎細魚

水曜日(猫の話)

今日もサヨリは律儀な猫ちゃま

水曜日は猫の話。  うちの猫は律儀である───義理堅く実直なサヨリであった。  暑い日も、寒い日も、晴れの日も、雨の日も……僕が戻ると寝床から起きて出迎える。それは、必ず実行される。  数年前。  もうダメだと思った頃でも、よろよろと体を起こして僕を出迎えた。 「もう、ええで。しんどかろうに……」  口を酸っぱくして、何度もサヨリに言い聞かせたけれど、サヨリの行動は変わらなかった。ご飯の食べられない体で、毎日、僕を出迎えた。 「これ、食えっか?」  ありとあらゆるキャットフードを試したけれど、サヨリが口にすることはなかった。大好きだったちゅーるでさえも食べようとしなかった。日に日にやせ細る愛猫...
火曜日(レビュー)

イモホレタのおいもあんぱんが徳島土産

火曜日はレビューの日。  2023年12月17日(日)  お昼過ぎ、同僚ワーちゃんから電話が入る。 「今日わたし、徳島におるんよ……」  だからどうした?  それは、仕事絡みの話であった。けれど、僕には大した内容ではなかった。だから、スルーした。その日の夕方、再びワーちゃんから電話が入る。騒々しい先輩だ。 「今どこ?」  いつもそう、いつだってそう。ワーちゃんの言葉に主語はない。 「俺、徳島にはいかんで!」  僕は条件反射で守りに入る。今年、何度もいった徳島である。通ったと言っても過言ではない阿波あわの国。つい先月だって、徳島ラーメンを食べたところ。だから、お腹いっぱいだ。  そんなことなどお...
月曜日(畑の話)

虫食いで諦めていた白菜を収穫

今日は成人の日。本日、晴れの日を迎えられた皆様。おめでとうございます(笑)───そして、月曜日は畑の日。  去年は、あまり畑に出ていない。 行かなかったのではく、行けなかったから。  仕事だったり、ブログだったり、小説だったり。あれだったり、これだったり。思い返せば、何かと何かに追われる日々だった。  師走に入ると何もかもが大詰めで、畑のことをコロリと忘れた。否、忘れていたのは、じゃがいもだった。というのも、雨が幸いしたのだ。いい感じで雨が降る。二日おきに雨が降る。僕の愛しのよつぼしも、水やりの心配すら不要だった。ラッキーにかまけていると思い出す───あら、ららららら。まだ、じゃがいも掘ってな...
日曜日(ブログ王スピンオフ)

屋島の瓦投げは幼女の恋文

元旦の朝。  俺たち放課後クラブは屋島山上で御来光ごらいこうを拝おがむ。  幼稚園時代から始まったこの行事は、俺たちが中学生になっても続いていた。ゆきは正月に海外旅行の予定がなければ参加した。つーか、いつの頃からか初日の出を拝んでから、ゆき一家はハワイへ家族旅行に出かけるようになっていた。  3学期の始業式。  小麦色の肌をしたゆきがハワイ土産を配るのも、放課後クラブの冬の風物詩になっていた。俺たちは、その日を“マカデミアナッツチョコの日”と呼んで楽しみにしていた。  話は戻って、初日の出。  今年の引率役はオトンだった。初孫の屋島デビューにオトンが張り切らないワケがない。なのに大晦日、オトン...
土曜日(ショート・ショート)

私が小説を書く理由

私の夢は小説家。  そう言いたいけれど、そうじゃない。自分の実力なんて、言われなくても知っている。だから、ネットに小説を書いて満足するだけの毎日だ。私の書いた小説なんて、ご都合主義の自己満足。誰にも読まれなくて当然なのだ。  小説を書き始めて5年が経った。書き始めたのは高3だった。だから、私はまだ若い。ピチピチギャルのはずなのに、未だに反応すらないなんて……私のブログだけが、ネットに繋がってないとでも? そう錯覚するほど、私のブログは静かであった。人気ひとけのないブログだった。  そんなある日、お問い合わせのメールが入る。何だよ、何だよぉ~! うれしいじゃん(笑) 私は、そのメールに胸を弾ませ...
金曜日(小説の話)

シン・ウルトラマンの作戦室が素晴らし過ぎて

金曜日は小説の話。  ブログでもそうなのだけれど、僕にとって執筆環境は重要である。ブログに要する執筆時間は、長くても2時間以内に完結させる。それをこえるとタイムアウトで、今日もサヨリは元気です(笑)  毎日が、時間との追いかけっこの始まりです。  陸上競技に例えるのなら、ブログはスプリンターで、小説はマラソンランナー。机の位置、椅子の高さ、雑音とサヨリさん……。気になり始めたら問題は目白押し。気にしなければ問題解消。でも、神経が過敏になると、ちょっとしたことでも気になるもの。  11月と12月。小説の追い込み時期にもなると、山小屋でも借りてしまいたい。そんな気分にもなっていた。ペンションや別荘...
木曜日(雑談)

年末にブログの記事がバズった話

木曜日は雑談の日。  誰しもが、新年に向けての抱負を語る。僕の抱負は相も変わらず、毎日ブログが書ければ御の字で、今日もサヨリは元気です(笑)  富とか、名声とか、書くこと以外に望むなら、地味なブログよりも、派手なユーチューブを僕はオススメします。文字と動画の即効力には、歴然とした差があるのだから。  ネットの片隅でひっそりと、まったりと。それ以上でも、それ以下でもなく淡々と。アクセスなんて、コアなユニーク200もあれば十分だ。雨の日も風の日も、寒い日も暑い日も。毎日の更新なんて茨の道に決まってる。焦らない、慌てない、そして欲を張らない。これくらいでなきゃ続けられない。  そんなぶらり散歩気分で...
水曜日(猫の話)

人と猫との距離感

去年、ブログ運営の未来を決めた。  でも、現実とブログの世界の狭間で、どうしようかと悩んでしまう。どうしても立ち止まってしまう。正月早々、立て続けにあんなことがあったのだ。考えるほどに身動きが取れなくなる。困ったねぇ……。困っているとメールが届いた。知らない人からのお問い合わせ。 ───ブログを書いて下さいね。  それだけが書かれていた。  時折そんな、謎解きのようなメールがあるけれど、この一文に並々ならぬ重さを感じた。僕の読者は限りなく少ない。なのに、知らない誰かの助け船。  被災地に友人のような読者がいるかもしれない。ならば答えは決まっている───書くだけだ。予定どおりに始めよう。  水曜...
地震・災害

地震の揺れから猫を落ち着かせる方法

令和6年能登半島地震から一夜が明けた。  テレビからは刻々と地震情報が報道され、SNSの中はカオスであった。情報が錯乱されて信憑性が分からない。かと言って、安全地帯から明るくポストをする気にもなれない。老人の余計な一言など、老害でしかないのだから。だから、一先ずSNSからの距離をおき、流れるタイムラインを見守っている。その時の状況で、己の行動を判断しようと思う。重要な情報が埋もれることがないように。  もしも、僕のブログを楽しみにしている人がいるのなら、その人たちのために何かを書こう。今の僕にはそれしか出来ない。  今回は、地震に怯える猫を落ち着かせる方法について書いてみました。ソースは、熊本...
地震・災害

令和6年能登半島地震で被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

2024年1月1日 16時10分ごろ、石川県能登地方(輪島の東北東30km付近)にて、最大震度7(マグニチュード7.6)の令和6年能登半島地震が発生しました。被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。  新年最初の投稿を、時間ギリギリまで検討しました。お正月に準備をしていた記事もありましたが、被災された皆様の心情を思えば、今日は投稿できる状況ではないと判断しました。毎日の投稿を楽しみにされている読者の皆様には大変心苦しいのですが、本日の記事はお休みさせて頂きます。本日予定していた記事については、時期をみて必ず投稿いたします。ご理解の程よろしくお願い致します。   X(旧Twitter)のフォ...
雑記・覚書き

2023年の大晦日

12月31日午後8時。  今年も残すところ4時間となりました。  皆様は、もう、年越しそばを食べましたか? ご家族団らんしてますか? 初詣はどこへ行きますか? 年末年始、お仕事されている方はお疲れ様です。皆様の2023年は如何でしたでしょうか? 我が家は平々凡々で、今日もサヨリは元気です(笑)  1年なんて、あっという間……ですね。  ジャネーの法則では、5歳児の時間の流れと50歳のそれとでは、10倍もの体感速度に差があるのだそうです。言い換えれば、50歳の人間が感じる10日は、5歳児の1年……ギャー!!!。  考えただけでもゾッとしますね(汗)  身をもって、それを感じていたはずなのに。バタ...
雑記・覚書き

竜とレディーボーデンと凧の話

───2022年、去年の寅とら年。  大空に浮かんだ雲に竜の姿を僕は見た。  それは、自家菜園を始めた初日の話。それを皮切りに、友人との距離が大きく縮んだ。友人は、僕のブログの読者であった。僕と友人との距離を縮めたのは、竜ではなくて畑の方。偶々偶然、友人が自家菜園をしていたのだ。その知識とキャリアは、プロの域に達していた。否、野菜の研究者と呼ぶべきか?  突然、始めた自家菜園。それに友人は、少し興奮気味だった。コロナ禍、桃畑、オカンの怪我……偶然の要素が重なって、畑に着手した僕だって驚きが隠せなかった。 ……こんなことって、ある?  スタートが遅れた菜園で、トウモロコシの実を収穫する頃。突如、...
お知らせ

ブログ運営の未来

仕事と小説に徹した12月。事務所の中が、いい感じに荒れている。肌荒れ以上の荒れっぷり(汗)  このままじゃ……年が越せない……だから、午後から事務所の掃除。  財布、鍵、スマホ、はさみ、ボールペン、食器などなど。こたつとデスクの上に散らかった小物がウザい。見える景色が美しくない。僕は無機質な空間が好きなのだ。全ての小物がノイズに見えた。  まずは、これから。  それぞれを所定の位置へ仕舞い込む。その後で、目に見える全てを雑巾で磨いた。僕は物を持たない主義である。だから、持ち物は少ない方だ。お掃除スイッチさえ入れば、2時間もあれば作業は終わる。今回は、中々に入らなかったスイッチだけれど。 「ごめ...
PC・タブレット・スマホ

ポメラMD250で小説は書けます

小説連載も終えて、今日からブログは平常運転。さて、何を書こうかな? 記事ネタのストックは十分あって、今日もサヨリは元気です(笑)  ブログ復帰1回目は、ポメラの話を書こうと思う。だってそうでしょう? 一年以上も酷使され続けたポメラである。僕はドSな使い方をし続けた。これだけ使い込んだのだから、ポメラが欲しいどこかの誰かの参考程度にはなるだろう。 ───なぁ、楽しんでくれたかい?  この一文が、この響きだけを書きたくて...。  2023年3月。僕は友人に小説を書き始めた。他人様が読んでも面白くもなかろう……“のんちゃんのブログ王”という題名の小説を。後に“相棒”と呼ぶことになる見知らぬ人物と共...
小説始めました

のんちゃんのブログ王〝025 エンドロール〟

025 エンドロール  友だちと、家族と、恋人と……夜の動物園は賑やかだ。  その人混みに溶け込むように、俺たちの向かう先はシロクマだった。それが、彼女の2度目のおねだりだったから。 「一緒にシロクマさんが見たいです……あ、嫌なら……ごめんなさい……ホッキョクグマの水中トンネルで、シロクマさんが間近に見られて、肉球が……あ、そんなの嫌ですよね……ごめんなさい」  2度目のおねだりは、のんの生声。これはもう、2度目の初めてのおねだりだと俺は思った。 「そんなのお安いご用です」  俺は心の中で叫んだ。100万回だって、喜んで!  白い雪に反射したイルミネーションの輝きが、クリスマスムードを盛り上げ...
小説始めました

のんちゃんのブログ王〝あとがき〟

あとがき  のんちゃんのブログ王を読んで頂き心から感謝しています。友人の誕生日からクリスマスまでの期間。皆様には、楽しんでもらえたでしょうか? それが、少し心配です(汗)  最終話を投稿し終えたクリスマス。この日のために、1本だけ残しておいたスティックコーヒーがあります。それは、相棒からの差し入れでした。そのコーヒーを味わいながら、ポメラに向かって文字を打つ。最後のお仕事が残っています... さぁ、あとがきを書かないと。  あとがきにならないあとがきを……。  書くのが好き、有名になりたい、小説家になるのが夢だから……小説を書く理由は人それぞれ。僕の理由はただひとつ。それが、友人の望みだから。...
小説始めました

のんちゃんのブログ王〝024 エピローグ〟

024 エピローグ  全国的にクリスマスの朝。  彼氏のいない暇なウチは、ママの言いつけでコンビニに向かって歩いていた。クリスマスの朝に、納豆のおつかいだなんて……ムードも何もありゃしない。 ───何してるかなぁ……のんちゃん。  クリスマス色の街を歩きながら、ウチはのんちゃんのことを考えてた。のんちゃん、受験勉強で忙しいかな? でも、高校最後のクリスマスだから、のんちゃんウチに付きあってくれる? ウチはのんちゃんを誘う口実を考えた。  親友と過ごすクリスマス。ケーキとチキン……そうそう、ツリーも飾らなきゃ。想像するだけでワクワクする。  今からでも間に合うよね……のんちゃん。 ───テテテテ...
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のんちゃんのブログ王〝023 のんちゃんのブログ王〟

023のんちゃんのブログ王  クリスマス。  幸運にも、今年のクリスマスは日曜だった。メールでのんに連絡を取ったのは、金曜日の夜である。クリスマス……のんにだって予定があるかもしれない。そんな日に「君に会いたい」ってのも非常識で、どうかとも思った。でも、のんに俺の気持ちを伝えるのはこの日しかない。そんな気がした。土曜日、のんからの返事はなかった。半ば諦めかけた夕方。待ちわびたメールが届く。のんからの返事だった。  メールを開く瞬間、脈打つ心臓の高鳴りが痛かった。 ───こちらこそ、よろしくお願いします。うれしすぎて、お返事が遅れてごめんなさい。  この子は、うれしすぎると連絡が遅れるのか……。...
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のんちゃんのブログ王〝022 手紙〟

022 手紙 ───俺の小説が、みんなに認められた!  喜びに酔いしれている俺を置き去りに、アケミは次のステージへ進んでいた。 「もう、何、言ってんのよ。遊んでる暇なんてないのよ。これからが忙しいの! 入稿準備よ、入稿準備! もう、あんた、分かってる?」  分かってない。 「はい、みんな。赤入れ原稿見せて!」  不安げな俺に向かってアケミが怒鳴る。 「サヨちゃんは、邪魔!」  荒げた声に感動の涙が引っ込んだ。これから何が始まるというのだ? この場面にBGMを流すなら、運動会の“クシコス・ポスト”あの曲だ。赤組がんばれ、白組負けるな! もう、これはリレー直前の様相である。 「これから何やんだよ、...
小説始めました

のんちゃんのブログ王〝021 俺の小説〟

021 俺の小説  ブログで小説を書く。  その手法に切り替えると、執筆速度が一気に上がった。今までどおりの調子に戻る。どこまでも書ける気がした。これでいいのか? そんなの知らねぇ。これまでブログで培った俺の全てを小説にぶつけた。ワクワクしながらカブトムシの記事を書いたころのように。何だよ、もう楽しいじゃん(笑)  その翌週。  俺は、最後の小説を桜木に手渡した。前回の審査から、俺と桜木の間に会話はなかった。そして、最終審査の日。俺は初めて桜木に頭を下げた。 「桜木。お前の真意は理解したつもりだ。これで最後の審査をお願いします」  深々と、俺は桜木に頭を下げた。 「分かりました。最後は僕ひとり...