───買っとく?、否、買っとけ!。
宝くじ売り場からの帰り道。雨降り止まぬ帰り道。雨宿りを兼ねていつものファミマに立ち寄った。
一粒万倍日、天赦日、寅の日、先勝、抽選日はバースデー。それに加えて牡羊座のA型は今年の運勢アゲアゲだ。春一番くじは三千万円の案件だった。僕はその気になっていた。そう、宝くじが当たった気分に。これだけ重ねりゃ、きっと何かが起こるだろ?。
───気の緩みが財布の紐を緩くする。
いつもなら絶対に買わない高額スイーツ。ホットケーキなスフレ・プリンに躊躇なく手を伸ばす。取らぬ狸の皮算用。けれど今の気分も悪くない。当たったつもりで気分良く生きて行けそうだ。抽選日までは。
───何取りホイホイだよ、コレ。
だってそうでしょう?、カスタードプリン、ホイップ、カラメルソース、ホットケーキ風味のスフレにトドメのバタークリーム。これでもかと好きの上に好きが重なって、連なって、甘味の山が形成される。まさに、コンビニ界のマウンティングマウンテンですよ、これは。
ホットケーキなスフレ・プリン(298円/350kcal)
───濃厚なプリンの上にはふわふわスフレ。
プリンとスフレの歴史は古く、共に18世紀頃にフランスで考案されたとしている。日本では江戸時代の頃だろうか。徳川家康は食べたのだろうか?。水戸黄門は?、大岡越前は?、銭形平次は?、一心太助は?。そう考えると違った味わいも感じられる。
───18世紀から21世紀へ。
300年の時を経て、ファミマの手によりプリンとスフレが夢の共演を果たす。2018年11月、シリーズ第1弾商品の「スフレ・プリン」(税別258円)がファミマの店頭に並び人気商品の仲間入りを果たす。そんなプリンとスフレのコラボに新たな息吹が吹き込まれた。みんな大好きホットケーキが加わる。
───コレは罪深い……。
パンケーキと言わないところが好感度を爆上げる。昭和世代にとってホットケーキの響きが嬉しくも懐かしい。こんなの絶対旨いに決まってる。
ホットケーキを口に含むと舌先への祝福。バターの塩味が甘さを更に引き立てる。この歳になると分かるんだ。血糖値が跳ね上がる感覚というやつを。主治医には口が裂けても言えやしない。今夜は飯抜き確定の予感。
───それはそれ、これはこれ。
一食抜いたとて死にはしない。
続けて入るプリンの沼。嗚呼、久しぶりのプリンがまろやかにヌルッと僕の喉を通り抜ける。いつもそう、いつだってそう。抜けたと同時に胃袋のリミッターが外れた。こいつもアカンやつだった。いくらでも食べられるやつだった。それと同時に罪悪感が絡みつく。スプーンで自分のお墓を掘ってるの?。そう、愛猫サヨリに訊かれている気分になった。
───だって、しょうがないじゃない。
甘いんだもの、美味いんだもの、スプーンが止まらないんだもの。だから僕は悪くない。サヨリが見守る中、僅か数分でご馳走様。幸福感と満足感と罪悪感が入り混じる。美味しく食べた。けれど、このままじゃ後味が悪い。
───やっぱ、歩こう。
僕はウォーキングすべく外へ出る。昨夜から降り続いた雨もすっかり上がり、空の青色が眩しかった。虹は雨の後から見えるもの。もしかして…グルリと天を仰いだけれど、虹を見る事は出来なかった。
明日は質素に。
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