人間失格と金閣寺を読んどいてなぁ~。
現在執筆中の明晰夢の主人公が、作者の僕に宿題を出した。「これから、俺が読む設定なのだから、太宰と三島を読んどけよ」……と。君にとって、作者は神様じゃないの? まさか君が、そんなオーダーを出すなんて、それこそ、想定の範囲外じゃないか!(汗) とはいえ、書いてしまったものは取り消せなくて、今日もサヨリは元気です(笑) 二冊の本を取り寄せて、人間失格から読み始めた。理由は簡単、こっちの本が薄いから。それは、いつものことである。
ざっくり150ページならお手頃だよね。太宰先生のお噂は、友人からの二冊の本で、なんとなく理解している。いざとなったら、先生と同じように僕も逃げますよ(笑) そう思って読み始めると、はしがきの次の〝第一の手記〟で、何やら勝手が違い始める。ネットで検索すれば、いい感じのレビューが並ぶ。こんな感想書けたらいいなぁ……書き手も、◯◯大学文学部卒とか、◯◯出版編集者だとか……みなさん、そうそうたるメンバーなのだから、何やら勝手が違い始めた僕が悪いのに決まってる……にしても〝。〟が無い。一文が凄く長くて、ぶつ切り文体の僕からすれば、妙に調子が狂ってしまう。
僕に構文のようなものがあるのなら、それは桃太郎構文に違いない。
むかし、むかし。
あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯にいきました。
僕の記憶の桃太郎を、文字に起こせばこのようになる。そして、これが僕の文体の基礎である。まぁ、色々と文章をこねくり回してみたのだけれど、読みやすさを重視すれば、このカタチに落ち着いた。たまにトリッキーな文も書くのだけれど、その時は、そんな気分だったということで(汗)
人間失格は〝はしがき〟と〝あとかぎ〟。そして、三つの手記から構成されている。あらすじを一行で書くのなら、ボンボン育ちのイケメンが、女を取っ替え引っ替えしながら、アル中からヤク中になり、やがて人間失格を自覚する。そんな話だ。「へぇ~、お金持ちの家にイケメンで生まれたのに勿体ない」今も昔も、庶民の感想は変わらぬだろう。生まれ、容姿、知能、才能……人生ガチャが大当たりのはずなのに、勝手に落ちてゆくのだから救えない。
ただ、この文体に慣れてしまうと、恐ろしいものまでもが見えてくる。中盤あたりから、とにかく辛い。ヌルヌルとジワジワと……真綿で首を締められるように。僕の心が四面楚歌になってしまうのも、きっと、文字の魔法なのだろう。僕には呪いのように思えたけれど……。
で、思うところは多々あるのだが、厄介なのは僕の脳みそ。こいつの覚えが悪くてねぇ……あらすじは頭に残れど、文章とかセリフが覚えられない。たぶん友人なら、全てまるっと記憶済み。それが少数派なのか多数派なのか、僕が知る由もないのだが、セリフ覚える役者さんたちにとって、それくらいは当たり前なのかもしれない。文字を扱う作家さんもそうなのだろう。それを思えば、なんか……辛い。それが何だか悔しくなって、この中に見えない魔物が詰まっていそうで、読了済みなのに手離せない。カバンに入れて、しばらく持ち歩くようになるのだろう。
怖えーわ、文豪……。
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