うちのニャンコの四十九日

猫の話
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───11月26日(火)

 今日の高松は、愛猫が逝った日と同じような、朝から雨の一日でした。数日もすれば、12月だというのに、サヨリの居ない事務所では、コタツを出すこともありません。出す気配もありません。この季節になるといつだって、僕の膝の上にいたモフモフが、遠い昔のように思えるのが不思議です。

 今日は、うちのニャンコの四十九日。とはいえ、特別に何かをするでもなくて、いつもと変わらぬ一日を過ごし、あの夜と同じようにデスクに向かい、この記事を書き始めました。この瞬間も足元で、サヨリが僕を見上げているような。そんな既視感を感じながら、今宵はサヨリとの想い出に、想いを馳せるつもりです。もう一度だけ、抱っこしてーな……(汗)

 一気にサヨリの訃報が広まるのも、これもまた、ブログを書いているからで。そうなると、新たなニャンコのお誘いが、僕の耳にチラホラ入って───「猫は飼わねぇ!」の全却下(汗) 僕も年が年だし、これから二十年先を考えれば、それこそ自信がありません。看取るも辛けりゃ、残すも辛い。てか、本来。僕は犬派で、掴みどころのない猫は、とても苦手な部類でした。猫なんて、エイリアンくらい未知の生物でしたから。

 偶々、サヨリが賢かったから、事務所にいられただけなのです。サヨリ以外の猫に、サヨリの真似などできないでしょう。それは、親ばかという見地からではなくて、客観的立場からの見解です。お漏らしをしたのは、亡くなる前の二日ほど。意図的に、彼がうんち爆弾を仕掛けるのは、僕が事務所に顔を出すのが遅くなった時だけです。僕が不在中、勝手にカリカリやちゅーるに手を出すこともなく、ゴミ箱を漁るでもなく……猫と暮らしたのは初めてだけれど、まったく手間のかからない。その印象が強い子でした。

 猫あるあるの『夜の大運動会』も十歳を過ぎれば滅多になくて、散歩の催促はするけれど、散歩を終えると、僕に寄り添い、たまに甘え、膝の上で眠るような……猫の優等生のような子でした。そりゃ、偶には口喧嘩のようなこともありましたけど(汗) その頻度も稀でした。潜在的に、かまってちゃん思考の強い子でしたが、鬱陶しさなど微塵もなくて……いうなれば、甘え上手な子でもありました。その表現がしっくりきます。気が付けば、隣にいる……って感じです(笑)

 最後の瞬間は、僕に気を遣わせないように、静かに天に召されました。文句を言ったら罰当たりなのは、言うまでもありません。彼には感謝しかありません。だからお礼に、彼の物語を書き始めました。それがとても難産で、思うところも色々あって、使わないアイディアを〝真夏の恋〟として再編集しました。現段階で言えるのは、下手すりゃ、サヨリの物語。『のんちゃんのブログ王』程度の規模になるかもしれません……これは、想定外でした(汗)

 2016年2月22日。『キジとら』はスタートしました。猫の日に生まれた猫ブログ。それは、彼のブログと言っても過言ではありません。そもそも当時、彼が死ぬ想定すらありませんでした。まずは、100記事。それを目標に書いていました。そんな彼無しで、ここまで書き続けられたのか? たぶん、途中で別のブログに乗り換えるとか、いっそのこと、書くことを止めていたのは、想像に難くありません。少なくとも、こんなに長く書くだなんて……それが正解だと思います。

 世の中に、絶対などあり得ないと言います。けれど、サヨリと絶対に会えない現実に、サヨリが元気ハツラツだった頃。もっと、たくさん書けばよかった。もっと、お散歩に連れて行けばよかった。もっと、一緒にいればよかった。そう思いながら、四十九日を迎えました。ブログの更新も、ほどほどでした……。

 キジとらに命を吹き込んだのがサヨリなら、このブログに意味を与えたのは友人です。年老いたサヨリの小さな頭を愛でながら、この子が死んだら……ブログの終焉を考えていた矢先。突然の友人との出会いがありました。その後で、相棒と呼ぶ人物が登場します。コロナ禍の三年前ならば確実に、ブログもSNSも閉じていたことでしょう。小説を書くこともなかったでしょう……。

 仏教の教えに従うのなら、今夜、サヨリは天国へ旅立ちます。今まさに、旅立っている頃ですね。部屋の隅、デスクの下、頬をかすめる微かな風……それでも何かしら、今でもサヨリの気配を感じます。猫は人間を監視していると言うけれど、きっとそれは〝見守っている〟と言い換えた方がよいでしょう。

 ブログを書く僕の背中を、サヨリはずっと見守ってくれて。たまに、真正面からガン見されたり、膝の上から見上げられたり……その積み重ねの先に、今の僕のカタチがあって……そう思えば、サヨリは飼い猫ではなくて、共に戦う同士のような存在でした。今夜は、愛しい同士の旅たちの夜。「じゃ、またな!」そう笑って、見送ってあげましょう(笑)

 ひとりぼっちの事務所の中で。ふと、サヨリの気配を感じたら。天国からこっそりと、サヨリが遊びに来た証拠。だから、遠慮しないで遊びに来まい。お父ちゃん、待ってるから。また、一緒に散歩へ行こう!

 なぁ、サヨリ……そっちは、寒くはないか?……そっか、よかった(笑)

猫のひなたぼっこ

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