玉ねぎの植え付け(2025)

畑の話
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 2025年10月30日(木)

 明日は、雨……か。天気予報では雨の金曜日が続くらしい。玉ねぎの植え付けはしばらくおあずけ。そのうちに、寒さが増してゆくのだろう。季節は夏から冬って感じで、今年の秋も短いようだ。いうーて、霜月は目の前に……季節の帳尻を合わすかのように、ちゃっかり冬は追いつている。てか……謎の彗星、3I/ATLASはどうなった? 宇宙人の乗り物だって、ネットで大騒ぎしていた都市伝説系オオカミ少年たちはどこ行った? 何はともあれ、地球が平和で何よりだ。そんなことより、玉ねぎだ……。

 三日ぶりに畑に行くと、やる気を見せる玉ねぎの苗。じゃぁ、やっとく? 玉ねぎの植え付けは、腰にダメージを与えてくれる。グキっとなったら、お終いだ。だったら、暖かいうちにやっとくかい? すでに畝の準備は整っている。わざわざ待つ必要もないだろう。

 じゃ、やりますか。

 軽く土を耕して、表面を水平にならしてマルチを張った。いい感じに湿った土。マルチの穴に指を突き立てて、できた穴に苗を入れる。なんだろ……よきかな。じゃあ、半分だけ。60本だけ。そう思って始めると、楽しくなって勢い余って全部の苗を植えていた。ざっくり数えてみると、140本も植えている。セルトレイで芽吹いた苗は、僕の見立てよりも多かった(汗)

───漁師は老いていた。そして、オイラも老いている。半腰作業のダメージが、貞子くらい腰にクル。

 昨日、ヘミングウェイの「老人と海」を読んだ。130ページほどの短い小説。ジジイが小舟で漁に出る物語。それだけなのに面白かった。釣り好きな僕には楽しめた。

 若い気分はそのままに、気迫と経験値だけがジジイの武器だ。1匹も釣れない日々が、84日も続いている。それでもジジイは大物を狙っていた。こっちは、しゃがんで苗を植えている。年甲斐もなく無理をするのは、海も畑も同じだな。とはいえ、ジジイは5.48メートルもの大物を射止めた。さらに複数のサメとも戦った。なぁ、まさよし。向かいのホーム、路地裏の窓。そんな胆力あるはずないのに……小舟の上では苦難が続く。「大丈夫か? ジジイぃぃぃ!」こんなにジジイを応援した小説なんて初めてだ。ヘミングウェイの老人と海。小説の肥やしどころか、それはトークのネタになっていた。今日はふたりにジジイの雄姿を語ってやった(笑)

 読書を語るのは大切だ。アツい分だけ深く記憶に刻まれる。

 1985年。公開したばかりのバック・トゥ・ザ・フューチャーを、ラジオで熱く語る男がいた。往年の浜村淳はエンドロールまで語り続け、それを公共の電波でやってのけた。僕もリアルに聴いた放送は、ラジオ史に残る伝説となった。ネタバレに厳しい今とは違って、昔の映画紹介はのどかだった。完全ネタバレさせたとて観客の足を映画館に運ばせた、浜村節の偉大さよ。「さて、みなさん……」そんな調子で語ってやった。さぁ、キミたちも本屋へ足を運ぶがいい。

 そして、話題を玉ねぎに戻そう(笑)

 マルチの上のもみ殻は、マルチから露出した穴の雑草を抑えると共に、マリリンのスカートだって被害にあった、風のいたずらを防ぐため。写真の奥側(南側)のマルチは危なっかしいので石まで乗せた。畑のマリリンを守るため! 土の素肌を見せてはいけない。雨が予報どおりに降るのなら、水の重みがマリリンを守ってくれるだろう。

 畝と畝との間のビニールシート。そこに、もみ殻の山が隠れている。もみ殻の中には、温存していたというか、食べるには小さくて、捨てるのには愛おしい。畑で保管していた、のりぴー2号(サツマイモ)が眠っている。

 これで芽出しはできなくとも、越冬だけなら可能なはずだ。並行して芋蔓だって仕込んでいるし、事務所には大きな種芋だって保管している。去年と今年は、事務所の種芋から始めたのだ。仮に畑の仕込みが失敗だとて、致命傷にはならないだろう。もう、何年もやってきたのだ。芽出しの要領くらいは心得ている。のりぴーは強い子だから、その程度じゃへこたれません(笑)

 その一方で、今年の大根は危機から始まる。

 悪の手先。オンブバッタにやられた大根は、不織布のウォール・マリアでの対策を試みた。今日見ると、へたばった葉っぱが活力に満ちていた。少年の朝のように、もっこりと不織布を持ち上げて。不織布を捲ってみると、大根が天に向かって長い葉っぱを立てた。さて、この大根。おでんにしようか、それとも、ぶり大根にしてやろうか……虫よけネットに守られた、白菜ができたら鍋もいい。何はともあれ、今年も大根を買わずにイケそうだ(笑)

 これで、冬の仕込みは整った。定期的に雨が降れば水やりすら必要ない。野菜の力を信じて、果報を寝て待つだけである。

 曜日を跨いだ深夜2時……始まった。ポツポツと屋根を叩く雨の音。いいぞ、いいぞ。もっとやれ!(笑)

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