キッチンペーパー

家でコイツが待っている
猫の話
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 高松の早朝は、秋をすっ飛ばして冬のような寒さになりました。不要な買い物をしてしまいました。キッチンペーパーです。相棒からも言われましたが、習慣とは、中々どうして……抜けないものだと知りました。何処の家庭にもあるでしょう? でも、事務所では不要なのです。そんな、キッチンペーパーの話題をするのは初めてですが、僕と愛猫サヨリにとって、キッチンペーパーとは、とても大切なアイテムでした。

 8年前から、サヨリは目やにと鼻水が酷い子でした。10年ほど昔、サヨリは一度目の瀕死という状態に陥りました。生死の境を彷徨った原因はウィルスの感染でした。病院で胃袋に直接管を通して、そこから食事を取る日々が続きました。当時のサヨリは、家族が面倒をみていたので、どうやって食事を与えていたのか? それを僕が知る由もありません。ただ……ゲージの中のサヨリの腹に刺さった管を見て、この状態で生きているのが不思議でした。小さなゲージの中で、数日を過ごしたサヨリは、自分で勝手に胃袋から管を抜いて、見事な復活劇を果たしました。管の抜けた傷口について、特別な処置はなかったようです。つえーな、猫……。

 当時の僕は、サヨリにノータッチだったのですが、入院前日の夜。どういうわけだか、僕の膝の上でサヨリは一夜を明かしました。もう……息も絶え絶えとは、このことで。どう見ても、こいつ、死ぬな……。そう思いながら膝の上で好きにさせてやりました。朝日が昇る時刻になると、この子の亡骸をどうしましょうか? そればかりを考えます。たぶん、汚れ仕事は僕の役目なのだから……。それを思えばずいぶん長く、サヨリは生きられた気がします。でも、もうちょっと……そんな我がままな願望もあるけれど。

 サヨリを事務所に引き取ってから、このブログを始めました。サヨリの写真を撮るにしても、ウィルスの後遺症で、いつだって、顔は目やにと鼻水にまみれていて、他所様に見せられたものではありません。なので、写真撮影の前になると、ティッシュで顔を拭くのが習慣になりました。その度に、サヨリは不機嫌な顔をします。せめて小さな鼻の穴から鼻水を、チーンとかんでくれたらいいのに。何度思ったかしれません(汗)

 年老いて牙が抜け落ち痩せこけて、本格的に調子が悪くなると、目やにと鼻水に加えて、ヨダレまでもが顔を汚します。サヨリが、ヨダレかけをしていた頃です。もはや到底、ティッシュなどでは追いつきません。ご飯も喉を通らないはずなのに、お刺身だけは食べられる。なんとも贅沢な体勢に入った頃……キッチンペーパーなら、やれんじゃね? そう思い立ったのが、功を奏したようで、サヨリも嫌がることなく顔を拭かせてくれました。そしてゆっくりと、サヨリはブログから遠ざかることになりました。それは意図的にそうしました。いつだって、サヨリには読者の方に元気だと思ってほしいから。可愛そうな姿など、僕に見せられるはずもありません。

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 〝今日もサヨリは元気です(笑)〟それは、僕から友人へ向けたメッセージになりました。サヨリが死ぬ前々日まで、この言葉を欠かしたことはなかったけれど、たった一度だけ。書き忘れて、書き漏らした日がありました。〝サヨリさんに何かあったの?〟もうね、速攻で友人からメール来ました(汗) それからは、欠かさず書き続けましたが、サヨリと別れる前日の夜。もはや、書くことができませんでした……そんな状態ではありませんでした。なんか、ねぇ……すいません。

 何年も、キッチンペーパーを常備する生活が続きました。だから、今日も買っちゃいました。サヨリはもう、居ないのに(汗)

 サヨリが居なくなると、トイレの猫砂を足の裏にくっ付けて、サヨリが床を汚すこともありません。換毛期の膨大な抜け毛の心配もありません。吐き戻しの掃除もありません。日々の床の拭き掃除。その回数が減りました。未だに掃除をしていると、サヨリの体毛と猫砂の粒を見かけます。僕の居ない間にこっそりと、サヨリは帰っているのでしょう。冬は猫とのスキンシップの季節なのに、この冬は……とても寒くなりそうです。

 にしても……このキッチンペーパー、新たな使い道を探さないとですね(笑)

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