近すぎて登らない山がある。身近すぎて泳がない海がある。子どもの頃からあるからこそ、敷居の高いうどん屋もある。僕にとって善やはそんなうどん屋だ。生涯を通して思えば、食べた回数は他のうどん店の比ではなく、来店の多い部類に属するのだけれど、何年か前に経営者が変わった。僕の足は遠のいた。
「味をそのまま引き継ぐ…」そんな噂も小耳に挟んだけれど、うどんはそんな単純なものではない。善やはうどんブロガーにお任せ。そのスタンスを変える気など毛頭なかった。その点において僕は天邪鬼で頑固者なのだろう。
その考えを変えさせたのは、他でもなく善やの公式サイトだった。
創業昭和54年から33年も続く老舗です。香川県高松市屋島にあります。「屋島の名店」と言われています。私は「善や」の3代目にあたります。最近、先代から「善や」を継承しました。それまでは、「善や」のうどんが大好きで毎週食べに行っていました。平成24年3月25日、いつものように、お店に食べにいくと、なんとお店に閉店の張り紙が・・・・・!
手打ちうどん善や「店舗紹介」より引用
事の真相を知って決めた。「明日の昼は善やに行こう」。2021年(令和3年)。お昼前の11時過ぎ。僕は善やの暖簾をくぐった。中学、高校、子供を連れて…以前と変わらぬ光景が目の前に広がった。
善やの野菜天ざる
三代目善や
店内はお客でいっぱいだった。何ひとつ変わらない店内に、時が戻ったかのような錯覚すら覚えた。善やはセルフうどん店ではなく、注文を聞きに来てくれて、うどんを持って来てくれて、どんぶりを返す必要はない。
注文は昔っから決まっている。夏は野菜天ざる、冬は野菜天。善やといえば野菜天なのだ。これしか勝たん。先ずはこれからでなければ始まらない。
椅子に座わってじっと待つ。ドタバタとしたセルフ癖が身に沁みついて落ち着かない。落ち着かないから愛猫サヨリの写真チェック。あら可愛い。可愛いの暴力を受けながら写真を眺める。サヨリさん、今日も豪快に眠っているね、僕の椅子を独占して。
しばらくすると野菜天ざるが運ばれた。ひと目で分かった。見た瞬間に味が見えた。不味いわけがない。誰が見たってそう思う。
もうね、うどんの決め手はコシと艶。うどんの美人さんは味も美人。艶やかで、妖艶で、食べるものの下に吸い付く。BGMには「うどんかぞえうた」。きつね、月見、天ぷら、お肉、鍋焼き―――どうやっても美味い。
薬味のうずらの卵も昔のまま。過去の記憶と照らし合わせながらひとくち目。うどんが長い。めちゃ長い。ツヤツヤをつけ出汁に入れ、ズズッとすすると、鼻に抜ける小麦の香り。口の中で踊る麺。頬粘膜と硬口蓋に麺肌が触る心地よさ。上質なうどんだと舌と心で感じます。甘辛い付け出汁は、そのまま飲めるし実際に飲み干した。出汁も僕には合っています。よき進化を果したおうどんでした。ご馳走さまでした。
三代目善やもアタリ。
ひとりじゃ勿体ないので、
今度は友達と一緒に立ち寄ろう
二代目との比較
上記写真は僕のお気に入りの野菜天。撮影日は2011年(平成23年)12月1日。この年末の年越しうどんは善やでうどん玉を買って年越しを祝った。別のブログで讃岐うどん店巡りをしまくっていた頃に撮影したもの。善や初代の味はあまり記憶に残っていない。二代目の味を僕の舌は一番記憶している。申し訳ないと思いながらも二代目の味と比較。これはブログ記事なので…そういう事です。
僕の中の二代目善やは女性好みの麺。そう考えています。固く無くソフトな中にコシも少々。お昼のメンバーに女性がいる場合は善やを勧める事が多かった。男性同士ならリーズナブルなキリンへと足が向く。ついでに書くとキリンのお勧めはカレーうどんとコロッケ。カレーうどんには一味をたっぷりと乗せるとココイチ5辛程度の刺激を味わえます。
で、今回の主役である三代目。男性でもいけます。見事に柔いの中にコシの存在感がしっかりと。麺を冷水で冷やして絞めた、ざる故のマジックなのかも知れないのだけれど、二代目当時よりもフレッシュなコシを感じました。実食してみて思う事。
やっぱりお姉さんと行くなら善やさんですなぁ~
これをやってくれたのだから、さぞかし先代も満足している事でしょう。よき三代目です。
2021年10月13日。野菜天うどんを食べて来たので写真を載せて置きます。
僕がうどん屋レビューをあまりしない理由
香川県に住み、うどん県民を主張する僕なのだけれど、うどん店のレビュー記事は微々たるもの。1,500記事に対して10記事あるかないか。少ないのにも程がある。「実はうどん屋さんで食べてないんじゃね?」とか「うどん屋さんへ行ってないんじゃね?」とか。そう思われても構わないし、気にもならない。県民並みにうどん店を利用しているのは揺るがない事実。そして毎日うどんでも生きていける自信もある。
でも書かない。でも書けない。だってそうでしょう?、何でもかんでも書けば良い。讃岐うどんは、そんなものではありません。うまいとか、凄いとか、感動したとか、コスパが高いとか…そんなうどん店なら喜んで書くし、キーボードが指を離してはくれない。毎日、讃岐うどんの記事が書ければどれだけ幸せか。利権や特権も何も無いのだから、書かない権利は認めて欲しい。裏を返せば、記事化したうどん店は是非とも足を運んで欲しいとも願っているのです。
ブログは数が命だけれど―――嘘は書けない。
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今のおすすめ記事は『ユニクロのヒートテック2021が暑い!』デス❤
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