011 兄さん
「サヨリさん、おかえりなさい。チョコちゃんとお友だちになれた?」
散歩から戻ったボクに向かって、トビちゃんが両手を広げます。迷わずボクは、トビちゃんの胸ポッケの中に入りました。この中に入ると、なぜだか心が和みます。
「サヨリさま。自分、また遊びに来ても、いいっすか?」
チョコがボクを見上げて言いました……トビちゃんの前で〝さま〟だけは、やめてほしい。
「チョコちゃん。サヨっちで、ええんやで」
ボクは笑って言いました。チョコはしばらく考えて
「分かったっす。だったら、兄貴で構わんでっしゃろか?」
クスクスとトビちゃんが笑っています。なんだか面倒くさくなったので
「せめて兄さんで」
と答えました。
「ほな、サヨリ兄さん。自分も十蔵さんちへ戻るっす!」
ボクにペコリと頭を下げると、チョコは十蔵の木へ走っていきました。青い空を見上げると、飛行機や自動車や文房具やパソコンなんかも……いろんなものが飛んでいます。ボクには、それが不思議でたまりません。
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