書きかけのストーリー

夕映えが美しいように 老人の場所から見た世界は美しいのです
小説の話
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 2週間前の夜、サヨリが去った雨の夜。僕は小説の続きを書いていました。水曜日は〝飼い猫信長と野良猫家康〟の更新日だったので、サヨリを僕の隣で寝かしつけて、その続きを書きました。手を伸ばせばいつだって、小さな頭に手が届く。早くこれを書き終えて、大好きなちゅーるを食べようね(笑) そうやって、僕は執筆ゾーンに入りました。

 とても静かな夜で、サヨリの寝息だけが聞こえていて、その寝息さえもが静かになって、ここで一息。さぁ、ちゅーるを食べようか?……僕の隣のサヨリには、もう呼吸する力さえありませんでした。いつもの可愛い寝顔そのままに、サヨリはこの世を去りました。ゼイゼイと息を荒げて苦しんだり、死に際に声を出すことも何もなく、ブログを書く僕の隣であっけなく、僕の愛猫は死にました。目を閉じていたけれど、サヨリの顔は、僕の方を向いていました。最後まで、サヨリは僕を見てくれました。

 〝キジとら〟は、彼と一緒に始めたブログですから、ブロブの中に、彼の思い出が詰まっています。そして僕は、書くことしかできないバカだから、最後の最後まで、サヨリは見守ってくれたのだ……そこに着地点を見出さなければ、このバカは悔やんでも悔やみきれません。だから最初から最後まで、いつも寄り添ってくれて、ありがとね(笑) そう思うことに決めました。

 そう思いながら二週間を過ごしました。そんなふうに書きながらも、こうしたらよかったかな? ああすればよかったかな? もっと、こう……こんなふうに。そう思ってしまうのも、それは、仕方のないことだけれども。どうしても……あの夜を思い出すと、書けかけのストーリーを書くことができません。お恥ずかしながらあの夜に、僕は何を書いたのか? それすら忘れてしまっていたのです。僕は、物書き失格です。

 とはいえども、一歩でも。歩を進めなければ……半歩でも。ようやっと、あの日のストーリーを読み返し、もうそれは、ほとんど書き終えていたのですけれど、それを微調整して、最後に新たなエピソードをひとつ足しました。それは、明日の更新で一読くだされば幸いです。

 ブログのカレンダーを眺むれば、サヨリの初七日を機に、割と真面目に更新を続けていたことに気づきます。その内容は、常連様へのメッセージがほとんどです。予期せぬアクセス不能な状態に陥った原因を書いたり、ご飯はちゃんと食べていますよ……と。ココイチのカレーを食べた話を書いてみたり。畑も再始動しましたよ……と。僕からキチンとお知らせしたかった。大切な方へ伝えたい。そんな、事柄ばかりを書いてきました。一見様には、何がなにやら……そんな内容だったと思います。つまらない話でほんとうに、申し訳ないとも思います。

 話は変わるのですけれど、来月、11月18日で毎日連続更新記録が、まる三年を迎える予定でした。石の上にも三年で、それを機に、僕は不定期更新に切り替えるつもりでした。ブログと週三本の小説で、僕の気力と目が限界に近く、それはまさしく無理ゲーでした。このことは、事前に相棒にも伝えていた内容です。僕の提案を、相棒は気持ちよく受け入れてくれました。あと一ヶ月……だったのに。相棒が言いました。友人も、サヨリさんも、あなたに休んでほしかったのだと思います。だから、しっかり休んでください……。

 無理と無茶を貫いて、時間に追われる日々の中……「少し、休むにゃ」これが、サヨリからの最後のメッセージだったのかもしれません。少しお休みをいただいて、その間、あらゆる画面から目を遠ざけると、不調だった目の具合が、すこぶるよくなりました。目の調子がよくなると、書くスピードが爆速になるのを感じます。脳の働きがよくなるのも感じます。この調子なら、一日二本くらい書けそうです。でもこれからは、ゆっくりと。そして、のんびりと……。

 そう思いながら、でもやっぱり。つまらない何かを、僕は書いてしまうのです……。

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