
後ろの席の飛川さん〝019 トイレで芽生える友情もある〟
生理現象とは不思議なもので、時間の法則性があるようだ。三時限目の休憩時間。決まってボクはトイレに駆け込む。明光中学に入学してからというもの、これがボクの習慣になっていた。 隣のクラスの中原君も、ボクと同じサイクルで生きているようだ。毎日のように、トイレで彼と顔を合わすけれど、言葉を交わしたことは一度もなかった。 まぁ、別のクラスの生徒である。率先して、ボクから話しかける相手でもない。「なんでやろ? モテないなぁ~」 これが彼の口癖だ。いつも前髪を弄りながら、鏡に向かって呟いている。まるで白雪姫の継母ままははのよう。気持ち悪いとボクは思った。 獲物を狙うトラの目で、津島君を追う姿はそこになく、モ...