それだとて、今日もサヨリは元気です(笑)

猫の話
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「猫ちゃん、いくつ?」

「忘れた」

 意図的に、僕は愛猫サヨリの年齢を考えない。永遠の十歳くらいで留めておきたい。そうでもしなけりゃ、やってられない。それなりの老猫だけれど、まだまだイケるっしょ? そんなぶらり散歩気分で、毎日を過ごしたい。こいつの頭を撫でていたい。

 猫ブームが始まってすぐ、猫を飼い始めた人々も、たぶん、同じ気持ちで生きている。僕は、そう思いたい。

 ところが……だ。

 思わぬ方向から、サヨリの年齢を考えさせられた───オカンである。

 話は変わるが、オカンの飼い犬は僕のことが大好きだ。ちなみにメス犬である。その愛情表現があからさまで、飼い主のオカンが苦笑いするほどなのである。恋する乙女の瞳が眩しい。例えが悪いかもしれないが、愛妻が会う度に、毎度毎度、全力で他の男に抱きつくようなものである。旦那としては、そんなのたまったもんじゃない。そんな目をオカンはするのだ。このときばかりは、めっちゃ優越感にひたれるけれど……(笑)

見上げるダックス

 犬に向かって、僕はいつも同じことを言う。

「ごめんなぁ……オイラにゃ、猫ちゃんがいるからなぁ……。だから、浮気はできんのよぉ~」

 そう言いながら、僕は犬の腹をさする。そこにオカンバズーカがぶっ放された。

「この子、もう14歳なの」

「げ?」

 目の前の中二病を撫でながら、咄嗟にサヨリの年を考える。てか、計算してしまっていた……げ?

 つーことは……サヨリが家族になって数日後、獣医さんの見立てによるとサヨリは推定三歳だった。その数年後、この子(犬)がオカンの所にやってきて……。そこで僕の思考が強制終了されたのは言うまでもなく、なんだか僕は深いため息をついていた。

 すでにサヨリは、猫又になる年頃だった……。

 事務所に向かうバイクの上で、過去のサヨリを想い出す。事務所を持ってからの記録は、ブログに書いてきたとおりだけれど、それより以前にも色々あった。たぶん記事ネタにするのなら、そっちの方が面白いだろう。逃亡したサヨリを探し回っていたら、洗濯機の中で寝ていたとか。初めてのブラッシングでゾットするほど毛が抜けたとか。指を数えたら四本で、五本目の指を探し回っただとか……。そんな記憶が蘇る。

「おーい、おーい」

 事務所の鉄扉てっぴの向こうから、サヨリの声が響いている。それは健康のバロメータ。うん、生きている。扉を開くとオラオラと、サヨリが僕の足に顔を擦りつける。それはいつもの光景だけれど、いつもと違ういとしさを僕は感じていた。

 これから夏がやってくる。サヨリの苦手な夏である。今は、友人にもらったプールがお気に入り。たまにへんてこな体勢で寝ているけれども(汗)

 生きとし生けるものには寿命がある。決して逃れられぬ運命さだめでもある。それは、僕もサヨリも同じこと。逃げも隠れもできやしない。それだとて、今日もサヨリは元気です(笑)

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