本屋に本が無かった日

小説の話
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 久々に本屋に行くと、お目当ての本が何処にも無かった。

 それは、よくある話である。でも、文豪と称される作家の作品なのですが? 誰もが知ってるタイトルですけど? それがとても、腑に落ちない。だって、そうでしょ? 三島と太宰だもの。いくら教養なき僕だとて、ふたりの名前だけなら知ってるよ。だからこそ、スーパーから〝かっぱえびせん〟が消滅したくらいの驚きだった───ホントに……無いの?

 きっと、何年も昔からそうなのだろう。本は商品、売れてナンボ。本を並べるスペースだって、店からすればタダじゃない。その事情も理解している。でも……無いの? あると信じていただけに、少しガッカリした気分になった。学生時代にズラリと並んだ赤川次郎作品も、今では数冊が並ぶだけだ。

 それだとて、ブックオフにはあるだろう……その考えさもが甘かった。ブックオフなのに、店内に入るとハードオフのようになっている。巨大な空間に本棚のスペースがおまけのようだ。一般書籍は、カードゲームやゲームソフトに陣取り合戦で負けていた。

 金閣寺と人間失格。ここに来ても、お目当ての本が見つからない。ブックオフって、こんなんだっけ? 亀を助けた記憶もないのに、浦島太郎の気分になって、100均棚から春樹の森を手に取った。僕らの世代、意識高い系の知人の本棚には必ずあったハートカクテル。その横に、AKIRAと並んでノルウェイの森が飾ってあった。これが、一冊100円ですか?……そそくさと、僕は本を片手にレジへと向かう───つまり、そういうことです(汗)

 ブックオフの店の前。そこに置かれた青いベンチに腰を落として、無いものは無いってか! スマホでAmazon開いてポチっとな。Kindleならば、すぐに読める。けれど、紙の本が読みたくて、数日のタイムロスなど気にしない。だったら、本屋で取り寄せればよかったのに。日本の経済を回せばよかった……。後で思えば、そうなのだけど、夏の暑さで、そこまで気が回らなかった。それが、Amazonの強さの秘密なのだろう。それを、少し理解できた気がすると、本屋の未来にゾッとした。ネットでしか本が買えない未来が見えた。

 ブックオフからの帰り道、ちゅーるを買うべくスーパーに寄った。なんだかなぁ……去年まで、60円そこそこだったはずなのに、水が100円ラインにまで近づいている。玉子の値段にもビックリだ。玉子って……こんなに小さかったっけ? てか、ネットニュースさながらに、米の棚が空っぽだ……。あまり多くを語らないけれど、去年も今年も、近くの田んぼじゃ稲はスクスク育っていますけど? それなのに、讃岐オリジナル米〝おいでまい〟まで棚から消えた。

 このモヤッとした感じ……必殺仕事人で見た気がするのは、僕だけ?

 

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