ダイソーだっけ? ワッツだっけ? どっちだったか忘れたけれど、100均で時計を買いました。枠が黒くて文字盤が白で、直径15センチほどの掛け時計。
どこで、こいつを買ったのか? それが思い出せないのは、9月の初めに買ったから。昨日のことさえ忘れる僕である。1ヶ月も昔のことなんて、遙か忘却の彼方へ消えてしまう……悲しいけれど、年を取るとはそういうことだ。買ったことを覚えているだけ、よしとしよう(笑)
あれだ……「これ欲しい!」と思った商品は、軽々と100円を超えるのに、200円ならラッキーなんて気分にもなる。そのうち耳障りのいい響きを使って、100円ショップはワンコイン・ショップへと変貌してゆくのだろう。冷静に考えて、価格が5倍になると思っただけでゾッとする(汗)
とはいえ、今の時代に掛け時計を購入する理由が僕にはなくて、スマホがなくても腕時計があれば十分で、どうしてこれが必要なのか? その理由は単純で、カチカチカチ……。この音が欲しかった。
「赤いコードと青いコード。どっちを切る?」昭和の刑事ドラマや映画の中で、時限爆弾が発するアナログ音。このカチカチ音があるだけで、不思議なことに集中力が途切れない。てか、集中力が持続する。書き物をしている僕としては、この恩恵が割とデカい。
それに気づいたのは、8月終わりの夜勤の日。誰もいない事務所で仕事をしていると「あれ? もう、こんな時間?」時を飛び越したかのように時計の針が進んでいた。そんなことが数回続くと、静かだから? なんか違う……その原因を探りたくもなる。
これですか? もしかして……静寂の事務所には特別な音が響いていた。カチカチカチ……これなのか? 一定のリズムを刻む秒針の音。きっと、これであるのに違いない。それに気づいた途端、僕の購入意欲が高まった───これ、欲しい。
さすがに事務所の大きな掛け時計は、高級そうで手が出ない。そこで思い出す。100均で掛け時計を見たことあるぞ、と。とはいえ、冷蔵庫やエアコンでさえ消音が叫ばれる時代に、たとえ100均だとて、あんな音色を出すのだろうか? スマホでネットの情報を調べてみると、安い商品はうるさいらしい……じゃぁ、決まり!
掛け時計を箱から出して、単三電池を一本入れて、時計の針を合わせて耳を澄ますと……カチカチカチ。時計が発する機械音が、1秒、1秒を刻んでいる。しかも、音がデカい。昭和の目覚まし時計の音がした。針に蛍光塗料が塗ってあって、電気を消すと蛍のように光るやつ。これが分かるあなた、そりゃもう、お友達です(笑)
それからは、時計が奏でる針の音が執筆時のBGMとなる。案の定、思惑どおり、以前のような集中力の途切れもなくて、よき買い物をしたと思う。ちなみにアナログ時計の秒針音は、YouTubeでも公開されている。ご興味のある方はご参考まで(笑)
誰も知らないことだけど、この世で天道さんだけが知っている。それを実行に移すまで、かれこれ3年もの時間を要してしまった。昨日のことさえ忘れる僕が、ポメラを手にした3年前に受け取った、メールの言葉が忘れられない。
アニキがくれた〝これが最後のおたよりです〟。その最終ページがトリガーとなって、その言葉が重みを増してゆく。これを神さまの伏線と呼ぶのなら、やっぱ、回収しないといけないな(笑)

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