小玉スイカは普通に割れる

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割れた水はパックマン
自家菜園

「割れるの?」

「割れるわよ」

 桃の摘果作業の件で、師匠の奥さんの所へ挨拶に行った。桃畑である。去年はこんなに小さかったっけ?。枝に実る桃ベビーが小さく見えた。畑の桃を確認しながら一廻りすると奥さんが立っていた。ハッキリ言って桃の摘果作業は重労働である。昨年、僕を巻き込んだ相棒は早々にリタイアを決め込んでいる。僕も仕事があるものだから、フルタイムでお手伝いが出来ない状況である。奥さんひとりで出来るのだろうか?。余所事ながら心配にもなる。出来る範囲でがんばろ。

「明日からお世話になります」

「来てくれるの?」

「ウェルカムです(汗)」

「今年はキツく摘果してね」

キツくとは、しっかり実を取り除いてねと言う意味である。

「自分の畑で摘果の意味が分かったから大丈夫ですよ、多分」

「今、何植えてるの?」

「えっと、ズッキーニと、きゅうりと、トウモロコシと、ナスと、ピーマンくらいです。トマトはポットの中で一番花が咲いたら畝に植えようかな。スイカもポットの中です」

「苗から?」

「タネから」

「あらま(汗)」

「去年のスイカはポンポン割れたからリベンジですよ(汗)」

 スイカの爆発の途端、奥さんの目が光ったように見えた。何かを引き出せる匂いする。湘南の風行きのバスに乗れそう。緊張走る桃畑。ウグイスのホーホケキョが煩くて、今日もサヨリは元気です。

――うっせぇ~な、鳴くのやめろよ、ホトトギス

 ホーホケキョには続きがある。ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ……たまに下手くそなのもいる。その下手くそに割って入るように奥さんが口火を切った。

「小玉?」

「小玉」

「割れるでしょ?」

「割れました」

「小玉はねぇ~、割れるのよ」

「何で?」

 この続きが読みたいアナタ、そりゃもう、お友達です。魂の戦士です(笑)。

「皮が薄いからじゃ無い?」

「大玉なら割れないの?……あ、去年の割れてないの大玉だった」

「雨が降ったらポンポン割れるね。去年は晴れが続いたから、うちのスイカも雨のたんびに割れたよ」

「露地で?」

「ハウスで(汗)」

 露地とは露地栽培の事で、畑の畝に普通に植えつける栽培方法である。この会話が意味する事は、雨を凌ぐ屋根があろうと無かろうと、スイカは割れるという事である。今年は雨対策で屋根でも……そう考えていた矢先のとんだ衝撃の告白であった。プロ農家の一言はライダーキックと同等の威力を持つ。スイカどころか僕の心の方が割れそうだ、キィー!!!。

「だったら大玉でも同じでしょ?」

「それがねぇ、割れないのよ。大玉は」

 目の前が暗くなる。だってそうでしょう?、今シーズン、僕が準備していた苗は小玉スイカのみである。シャリッ娘と言う名の箱入り娘。『この夏、割れます!』宣言されたものだから、何も知らずにポットで育つ6人娘の運命は?。そんな気分にもなる。

「キジトラさん、今なら間に合うわよっ!」

「ホムセンで大玉の苗を買って来ようかな。一株、遊びでやってみよかな」

 畑の青写真が脆くも崩れた。余儀なく野菜の配置計画の再検討が必要となった。ちょっともう、力が出ない。身も心も消力(シャオリー)の極みであった。ホーホケキョ!、ケキョ、ケキョ、ケキョ、ケキョ、ヶ?。山の麓でホトトギスが大きく鳴いた。お前、本気で鳴くの下手だな。帰りにホムセン直行便だったのは言うまでも無い。小玉スイカは普通に割れる。あくまでも僕らの会話の中での話である。信じるも勝手、信じないも勝手。そう言う事です。

じゃ、また明日(笑)。

コメント

  1. 割れて当たり前と腹を括れ。そういう事か…。リクエストで小玉スイカ作ってくれた人、昨年は2個割れて34個収穫しました。僕が手伝う事も無く、結局1人で作業してた…。皮が薄かで、皮が固くなったら大きくなる時バン、高温もバン、急な水分量変化、気温変化もバン。赤ちゃんスイカは繊細なの。 雉虎さん。腹を括ってシャリッ娘、やりましょうよ!。

    • 34個…す…凄いですね。全然知りませんでした、初耳です(汗)。そんな事など一言も言わず「初めてなのに凄い、凄い」って褒めてばかり。良かったぁ〜、偉そうな素ぶりを出さなくて。もうね、恐ろしく甘やかされていたのだと痛感しています(汗汗汗)。シャリっ娘の苗だけは売るほど作ったので、34個までとは行けなくても何個かまともに出来るようにしないと。今季は畑の教科書の秘策とそれとは別の秘策とのツーパターンでやってみようと思います。何つーか、後から後から優しさだけしか感じない人だ(笑)。

      • 去年は特別に沢山作ってくれたんですよ。「来年は多分ないから沢山食べてね」って。他の人のリクエストは「昔食べたようなスイカの味」で、こちらの方が厄介だと言ってました。大玉で青臭さのある糖度が高くないのがいいのかな?って考えていたけど、そんなリクエストはムチャぶりだろって内心思っていました。

        • 味の指定は無茶振りですね(汗)。それでも一生懸命に考えるところが彼女らしいです。明後日の更新は時間の関係で少し遅れますが、シレっと投稿するので心配しないで下さいね。僕には大切な日なので(笑)。

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