小説始めました

今日もサヨリは元気です(笑)”000 出会いと別れ”

000 出会いと別れ―――猫は飼い主を選んで姿を現す。飼い主に寄り添い、支え、癒やし……その短い生涯を終える。飼い主から、深き愛情を受けた猫は、毛皮を着替えて転生し、再び飼い主の前に現れるという……。「ア、アっ」 夏の雨の日、夏期講習の帰り道。俺は猫に呼び止められた。猫ってのは昔から「ニャー」って泣くもんじゃねーの? その独特な鳴き声に、俺は心底驚いた。くっきりと猫の額に描かれた〝M〟の文字も個性的。たぶんこの柄は、キジトラだったと記憶している。猫は俺に近づくと、足元に顎あごを擦こすりつけ、俺を見上げてを繰り返す―――その仕草に、俺の心臓がたゆとうた……「うちの子に、なっちゃう?」 猫は大きな...
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後ろの席の飛川さん〝026 イチゴを捨てるバカはいない 〟

真っ赤な夕陽に照らされた、高い高いのシルエット。 広瀬さんの写真には、幼き頃の飛川月読ひかわつくよが写っていた。尾辻さんの肩の上、桃の実に袋をかける飛川さん。夕焼け空と黒い影。その幻想的なコントラストが、ボクの想像力を刺激する。「オッツー、右」「あいよ」「もうちょい、上」「あいよ」 仲睦まじい、ふたりの姿が目に浮かぶ。父娘、兄妹、恋人……そして、未来の夫婦。このふたりには、すべての言葉が当てはまる。きっと、前世も、現世も、来世だって……写真が放つ幸せのオーラが、ボクをそう思わせてしまうのだ。 ふたりは、この夕暮れを何度も繰り返したのに違いない。繰り返す幸せ……その言葉と共に、彼女の自己紹介を思...
畑の話

小玉スイカの立体栽培(2025)

キュウリ、プリンスメロン、カボチャ……ウリ科の野菜は、あたかも雨上がりの雑草の如く、ある日を境に一気に成長するらしい。 日差しの強さと気温の上昇に誘われるように、グングンと小玉スイカが蔓を伸ばす。西のプリンスメロンに続けとばかりに、蔓が支柱を覆いつくす勢いだ。来週になれば、天井までも覆いつくすことになるのだろう。 ちょっと楽しみ(笑) スイカ栽培は、本葉5枚で親蔓つるを摘心し、元気な子蔓を4本伸ばし、孫蔓の管理に入る。けれど支柱はお祭り騒ぎ。どれが子だか孫だか分からない。こんなの、畑の学級崩壊じゃないか! 毎年、同じことの繰り返し。アニキにやり方、訊いときゃよかった(汗)───うん、わけわから...
畑の話

なんだこれは! ミニトマトがうますぎる

2025年6月19日(木) 完熟房なりを目指して、収穫に我慢に我慢を重ねたミニトマト。ところがどっこい、映える姿になる前に、赤い実が落ちていた……(汗) 残念だけれど諦めて、ミニトマトに手を伸ばす───収穫だ。 ミニトマトだとはいえ、初物である。長寿の初物七十五日と言われるのだから、こりゃまた、随分長生きができそうだ(笑) 肥料過多でヘンテコになったホーム太郎(大玉トマト)も、一個だけ収穫し、大玉ゼロだけは回避ができた。これ、喰えんの? ちょっと不安だ……。 なんてったっけ? 品種名が思い出せない。けれども、スーパーマルナカの店頭で、何百株も販売されていた苗である。同じ品種のミニトマトが、そこ...
畑の話

このままじゃ、キュウリの消費が追いつかなくて……

僕はキュウリ栽培が下手である。なんでだろう? 最初は採れても、しばらくすると失速する。うどんこ病になったり、葉っぱが虫食いで穴だらけになったり、急に枯れてしまったり……7月になるとやる気を失う。それが、うちのキュウリであった。 たくさん採れても困るのだから、キュウリはそれくらいで丁度いい(笑)自己消費には十分で、キュウリ作りを楽しめるだけで御の字だ。そんなぶらり散歩気分で、今年は二本の苗を植えた。今年は何本採れるかな? 毎日、数本採れるだけで、小さな幸せを感じられるものである(笑) 2025年6月17日(火) 昨日はキュウリが五本も採れた。たったの五本だけれど、僕としては豊作だ。次の収穫は、三...
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後ろの席の飛川さん〝025 誰にでも、特別な木があるものだ〟

飛川ひかわさんのレクチャーが終わると、老人たちから拍手が湧いた。───オッツーがね。オッツーがさ。それは、オッツーなのだから……。 ボクには惚気のろけにしか聞こえない。 それなのに、誰もが良質な恋愛映画を見終えたような顔である。目頭を押さえるおばあさんに、ウンウンと頷うなずく飛川さん。その笑みに、ペテン師だなとボクは思った。広瀬さんの薄い表情を鑑みれば、彼女も同意見のようである。「ところで月読つくよちゃん、専用の脚立は?」 そんなアイテムがあったのか? 麩菓子ふがしをくれたおばあさんが、思い出したように話題を変えた。「もうないの……」 しょぼんとして、がっかり顔の飛川さん。その脚立、壊れたの?...
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後ろの席の飛川さん〝024 素手で握ったおむすびは、魔法の調味料の味がする〟

桃畑の昼下がり。 桃の木陰に敷かれたシートの真ん中で、おにぎりを頬張る飛川ひかわさん。その隣でゆっくりと、二個目のおにぎりに手を伸ばす広瀬さん。「ふたりとも、やってんねぇ~」 ふたりの前に先生が座ると、そっとおしぼりを手渡す早川さん。その光景は、お花見を楽しむ家族のようだ。ボクはというと、シートの前に立ちすくむ。なんだか場違いな気がしたからだ。 こんなの、大縄飛びと同じじゃないか。あの輪の中へ入るタイミングがつかめない。「さぁ、さぁ。黄瀬きせ君も、座ってください。三縁さよりさんの隣にどうぞ」 ボクに向かって、手招きをする早川さん。なんて優しい人なんだ。それに比べて飛広とびひろコンビは、おにぎり...
畑の話

畑仕事の昼食は、主にバナナとキュウリです(汗)

───食中毒になるのは、最も愚かな行為である。 その考えになったのは、目の前で食中毒になった光景を見たからだ。さしずめそれは、恐怖以外の何ものでもなくて「恐ろしいものを見た!」って感じである。 それは忘れもしない、中学1年の梅雨明けの頃。一緒に弁当を食べていたクラスメイトに異変が起きた。ボリボリと、無言で首を搔き始めたと思ったら、見る見る顔に発疹が現れて、そのまま病院送りになったのだ。それを目の当たりにした僕は、心配よりも恐怖が勝った。 1980年といえば、13日の金曜日を始めとした、ホラー映画大ブームの年である。放課後の教室では毎日のように、女子たちがキューピットさんをやっていて、全国を恐怖...
畑の話

立体栽培している小玉スイカが、支柱の背を超えました

2025年6月13日(金) 13日の金曜日といえば、西洋では不吉な日だと言われている。80年代のホラー映画で、これでもかとすり込まれた恐怖だけれど、それはそれ、これはこれ。マイナス思考に引っ張られては、折角の一日が勿体ない。プラス思考で今日もやる(笑)───スイカの蔓が伸びてるやん! 昼休みに畑に行くと、小玉スイカの一本が、僕の背丈を遙かに超えて、アニキの身長まで伸びていた───モデル体型の一間いっけんだ(180センチ)。その後を追う4本も、ロボコンくらいがんばって、デンデンガンガン伸びてくれたらうれしいな。デンデンガンガンが分かるアナタ。そりゃもう、ホイデンガンでお友だちです(笑) 長く伸び...
畑の話

畑に植えたカスミソウが、想像以上にデカすぎて……

2025年6月10日(火) 今日は一日雨が降る。降りしきる雨の中、僕が畑に出向いたのは、イチゴとキュウリの収穫に加えて、どうやら肥料過多らしい、大玉トマトを観察するためだった。大玉トマトにつては、昨日の記事に書いたので、それについては割愛します。 今日の主役はカスミソウ。 カスミソウを畑に植えた。 亡き愛猫を偲んで植えた。 こんなに大きくなるのは予想外。 雨の影響なのか、なんなのか? カスミソウがブワっとなっている。なんつーの? ブワっとなって、畑の通路を塞いでいるのだ。そうなることを予測して、細い支柱とテグスを使って、カスミソウをグルグル巻きにしていたのだが、それでは到底、歯が立たなかったよ...
畑の話

これがトマトの肥料過多?

あの日の言葉に、気づいていれば……。 いつもそう、いつだってそう。トマト、キュウリ、ナス、スイカ……どんな苗でも、最初は順調そうに育つもの。いくばかの実をならせて、ボクを喜ばせてくれるけど……ところがどっこい、すっとこどっこい。梅雨に入ると話が変わる。何かしらのトラブルが発生するのだ。これが分かるアナタ、そりゃもうお友だちです(笑)「あら、トマトの茎が太いのね……」 これは、五月の初旬に言われた助言だ。この時、気づけばよかったけれど、個人的な諸事情で、心身ともにボロボロで、僕はトマトのサインを見逃した。太い茎と巻く葉っぱ。その異形の姿に浮かぶのは、肥料過多の症状だ。つまり、土に肥料を入れすぎた...
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後ろの席の飛川さん〝023 ボクに女子の気持ちは分かりません〟

ボクに冷たい視線を浴びせる広瀬さんとは対照的に、先生はなんてお優しい人なのだろう。桃の木の根元に置かれたクーラーボックスを指さして「黄瀬きせ君も、好きなのどれか選びなよ」 ボクが、勝手に桃畑を抜け出したことには触れもせず、そう言ってくれるのだ。「先生、ありがとうございます」 クーラーボックスの蓋ふたを開くと、中にはコーヒー、紅茶、麦茶、スポーツドリンクにジュース……様々な飲み物が入っている。 ヘビ騒動でカラカラに乾いたボクの喉は、迷うことなく麦茶を選ぶ。それを一気に飲み干すと、ボクは地面に腰を下ろした。休憩だ。「さ、やろ」 間髪入れずに、広瀬さんの声がする。「え?」 いくらボクが若くても、少し...
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後ろの席の飛川さん〝022 好きな人とふたりきりになるのは難しい〟

「ねぇ、きいちゃん」 クラスメイト飛川ひかわさんは、いつも笑顔で問いかける。飛川さんは、ボクを引きこもりの世界から、外の世界へ連れ出してくれた恩人だ。ボクは彼女に感謝の気持ちしかないのだが、今は恐怖だけしか感じない。 だって、そうだろ? ヘビを振り回しながら、自分に突進する少女がいれば、怖くてその場に立ちすくむ。誰だって、そうなるさ。「黄瀬きせ君。しっかりして、逃げるのよ」 広瀬さんの口数の多さが、ことの重大さを物語る。「きぃーちゃーん! にゃはははは」 その一方で、走るゾンビ化している飛川さん。ボクとの距離がドンドン縮む。「飛川さんが、どうしてヘビを?」 逃げる前に、それだけは知っておきたい...
雑談

極上のスイカを食べた

天道てんどうさんからメールが届く。天道さんは、僕の第三の協力者だ。そのメールには「アニキが作ったスイカを送りました」と書かれてあった。その内容に僕は驚いた。二年前、アニキからのメールには「茶熊さんが作ったスイカを送りました」と書いてあった。デジャヴという言葉があるけど、繰り返された現実に、僕はしばしたゆとうた。 昨日、スイカが届く。立派なスイカを眺めていると、アニキと文字を交わした二年間の記憶が蘇る。胸の中に懐かしさがこみ上げて、刹那に弾けて消えてゆく……さぁ、アニキのスイカを食べような。桃の摘果で流した汗を、アニキのスイカで補充しよう。食べにゃ、アニキに失礼だ(笑) アニキの作ったスイカは、...
畑の話

この黄色いテントウムシは、何者じゃ?

6月4日の昼休み。 畑の野菜を見回っていると、なんだこれ? 僕はナスの前でたゆとうた───ナスの葉に、見たこともない黄色いテントウムシがいるのだが……。 この虫は捕殺すべきか、どうしましょう? 黄色いテントウムシは、風の噂で益虫だと耳にしたことがある。幸せを呼ぶ虫だとも。とはいえ、謎の食害に瀕しているナスである。この虫が犯人候補にあがるのも、これもまた必然だけれど、無益な殺傷などしたくない。ここは写真に残して、僕は先人たちのアドバイスに従うことにした。この道、何十年ものベテランさんに、「このテントウムシ、見たことある?」 スマホの写真を見せると、ふたつのパターンの回答が得られた。「初めて見た」...
畑の話

トウモロコシの老化苗を、ダメ元で畝に植えた。

2025年、春───通年よりも気温が低い。野菜の成長が、中山七里の〝さよならドビュッシー〟くらい読めなくて……てか、頼みの綱のYahoo!天気がハズレに外れた。朝、明日の予報が100パーセント〝雨〟だったのに、夕方になると、しれっと50%になるのも慣れっこで、下手すりゃお日さまマークに変わっている。朝令暮改ちょうれいぼかいとはこのことだ。この春の天候は、岬洋介だってお手上げだ(笑) とはいえ、この春の寒さは明らかだ。通年よりも、桃の摘果が一週間遅く始まった。桃の実が、ある程度育たなければ、間引きの判断ができないからだ。一週間だけの遅れなのに、未だにゴールは遥かに遠く。いつ終わんの? って感じで...
畑の話

摘心したキュウリの親づるを、挿し木苗にできるかな?

───「キュウリは孫づるから採れ!」これは、近所のキュウリ農家からの教えである。 毎日のように、キュウリを収穫している僕なのに、昨日もその農家から、採りたてキュウリをいただいた。何年経っても、ひよっ子だ。調子に乗って「ハウスのスイカくれ!」というと「自分で作れ!」と言われて、くれなんだ……。 2025年6月4日(火)。キュウリの背丈が僕を超えた。長身のアニキよりも背が伸びた。まぁ、あんなに小さかったのに、こんなに立派になっちゃって(笑) だから、親づるの摘心をしようじゃないか。 そうすれば、ジャンジャンと親づるから子づるが伸びて、子づるを葉っぱ二枚で摘心すれば、わっさわっさと孫づるが伸びる。そ...
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後ろの席の飛川さん〝021 誰にでも、口に出せないわけがある〟

ふたりきりだ…… 広瀬さんと、山の中でふたりきり。もしこれが、男子生徒の耳に入れば、どんなに羨むことだろう。だが、現実はそうでもない。むしろ逆。「黄瀬きせ君。これを着て」「うん」 手渡されるままにヤッケを着る。ナイロン製の薄手の生地で、胸にポッケがついている。「黄瀬君。これつけて」「はい」 手渡されるままに手袋をつける。ナイロン素材で、手のひら側には天然ゴムがコーティングされている。「黄瀬君。これ、かぶって」「え?」 頭からフェイスマスクをすっぽりかぶる。冷やっとして、かぶり心地は悪くない。でも、必要性を感じない。「じゃ、これ最後」 やっぱり大きなゴーグルだ……なんだこれ? こんなのアメコミヒ...
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後ろの席の飛川さん〝020 友だちを誘うなら、何をするのか伝えましょう〟

五月、最後の金曜日。 太宰で攻めるか、それとも三島か。最近、川端文学にも興味湧く。この休みを利用して、古本屋めぐりもしてみたい。休日の読書に想いを馳せる。それが、ボクの楽しみなのだから、自然に顔がにやけてしまう……。「ねぇ、きいちゃん」 後ろの席の飛川ひかわさんは、いつも笑顔で問いかける。至福の時間を邪魔されたボクは、悟られぬようにムッとした。 にしても……最近、釣りでもしたのだろうか? すっかり小麦色の肌になっちゃって。太陽の光を体に浴びて、パワーアップでもしたかのようだ。ただでさえパワフルなのに、飛川さんの戦闘力が増している。「お休みの日。きいちゃんは、何をしているの? やっぱり、塾とかに...
畑の話

実が小さいのだが? 春ジャガ収穫(ダンシャク)2025

───2025年5月30日(土) 桃の摘果の合間で、春ジャガ(ダンシャク)の収穫を終えた。はっきりと言ってしまえば、こんなに? そう思うほどの不満足。なんつーの? 芋が小さい。実は先週、お試しで二本ほどの苗を掘ってみたけれど、芋が小さくて昨日まで温存したのだ。でもやっぱり、数はあれども小芋ばかり……。それも、種芋にさえ使えぬサイズが気に入らない。写真分だけしか採れていないのだから、ことジャガイモに関しては初めての失敗だった。 小芋なら皮付きで、油で揚げればとてもうまい。それはそうだし、そんな話を耳にする一方で、小さなジャガイモには毒がある。そんな噂も聞いている。だから、それなりのサイズでなけれ...
レビュー

ポメラのユーザー辞書を再強化

昨日で小説のストックが切れた。頼れるアニキは、もういない。途方に暮れるのも当然だ。「カチカチ山かよ?」ってくらいに、お尻が絶賛炎上中! ホントにね。僕はこれから、どうしましょう(汗) ひとりでブログを書くのなら、これからも書き続けるつもりなら。やるべきことは、ひまわりちゃん(ポメラ)の再強化であるのに違いない。ユーザー辞書を鍛え直そう。 アニキとメールを交わした二年間。アニキの教えをポメラに宿す。お気づきだろうか? それは、五万冊を超える読書家からの教えである。そりゃもう、凡人以下の僕からすれば、それだけで大変な作業なんです。なんかもう……これでもかって、修羅の道(汗) 何はともあれ、表記ゆれ...