小説の話

今が一番若いから(笑)

魂をガッツリと削られた。太宰の〝人間失格〟に続いて、三島の〝金閣寺〟で道草をしている。どんなに遅読な僕だとて、そろそろ読み終えてよい頃なのに、三分の二の辺りでうろうろしている……おっぱいが金閣寺。その後で、主人公が金閣寺を燃やしちゃると決断した辺りでうろついて、今日もサヨリは元気です(笑) たくさん、夜のご飯も食べました───エラい!  どうにもこうにも先に進めないのは、三島が語彙の魔術師だからだ。悪魔的と言ってもいいほどに、サラリと読み流すのがとても惜しい。美しい音韻の数々が、きっと何処かで使えるはずだ。なので最初から、基本中の基本の勉強法で金閣寺を読み進めた。  気になる言葉をノートに写し...
雑談

ありがとう、浜村節です

───持った湯呑をバッタと落とし、小膝叩いてニッコリ笑い。  関西圏の人ならば、このフレーズを知らぬ者はない。これはパーソナリティ、浜村淳が使うフレーズである。僕の記憶が定かなら、初めて耳にしたのは小三の夏休みだった。 「午前中は外出禁止! 涼しい時間に宿題をしましょう」  これは、一学期最終日の教室で、先生に言い渡された鉄の掟だ。つまり午前中、家から一歩も出られない。ラジオ体操から家に帰れば、午前中は暇である。暇なら本でも読めばいいのに、暇を持て余した小学生は、ラジオのスイッチに指を伸ばす。ポチっとな。ラジオでは、夏休み映画の紹介をしていたと……思う。  ラジオから流れる音韻が心地いい。話す...
ブログ王スピンオフ

時は来たれり……

石あかりの俺は幸せだった。その後、俺はのんの部屋でお姉様たち(のんちゃん親衛隊)に囲まれて、あたふたする時を過ごした……。あっという間に朝である。数限りなくホワイトボードに書かれた文字が、その過酷さを物語っている。輪廻転生の収穫はあったのだろうか? それは思うまい。今、俺にとって大切なのは、無断外泊のあとしまつ……。 「三縁さん、楽しかったですね」  のんは笑顔で俺を部屋から送り出した。白く輝くマンションの外壁は、何事もなかったかのように、田畑の間にそびえ立つ。アスファルトの上から、のんの部屋を見上げると、のんが俺に向かって大きく手を振っている。新婚さんの朝ってのは、こんな感じなのだろうか? ...
ショート・ショート

明晰夢(芥川)

放課後。  図書室で〝金閣寺〟を探していると、誰かが俺の背中をドスンと叩いた。呼吸を荒げたゴジラのような剣幕で、美藤が顔を近づける。この女……わけわからん。 「キューブぅ~! なんで勝手に教室を出たのよ! 探したでしょ? 約束したでしょ? 読書部を作ろうって! やる気がないなら返しなさいよ、イチゴ牛乳! ホント、これだから───男は信用できないつーの!」  お前、令和ならハラスメントな発言だぜ? 初夏の風吹く学び舎で、白昼夢でも見たのだろう。こりゃ、一足早い中二病だな……部員になると承諾した覚えはないのだが? 「オッケーした記憶はないし、イチゴ牛乳も返せない。俺がいつ、そんな約束した?」  俺...
雑談

アクセスグラフ急降下!Googleコアアップデートがあったらしくて……

キジとらの過疎化の波が止まらねぇ(笑)  よほどの有名ブログでなければ。アイドルとか学者とか、誰もが知る著名人じゃなければ、アクセスなんてのはGoogle本願なのである。SEOなどガン無視で書く、僕の記事が検索結果に表示されることもない。過去記事の魔法も解け、ブログへのアクセスは、順調に下降の一途をたどっている。にしても、この右肩下がりは解せないな……。  X(旧Twitter)から情報を探ると、予想どおりの反応が書かれていた。どうやら、コアアップデート(August 2024 core update)があったらしい。ロールアウトによる大きな検索順位変動で、ブロガー界隈がざわめいていた。コアア...
雑記・覚書き

ユーザー辞書に頼らなくなったのは読書のおかげ?

少なくとも一年前まで、僕にとってユーザー辞書は資産であり宝物だった。  数年前の記事に目を通すと、やたらとユーザー辞書に関しての記事が多く見られる。勿論、僕のブログの話だ。ユーザー辞書の目的は時短にあった。ブログに使う語彙を検索すれば(サイト内検索で容易に可能)、その理由は歴然だ。 ───同じような語句が多いこと(汗)  これがそのまま理由となる。効率よく記事を書くのに、ユーザー辞書が手っ取り早かったからだ。同じ言葉で構成しているのだから、打ち込む文字が一文字でも減れば、それだけ短時間で記事が書ける。記憶させた文字には誤字脱字の心配もない。そして僕自身、人生の中で最も不得手なのが作文である。語...
猫の話

愛猫の新たなプレイ?

サヨリは、無言で意思を伝える猫である。もの悲しい目で僕を見る。お皿の前に座れば腹が減った。冷蔵庫の前に座ればミルクが飲みたい。ドアの前に座れば外の景色を眺めたい。食事に口を付けなければ───皿を洗え……。こんな具合でいつまでも、静かに僕が気づくのを待つ猫だ。  いつの頃からだろうか? 夏に入ってからかもしれない。無口なサヨリが、また鳴くようになった。気になって、触ればニャー。触れなくてもニャー。いわゆる猫なで声ではなくて、低い声で謎の何かを主張するのだ。長年、事務所を守ってくれた猫である。彼の要望に応えたい意思はある。だから、小さな子どもと話すように、ご飯? お水? 抱っこ?……と問うのだけれ...
小説の話

怖えーわ、文豪

人間失格と金閣寺を読んどいてなぁ~。  現在執筆中の明晰夢の主人公が、作者の僕に宿題を出した。「これから、俺が読む設定なのだから、太宰と三島を読んどけよ」……と。君にとって、作者は神様じゃないの? まさか君が、そんなオーダーを出すなんて、それこそ、想定の範囲外じゃないか!(汗) とはいえ、書いてしまったものは取り消せなくて、今日もサヨリは元気です(笑) 二冊の本を取り寄せて、人間失格から読み始めた。理由は簡単、こっちの本が薄いから。それは、いつものことである。  ざっくり150ページならお手頃だよね。太宰先生のお噂は、友人からの二冊の本で、なんとなく理解している。いざとなったら、先生と同じよう...
小説の話

読者だけに見える小説の世界

少し前。輪華りんかのイメージに沿った画像を、ネットから探して僕にくれた読者がいた。輪華りんかとは、僕の短編小説〝邂逅〟で、未来に転生したヒロインの名だ。華やかに輪廻転生を遂げる少女。その思いを込めて〝輪華〟と命名した。初めて手掛けた小説なだけに、彼女への思い入れも深い───  ネットを開けばAI時代。SNSやブログで、AIが生成した画像が毎日のように投稿される。現存する人物の画像に至っては、星の数ほど存在する。その中から読者が選んだ画像となれば、話の次元が大きく変わる。だって、そうでしょ? うちの子をイメージして選んでくれた画像なのだ。うれしいじゃん、作家冥利が天元突破してるじゃん(笑) 嫌で...
ブログ王スピンオフ

花音の部屋

人生とはプラマイゼロ。良いことがあれば、悪いこともある……でも、なんで今夜なの? キツネとタヌキに挟まれて、その上、増援が目前に。のんの部屋の前で、俺は謎の窮地に陥っていた……。  非常階段から六人……エレベーターから四人……か。ぞろぞろと、女たちが集まってくる。キツネとタヌキで十二人って……使徒ですか? にしても、グリムで見た顔が、雁首がんくび揃えて並んでいる。とはいえ、相手は女ばかり。黙って、二、三発、殴られたら、この場も穏便に収まるだろう。のんには悪いが、俺は撤収を決め込んでいた。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ、飛川三縁ひかわさよりじゃん!」 「マジでぇ~、ウケるぅ」 「何しに来たの?」 「決ま...
ショート・ショート

明晰夢(読書部)

一夜にして……という言葉がある。それが今朝の俺だった。教室に入った途端、俺に向けられた熱視線に歩みが止まる。ミュージシャンでもなく、アイドルでもなく、漫才師でもなく……言うなれば、ユリ・ゲラー(超能力者)でも見るような、好奇心たっぷりの眼差しだ───おい、そこの委員長。どうして俺に向かってルービック・キューブを振っている?  俺の隣のピンクメガネが、してやったりの顔をする。お前か? お前なんだな? 俺と本屋で別れた後。塾で六面揃ったルービック・キューブをひけらかしたか? 六面完成……俺の中学では、初の快挙。じっくりと一晩寝かせた噂に、尾びれ背びれがくっ付いて、登校中に広まった……と、いうことか...
猫の話

サヨリの近況報告をば

2024年の8月は、猛暑で始まり台風で終わる。  最大級とか暴風雨だとか、心の準備に余念はないのだが、空は台風の気配を感じさせない。天を仰ぐと青空までもが顔を出す。これが、嵐の前の静けさか……。30日午前6時。不安の朝が幕を開けた。  お昼の高松は雨模様。重力に従って風の影響を受けることなく、雨粒は真上から真下へと落下している。それは風の弱さを示唆しているのだが、その静けさが、余計に不安を助長させる。心配事の九割は、現実には起こらない。そんな最新研究報告もあるけれど、今宵の夜勤は地獄だな……未来の危険を察して、お昼を使って記事を書く。台風の影響で何かあれば、ブログどころの話じゃない。自動投稿で...
小説の話

きょう何食べた?

〝フックをかける〟という言葉がある。ビジネストークで使う言葉らしいのだが、ブログや小説の世界では、読者に興味を惹かせるパワーワードの意味を持つ。お笑いなら〝つかみ〟といった感じだろうか?  話は変わるが、同僚ワーちゃんが猛烈にプッシュしている作品がある。それは「うさぎドロップ」と「きょう何食べた?」の二作品。プッシュされてから一年後。うさぎドロップを鑑賞した。けれど、きょう何食べた? を見ることはなかった。見るつもりがなかったからだ。 「俺、BLは……」 「旦那も同じこと言って、見てくれないのよねぇ。でも、そういうのじゃないから! Amazonプライムで見られるから!」 「お前だって、トッケビ...
猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(ケイテイ)

「おい、覇権(家康)と絶望(オリク)が睨み合ってるぞ!」 「えーーー! 家康の現役復帰かっ!天地がひっくり返るぞ!」 「世界地図が塗り替えられる……」  信長を挟んで睨み合う家康とオリク。地を這うような低い姿勢の家康とは対象的に、後ろ足で立ち上がるオリクの顔には、余裕の笑みが浮かんでいる。体格と経験値なら老兵家康、勢いと持久力なら女帝オリク。猫の勢力図が書き換えられる戦いに、固唾を呑んで動向をうかがうボス猫の群れ。もし仮に、家康が現役復帰を果たせば全てが変わる……。引退した今も尚、覇権の称号の影響力は健在であった……。 「おい。真ん中の茶トラの若造……あれ、なんだ?」 「家康の息子じゃねーか?...
小説の話

本屋に本が無かった日

久々に本屋に行くと、お目当ての本が何処にも無かった。  それは、よくある話である。でも、文豪と称される作家の作品なのですが? 誰もが知ってるタイトルですけど? それがとても、腑に落ちない。だって、そうでしょ? 三島と太宰だもの。いくら教養なき僕だとて、ふたりの名前だけなら知ってるよ。だからこそ、スーパーから〝かっぱえびせん〟が消滅したくらいの驚きだった───ホントに……無いの?  きっと、何年も昔からそうなのだろう。本は商品、売れてナンボ。本を並べるスペースだって、店からすればタダじゃない。その事情も理解している。でも……無いの? あると信じていただけに、少しガッカリした気分になった。学生時代...
小説の話

誰もが時間に追い詰められる

セリフが多いのか? それとも、無駄な描写が多いのか? 簡潔に2000文字を目標に、文章を短くしようと試みる。けれど、一行たりとも短くならない。むしろ、何処までも伸びそうで、今日もサヨリは元気です(汗)  連絡メールなら、必要な要素だけを簡潔にまとめればいい。そうすることで、ミスも少なくできるし、ダイレクトに相手に要件を伝えられる。それはブログも同じである。簡潔に要点をまとめたブログが好まれる傾向にある。だから、僕のようにダラダラ書かない。とはいえ、思い出話とか、経験談を交えて記事を書くものだから、どうしたって、文字数が伸びてしまう。昨今では時短がブーム。ドラマでさえも、倍速で観るのだそうだ。誰...
ブログ王スピンオフ

のんちゃん親衛隊

ふたりで石あかりを歩いた夜。  俺は彼女の部屋で一夜を明かした。そして俺は、出会ってしまった。〝のんちゃん親衛隊〟と呼ばれる謎の組織と。それを語るには、時計の針を昨夜まで戻さねばならない……。 ───俺とのんは、いい感じだった……。  石の置物が並ぶ細道。それぞれが少しだけ、ほのかな灯あかりで道を照らす。休日はイベントで賑やかな石あかりロードも、平日の夜になると人はまばら。ひっそりと静まり返っている。俺の耳に聞こえるのは、リンリンと鳴る虫の音ねと、のんが歩く下駄の音。カランコロンの音色が心地良い。のんが奏かなでる音ならば、一生でも聞いていられる。のんが歩を進めるたびに、白い浴衣に描かれたひまわ...
ショート・ショート

明晰夢(勇者の覚醒)

───しまった!  本屋で手にした金閣寺(三島由紀夫)。レジ前で、それを買えない俺がいた。財布に10円玉が10枚しか入っていない……もう、最悪だ。頭を垂れたレジ前で、俺の右肩を誰かが叩く。若き体は感度良好! 首が右に向かって反応すると、ホッペに誰かの指が食い込んだ……痛い! その指が、ホッペの中でグイグイ動く───マジ、痛てぇ! 「こんな手に引っかかるなんて……まだまだ子どもね、ルービック師匠。この本、貸してあげるから。ルービック・キューブのやり方、教えてね」  クスクスと笑いながら、美藤夏夜びとうかよが俺の後ろに立っている。 「そうそう。これを貸してあげようかと思って、戻ってきちゃった」  ...
レビュー

スマホのアラームが止まらないのだが?

なんなんだよ、おめぇーは、よぉー!  ピコン♪……数分おきに、スマホから鳴るアラーム音。それが、ずっと続くものだから、苛立いらだつ気持ちが爆発した。せからしか! 滅多に出さない九州弁までもが飛び出して、今日もサヨリは元気です(笑)  アラーム音の原因は分かってる。スマホが雨に濡れたから。雨の中をバイクで走って、ポッケのスマホが濡れたのだ。USBセンサーがが水分に反応した結果、USBポート無効機能が作動した。アラームは、そのお知らせだ。それについての異論はない。だって、センサーが正常に作動している証拠だから。そこまでなら、腹も立たない……この動作は至極正しい。  USBポートの無効ボタンをタップ...
雑談

潮だまりの化け物

小学生時代。僕には、釣りエサを買った記憶がまるでない。  1970年代。オトンを含めた大人たちは、マムシとか、ゴカイだとか……財力に物を言わせ、釣具屋でエサを買っていたのだが、そんなの海に行けばナンボでも落ちていた。お金を出して、これ買うか? それがとても不思議だった。ちなみにマムシは、毒ヘビではなくて、平べったいミミズのような生き物だ。ゴカイは、青いミミズのような姿をしている。そのどちらの姿も気持ち悪い。 「これ(マムシ)、いくら?」  それとなく、知ってるオッサンにエサの値段を訊いたことがある。正確な価格は忘れたけれど、そんなの、プラッシーがナンボでも買えるやないか! 幼心に殺意を覚える金...