レビュー

ダイソーの読書台

相棒からの太宰シリーズ。文豪ナビ、ヴィヨンの嫁、斜陽……そしてようやく、走れメロス(新潮文庫)に差し掛かる。とはいえ、まだまだ序の口、序盤戦。まだまだ先は長いのだ(汗) これらの本は、お楽しみではなくお勉強。つまり、面白かったじゃ終われない。とはいえ僕だって、IQ201の当麻紗綾とうまさやではないのだから、そんなSPECなど持ってない。さらりと読んで、頭に記憶できるわけもない。つまり、原始的ではあるけれど、やっぱ、書いて覚える他に道はないようだ。凡人だもの、王道も、ショートカットの道はない。 もうね、こんなの、ノート如きじゃ追いつかなくて、今日もサヨリは元気です(笑) コスパ重視でコピー用紙に...
猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(悪魔の子)

悪魔…… 信長のぶながの寝息を背に感じながら、閻魔えんまは己の過去を振り返っていた。それは、楽しくも悲しい過去であった。閻魔がチャッピーと呼ばれていた過去の記憶が蘇る……。「今日から貴様は、俺の仲間だ!」 あの日から、わたしは光秀みつひでのグループに入った。そして、わたしは光秀を兄様あにさまと呼んで、心から慕っていた。わたしには、新しい世界が広がって見えた。仲間と寝食を共にする。共にじゃれ合い、共に笑う……みんな気さくで優しかった。だが、それも長くは続かなかった。わたしは日を追うごとに大きくなった。我が子のように遊んでくれた、姉あねさんたちの優しい目が、わたしが大きくなるにつれて冷ややかになっ...
雑談

仏の顔も三度まで

金曜日。 バディから電話が入る。来週、二日ほど体を貸してほしいのだとか。僕はスケジュールに目を通す。目を通しながら日時を訊く。「何曜日?」「もう……体がだるくて、月曜日は休みたいんや。だから、火曜日と水曜日で構わんか?」 蚊の鳴くような声で言う。こりゃ、夏バテだな……と、僕は思って、今日もサヨリは元気です(笑)「火、水ね? 間違いない?」「お、おう……」 バディも年だ、仕事を休むのは構わないのだが、日時はカッチリしておかないと。僕は再確認を怠らない。これまで、幾度も泣かされてきたからだ。仕事の詳細を聞きながら、合間、合間で、僕は口を酸っぱくして確認を怠らない。「火、水ね? 間違いない?」「お、...
雑談

知らぬが花とは、このことだ(汗)

金曜日、嫌な気分で帰宅した。余計な心配がひとつ増えた。とはいえ、人間関係とか、金の話だとか……そんな、人間臭い話ではない。いうなれば、身に差し迫る危機と呼ぶべきか……それがワンランクアップしたのは確実だった。 金曜日は夜勤の日。いつものように仕事を終え、いつものように施錠する。そして、これまた、いつものように出入口をチェーンで封鎖するのだけれど、その夜は少し勝手が違った。職場は山の中にあり、月夜の晩は明るいけれど、闇夜の晩には一気に視界が奪われる。数メートル先に貞子がいたとて、それに気づかぬほどの暗がりで、僕は手探りでチェーンを張っていた。チェーンの先の南京錠を取り付け終わると、僕の真横を何か...
ブログ王スピンオフ

へんしん!

俺は恥ずかしかった。とても、とても……恥ずかしかった。もう、お家に帰りたい。何かを思っただけなのに、ウィーン、ウィーンと頭の上で踊る猫耳。それを動かすモーターから、頭皮に伝わる小刻みな振動に、不快な気分しか感じない。 なぁ、ゆきよ。いつからお前は、そんな悪い子になったんだい? 恨めしい目で俺が睨むと、ウインクで返すゆきである……どこで、そんな仕草を覚えたか? 俺、知ってんだ。ゴールデンウィーク明け、フラウ・ボウのコスプレで、アムロとここに来てたこと。「セルフ、行きまーす!」って、うどんを注文したって、ゲンちゃんから聞いたんだ。まぁ、それはそれとして……なぁ、ゆきよ。後生だから、俺の頭の猫耳を、...
ショート・ショート

明晰夢(三島)

日曜日の図書室で古文書に目を通すサクラギは、古代の謎でも解くかのように、背筋を伸ばしてパイプ椅子に座っている。彼が放つ眼光が、俺には武術の達人のように見えた。その一方で、芥川あくたがわは受付デスクに足を乗せ、俺に足の裏を向けている。緊張と弛緩しかん。相反する読書スタイルを横目に、俺は裏が白紙の新聞広告の束を長机の上に置き、その上にBOXYのシャーペンを乗せた───いざ、金閣寺! 俺の準備は整った。 早朝六時を過ぎれば、剣道部、卓球部、バドミントン部、バレー部……体育館も部活の生徒で賑わい始め、グランドからの声出しの響きと相まって、図書室も平日さながらとなるのだが、俺の耳には何も届かなかった。こ...
レビュー

すあま(ヤマザキ)

───ヤマザキのすあま。 かれこれ、一年半ほど。僕はヤマザキの〝すあま〟という和菓子を探していた。スーパー、コンビニ、ドラックストア……ヤマザキ製品がありそうな店に入ると必ず、すあまを探して店内を歩く。本家本元、デイリーヤマザキの看板を見つけると、必ず入店するのだけれど、すあまと出会うことは一度もなかった。 僕は、どういうわけだか求肥が好きだ。例えるのなら、ロッテの雪見だいふく。アイスを包む皮の部分。アイスはどうでもよくて、もっちりとした皮が好き。どれだけ好きかと言えば、自分で作って食べるほど。それを知った友人が───求肥だけを食べたい時は、代用として“すあま”を買ってました。と、ヤマザキのす...
雑談

山ピーじゃん

───いつもと違って、今回は敬体で書きます。書いている人は同じ人ですよ(汗) 僕は勉強ができません。得意分野は? と尋ねられても、人に胸を張って言えるような得意な分野もありません。アニメや映画など、オタクの専門知識だって、誰でも知ってる陳腐なものです。「でも、アナタ。ブロガーですよね? ネットやパソコンなら得意でしょ?」そう言われそうですが、そんなわけがありません。何ひとつ自慢できるものなど、僕のおつむには無いのです。 縁あって、ブログや小説のようなものを書いていますが、それが得意かとなれば話は別で、ふらふらと、ぐずぐずと、ポメラの前でたゆとうているのに過ぎません。そして僕が最も不得手なのが、...
猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(生き写し)

それにしても、このニャンコ。恐れを知らぬバカなのか? それとも、天然のアホなのか? 好奇心に満ちた目で閻魔えんまに顔を近づけて。信長のぶながは物珍しそうに、閻魔の細部に至るまで観察している。その無礼千万とも思える行動に、固唾かたずを呑んで見守る猫たちは、同じ未来を思い描く……もうすぐ血の雨が降るのだろう───と。 淡い月光を反射させた閻魔の瞳は愛しい恋人を愛でるかのようで、閻魔の表情は夜空を流れる雲のように穏やかであった。虎柄の白く太い指先を、閻魔が信長に向かってゆっくり伸ばすと、桜色の肉球が信長の頭を優しく撫でた。触れただけで壊れてしまう、そんな……ガラス細工に触れるが如く、慎重に丁寧に、閻...
雑談

中古レッツノートCF-SZ6、購入してから9ヶ月後のレビュー

スペック、デザイン、そして価格。 パソコン選定への道のりは、思う以上に多難です。とはいえ、僕が買うわけでもないのだから、誰がどの機種を選ぼうと、実は僕にはどうでもよくて、今日もサヨリは元気です(笑)「マックかサーフェスにしておけば?」 2024年9月現在で、僕の率直な回答はこれである。そして、きっと───来年も、再来年も、同じ回答をするのだろう。だって、そうでしょ? アップルもマイクロソフトも、共にOSメーカーだから。OSとパソコンには謎の相性みたいなものがあって、そりゃ、OS開発元のパソコンが、最も安定して動くのに決まってる。逆にそうでなければ、恐ろしい。 分かってますとも、理解していますと...
小説の話

読書をすると眠くなる……

秋ですね。秋の夜長と言えば、虫の音と読書です。でもね、本を開くと眠くなるのです。どういうわけだか、とてもとても……グ~。 読書をすると脳が活発に働いて、そのうち脳の息が切れて、疲れて眠くなるのだとか。ラノベでは、そうでもなかったのに、太宰と三島が紡ぐ語彙ラッシュに、僕の脳がついていけない。特に三島由紀夫の睡眠効果は、睡眠薬に匹敵しているようで……読みながら寝落ちして。はっと目覚めて、また読んで。今日もサヨリは元気です(笑) 読書に対する体力が、人並み以下な僕だから、言葉の意味を考える手間暇たるや……これもまた、カレーでも食うかの如く、いくばくかでも脳が語彙を吸収すれば、いつかは眠くならなくなの...
ブログ王スピンオフ

太宰と、三島と、猫耳と。

うどんに並ぶ列の中、ツクヨはゆいから目を離さない。オッツーを取られてなるものか! そんな眼差しで睨んでいる。無論、ゆいにはその気がないのだが、ゆいから漂うお姉さんの魅力が、ツクヨの危機感を煽っていた。「あれをやるわよ!」 ツクヨの心境を察したアケミが、俺とオッツーに提案する。アケミは、ツクヨの意識を別のところへ向けようとしたのだ。俺たちはアケミの案に乗っかった。「じゃ、アケミ。俺たちの注文はいつもので頼むわ。ゲンちゃんにも、あれをやると伝えておいてな。オッツー、行こう───合体だ!」「了解!」 俺たちは、列を阿吽の呼吸で離脱すると、ゆきが懐かしげに手を振った。俺たちの会話が理解できない、のんと...
ショート・ショート

明晰夢(美男子)

早朝五時五十五分……。 日曜日だというのに、運動部員たちが所狭しとグランドの中を駆けている。野球部の金属バットが奏でる快音。サッカー部員たちの踊るようなドリブル。正確にゴールに向かってシュートを決めるバスケ部員。チーターの如く全力疾走するスプリンター。そして、先輩にエールを送るテニス部員の黄色い声援。その光景に、青春の息吹を俺は感じた。一度目の人生……俺は、あの中の一員だった。「お早いですね、キューブさん。おはようございます」 体育館の前。運動部の練習を見つめる俺に、サクラギが声をかけた。サクラギは、見た目どおりの几帳面な性格なのだろう。腕時計を確認すると、時計の針は縦に直線を描いていた。「サ...
雑談

ブログの感想がほしいのよ

───記事への感想とかありますか? ブログを書き始めてから一年が経過した。そんな人物から連絡があった。それは、連絡というより質問だった。気になって、彼のブログを覗き読み、ひと言コメントを残して帰る。投稿ボタンを押すと、コメントは正常に表示された。ブログを書くのは容易だけれど、執筆時間を確保するのが困難である。彼の記事の内容を読み解けば、時間の工面が困難なようであった。僕と同じで、交流への時間を執筆に充てたのだろう……SNSでの動きはない。 何かしらの感想をもらうには、簡単な方法と困難な方法。大別すれば、そのふたつの方法が思いつく。ひとつは交流である。リアルを含めてSNSなどの交流を通して反応を...
雑談

こむら返りですわ

三島由紀夫の金閣寺(P283)で、腓こむらのところを……という一節があった。当然のようにノートにメモを残すと「こむら返りですわ」という、竜崎麗香りゅうざきれいかのセリフが頭に浮かんだ。彼女が口ずさむセリフのひとつひとつは、僕が小説で使うお嬢様言葉のベースである。幼少期に見たアニメの記憶。それは、無駄ではありませんわ……的な。 メジャーすぎて、説明の必要すらないのだけれど……竜崎麗香は、70年代を代表する少女漫画。エースをねらえ!のお蝶夫人のフルネームである。1973年───アニメ化された本作を、リアルタイムで僕は見ていた。当時は小学生にも満たない、鼻を垂らしたクソガキだった(汗) とはいえ、ま...
猫の話

飼い猫信長と野良猫家康(ホワイトタイガー)

木々の隙間から差し込む月光が、閻魔の白き体毛に反射して、神秘的な輝きを放っていた。その神々しい姿を囲むように、猫だかりができている。最前列に座るのは、各エリアを統治するボス猫たちだ。その背後に手下てしたたちが次々と並ぶ。この集会は、閻魔が鬼猫おにねこと呼ばれた昔から、満月の夜に行われていた。「皆さん、お揃いですね」「オリクが来たよ、道を開けな」 ケイテイとオリクが祠ほこらの前に到着すると、手下たちが自動ドアのように道を開けた。二匹は閻魔の前でお辞儀をしている。家康は手下たちの背後から、その様子を見つめていた。「家康ぅ! ケイテイちゃんって、すごい猫なの? なんか俺、感動してるぅ~」 幻想的な儀...
雑談

キャバクラの話

口伝えで聞いた話では、夜の街にはキャバクラというお店があるという。これまた聞いた話では、そこを例えるなら竜宮城のような場所なのだとか……。 バブル期にキャバクラなるお店があったなら、僕は間違いなく行っていたに違いない。だって、そうでしょ? あの時代。仕事の本番は、夜の街にあったのだから。昼間に汗を流したその後は、働く仲間を引き連れて、夜の帳とばりへ向かうのだ。「さぁ、行こう!」上司に言われりゃ、下っ端社員に拒否権など存在しない。いつも帰りは午前様。早く帰って眠りたい……そんな日々の連続で、今日もサヨリは元気です(笑) それが僕のバブル期だった。本当に美味しい思いをしたのは、バブル世代から一世代...
小説の話

キャラ被り

三島由紀夫の金閣寺も、ようやく最終章(第十章)へ突入した。このまま読み進めれば、一時間のうちに読み終える。けれど、今日のブログを書いてない。ポメラを開いて頭こうべを垂れる。いつものように、書く内容すら決まってなくて、今日もサヨリは元気です(笑) 天から何かが降るのを待つと、激しい地響きと共に、太宰治がアイアンマンみたく降ってきた。今、僕の後ろの太宰治が右腕の拳を大地に突き立てて「さぁ、材料は揃ったぜ!」そう言わんばかりに、着地ポーズを決めている。───そっちの青葉君、うちの葉ようちゃんと似てないかい? 人間失格の主人公の大庭葉蔵おおばようぞうと、シークレットで執筆中のうちの主人公、青葉文人あお...
ブログ王スピンオフ

ツクヨの変身ベルト授与式

お盆のうどん屋は大盛況だ。県外からのお客に加えて、地元の親子連れが集まるからだ。その行列は、テーマパークのアトラクションさながらである。ゲンちゃんうどんの前に作られた、長蛇の列に俺とオッツーの姿もあった。「サヨっち。こりゃ、十分待ちかいな?」「いーや、二十分くらいじゃね? 県外の客はメニュー選びで悩むからなぁ……」「長丁場だな……」「長丁場ですなぁ……」 事前にメニューを決めて並ぶのが、待つのを嫌う県民の嗜たしなみであるのだが、セルフに慣れぬ県外客ではそうはいかない。最後尾で順番を待っていると、オッツーの背中に何かがドン!っと、ぶつかった。「わたしのオッツー、めーっけた!」 それは、ツクヨが体...
ショート・ショート

明晰夢(金閣寺)

俺の勧誘と生徒会長の口添えもあり、俺たちは読書部としての活動を開始した。とはいえ、俺は本を読むだけなのである。足立と山田は〝スーパーカー消しゴム落とし大会〟に夢中になっている。 スーパーカー消しゴム落とし大会とは、自分の消しゴムをノック式ボールペンで弾いて相手の消しゴムにぶつける。それを繰り返し、自車が机から落ちる。もしくはひっくり返れば負けという遊びである。負けた側のスーパーカー消しゴムは、勝った側のモノとなる。これは遊びではなく賭けであった。アツくなるのも無理はない。だがしかし、賭博対象として、このゲームは学校側から禁止される。 今のうちに遊んどけ……。俺は金閣寺が眠る本棚に向かった。サク...