土曜日(ショート・ショート)

琥珀と涼子の恋バナ

お好み焼き屋のカウンター席で、私は緑川涼子みどりかわりょうこと談笑をしていた。涼子は同じ大学に通う親友だ。唐突に、涼子は私に質問を投げた。 「なんで琥珀こはくは、アイツなの?」  それは、涼子からの剛速球のストレートだった。 「なにが?」  一瞬、私は答えに困った。アイツとは、同じ大学に通う赤城純主あかぎよしゆきのことである。 「どうして琥珀が、あのバカなんだろう……って、思ってね。バカと言ったのには悪意はないのよ。でも、バカでしょ? 赤城君」  アイツをバカと呼べるのは、私の専売特許なんですけどぉ……その気持ちを私は抑えた。大きな会社のご令嬢が、あのプライドの塊が、庶民の恋愛事情に興味を示し...
金曜日(小説の話)

名作か? それとも迷作か?

───金曜日は小説の話。  日曜日、新作の滑り出しを確定させた。とはいえ、いつも最初が難しい。いつまで経っても決まらない。下手すりゃ最後まで決まらねぇ(汗)  プロローグと第一話の原稿を、そっくりそのまま相棒へ送る。締め切りなしの期限なし。ゆっくり読んで下さいね。そんなぶらり散歩気分で送ったけれど、翌日に回答メールが飛んできた(汗)  プロローグは短文で、エピローグも短文で、第一話は長文で、今日もサヨリは元気です(笑) プロローグはフックの役目で、第一話は主人公とヒロインの紹介だ。今回は登場人物がガチで多い。主要キャラの全員を登場させたパターンは、すでに相棒に送信済み。けれど、どう考えても今回...
木曜日(雑談)

喫茶アンデルセン

───木曜日は雑談の日  きゅうりってのは、放っておくと大変なことになる。どんどんデカくなって味が落ちる。その成長速度も早い。一本残らず収穫しても、三日もすれば、今日と同じ光景が目の前に広がるのだ。既視感(デジャブ)なんて甘い話じゃない。もはやこれはループである───今年のきゅうりは強敵だ。  きゅうりの貰い手を考えないと、冷蔵庫が飽和する。ついでに、僕の胃袋だって、そこまで寛大にはできてない。農作物が金を介さず流通するのが田舎である。捨てるなら、誰かにあげよう畑の野菜。それは美しい考えだ。けれど、分ければ余る、奪えば足りない。この現実に直面する。今年はきゅうり余りの年なのだろう。その証拠に、...
水曜日(猫の話)

飼い猫信長と野良猫家康(浮気発覚)

降り続く雨の中、茶色い猫は屋根に通った。友達と会うために。しかし、家康が姿を見せることはなかった。雨雲を眺めて信長は思う。きっと晴れたら、家康も姿を現すだろうと。  翌朝。信長が窓の外を見ると、空いっぱいの青天だった。よし、晴れた。今日は家康に会えるだろう。信長は、ご主人様が準備してくれたカリカリを少しだけ残し、猫砂の上に用を足し、外の世界へ飛び出した。いわゆるこれが脱走である。 ───いた! 家康だ。  信長は、家康めがけて一目散に駆け寄った。 「家康ぅ! 家康、家康ぅ!」 「久しぶり。秀吉」  いつもどおりの〝秀吉〟に、信長は少しうれしくなった。それでこそ、家康だ。 「信長じゃ!」  信長...
火曜日(レビュー)

パイロットの万年筆のインクが切れた

───火曜日はレビューの日。  ほ? マジで……。  万年筆が書けなくなった。いや、いや、いや……あれだぞ。今月、買ったばっかやん。6月12日の記事に書いたばっかやん? ない、ない、ない。壊れるには早すぎだ。  もしかして、これがインク詰まりというやつか? つまり、ペン先をぬるま湯に浸けたら復活するやつ? そう思ってやってみたけど、お湯に浸けても復活しない。あ、そうですか。これはまさかのガス欠ですか。万年筆をバラしてみると、カートリッジが空っぽだった。でも、スペアなんて買ってない。だって、そうでしょ? そんなに早く、インクが切れるなんて想定外で、今日もサヨリは元気です(笑) 予想の3倍、インク...
月曜日(畑の話)

トウモロコシ(ゴールドラッシュ)を収穫しました 2024

───月曜日は畑の話。  2024年6月26日(水)。  トウモロコシ(ゴールドラッシュ)を収穫した。とはいえ、苗の成長速度がマチマチなのだ。五本だけの収穫だった。素人菜園の落とし穴(汗) 一昨年から書いているけど、僕はトウモロコシをその場で食べる主義である。煮たり焼いたりするよりも、それが最も美味いからだ。野良仕事の合間にトウモロコシを採ってかぶりつく。一度でもそれを味わえば、これ以外の食べ方を僕は知らない。だから、畑から持ち出したトウモロコシに興味が持てない胃袋になった。だって、そうでしょ? ガリッと齧るとコーンの粒が口の中で弾け飛んで、ジュワッと甘い果汁が口いっぱいに広がって、穀物よりも...
日曜日(ブログ王スピンオフ)

シュークリームが新メニュー

のんがグリムでバイトを始めると、客層が一気に変わった。のん目当ての客が増えたのだ。来客増加は売上げに繋がるけれど、マスターは困り顔だ。にしても、今日はお客が少ないな……そっか、のんは早上がりの日だったっけ。そんな日は、のんは一度、アパートへ戻る。ラフな姿に着替えてから、お客として来店するのだ。そして、俺の隣で勉強を始める。本でパンパンに膨れた、のんのリュックを見る度に、俺は桜木のランドセルを思い出していた……。 「ねぇ、飛川君。若い男の子が来てくるのはうれしいけど……飛川君なら分かるでしょ? 何かいい案……持ってない?」  グリムの奥さんが俺に問うのだが、都会からレベチな天使が舞い降りたのだ。...
土曜日(ショート・ショート)

90分間の奇跡

彼の顔は青ざめていた。  本日投稿予定のショート・ショート。その準備が整わない。ブログ公開時間まで、90分を切っている。なのに一行も書けていない。てか、書くことすら決めていないふうに見える。ザ・ピンチ! 絶体絶命とはこのことである。 「やるっきゃねぇーんだよ」  そうつぶやくと、彼はキーボードに指を乗せた。画面を睨むこと3分経過。画面は3分前と同じまま。一文字も打ち込まれていない。空白すらも何もない。  わたしは彼を見守るだけ。わたしには、それしかできない。わたしは一年前から、これと同じ光景を何度も見守った。彼の毎日は、時間とのチキンラン。それが彼のライフスタイルになっていた。それでも彼は、間...
金曜日(小説の話)

のんちゃんのブログ王は、しれっと第二章へ突入しました

───金曜日は小説の話。  小説を書き上げた達成感の裏側で、モヤモヤした不完全燃焼な気持ちがあった。僕はプロじゃないのだから、ここは好きにやらせてもらおうか(笑) そんな気持ちで、描ききれなかったアレコレを、スピンオフで書き始めた。てか、このまま終わるのが寂しくて、今日もサヨリは元気です(笑)  オッツーには悲しい過去がある。桜木には次元を超越した背景がある。ツクヨのパパには深い愛があって、じいちゃんには叶わぬ恋が……。それを書き進めていれば、本編への熱だって冷めないだろう。処女作だから、てか、長編だもの。どれだけ伸びても構わない。どこまで行っても構わない。  ちょいちょいと、本編から未来の話...
木曜日(雑談)

ショート・ショートの手直し開始

───木曜日は雑談の日。  ショート・ショートの手直しをします。  つい先日、相棒からの予告があった。ショート・ショートの手直しに着手したのには、きっと、今がそのタイミングなのだろう。そう僕は勝手に思っている。僕は彼に従うのみで、今日もサヨリは元気です(笑) 料理、パソコン、イラスト、将棋……何かの技術を習得する。その最短コースは簡単である。〝指導者に黙って従う〟これに限る。本を与えられれば本を読み、言われたことを実行する。余計なことは考えない。これに限る。それでも覚えの悪い僕である。今だって、イージーミスの連発だ。ホント、相棒には頭が上がらない日々なのだ(汗)  話は変わるけれど、先週、相棒...
水曜日(猫の話)

飼い猫信長と野良猫家康(裏切り者)

───裏切り者……信長の心は怒りに震えていた。  屋根の上、仲睦まじく語らう猫。それは紛れもなく家康とケイテイの姿であった───それを目撃した信長は、怒りで身も心も震えていた。ジジイのくせして、お前は孫ほど若い女に手を出すのか? なぁ、家康。そうなんだな? お前、生粋のロリコンなんだな! 初めて外の世界で信頼した男の裏切に世界のすべてが歪んで見えた。歪みの果はてに信長は誓う。俺の殺すリスト。最初に書く名は〝家康〟であると……。 「じゃ、またね♡」 「せやな……お前も、がんばれや」  ケイテイが屋根から降りるやいなや、信長は家康に駆け寄った。 「裏切り者ぉぉぉぉぉ!!!!」  やんのかステップで...
火曜日(レビュー)

苺の屋根の日焼け避け(クールホワイト)

───火曜日はレビューの日。  桃畑(摘果&袋掛)の最終日。  日差しが強くて苺(よつぼし)がイマイチ。日焼けしたのか実が固い。とはいえ味は上々で、今日もサヨリは元気です(笑)  去年は水が切れて枯れた苺だけれど、今年はまだまだ実をならす。この調子ならまだまだイケる。四季なりの名は伊達じゃない! こうなれば、ようやく君の出番だよ(笑) 〝農家さんが使ってる! 明るさ残して熱線カットのクールホワイト〟 昨年、友人が僕に伝授した秘密兵器の出番が来たぜ。  友人が、この事態を予見していたのは確かである。だから去年、準備してくれたのだ。僕が水切れの失敗さえしなければ……昨年もクールホワイトを使っていた...
月曜日(畑の話)

きゅうりに入ったやる気スイッチ

───月曜日は畑の話。  今年もどうやら失敗ですか? そんな、きゅうりが本気を出した。追肥と摘芯とのダブルパンチが、やる気スイッチを押したのだろうか? 気を抜けば……きゅうりである(汗)  今は自己消費で賄まかなえるのだが、三本の苗だけならよかったけれど……保険に仕込んだ二本の苗まで、ニョキニョキと加速を始めた。きゅうりの苗が五本になれば、自己消費の限界値を大幅に超えるのは明らかだ。そして、摘芯したきゅうり。事務所で密かに根出し中だなんて、お釈迦様でも気づくまい。僕は心配性なのである(汗)  それもこれも、去年の不作が原因だった。もうね、誰でも作れるきゅうりなのに、今年もダメだったらどうしよう...
日曜日(ブログ王スピンオフ)

喫茶グリム

パワースポットと呼ばれる場所がある。  ブログ王を完成に導いた場所は、八栗寺(四国八十八箇所第八十五番札所)の境内だった。境内けいだいにある青いベンチに座ると、不思議とアイディアが浮かぶのだ。そして俺には、もうひとつのパワースポットがある───喫茶グリム。老夫婦が営む店内は、カフェと呼ぶにはほど遠く、俺のじいちゃん好みの昔ながらの雰囲気だ。  この店で俺は、ブログ王にさらなるブラッシュアップを施した。謎の編集者、青葉さんに奨められた新人賞に〝のんちゃんのブログ王〟を応募するため。そして俺たち放課後クラブが、高校最後の打ち上げをした店でもある。  ただ、ひとつだけ……俺には不思議に思うことがあっ...
満月だからスイカの話

猫砂袋でスイカ栽培にゃのです(笑)

───土曜日はショート・ショート。だけど、満月だからスイカの話。  六月の満月は、ストロベリームーンと呼ばれている。苺のお月さまの日。昨日も雨が降ったから、水やりに行く必要はない。ゆっくりとした土曜日なんて久しぶり。読書をして過ごしましょう……とはならない。どうしても畑に行かねばならぬ理由があった……スイカの写真を撮ってない(汗) せっかくスイカの記事を書くのだ。スイカの写真は必須だろう。僕のスイカの成長を楽しみにしてくれる人もいて、今日もサヨリは元気です(笑) 天気予報では午後から雨。だから、午前中に畑に出向く。 ───ほう。順調、順調!  去年の成功体験に味をしめて、今年は袋栽培をメインと...
金曜日(小説の話)

週末は読書をしよう

───金曜日は小説の話。  毎日毎日飽きもせず、ブログで何かしらの文章を書き続けている僕だけど、実はその……えっと……まぁ……読む行為が苦手である。とてもとても苦手なのだ。単行本を読み終えるまで何日もの時間を要する。小松左京先生の〝日本沈没〟は、一ヶ月くらいの時間を要した。それに加えて、一年前から読み始めたのに、未だに読み終えられない本もある。これもまた、若い頃から読む訓練を怠って生きてきた結果なのだろう。音読は大事だな。ってか、僕らの時代に音読って言葉なんてあったっけ? そんな僕が小説を書いているのだから、自分でも笑ってしまう。  すべてが夢なのかもしれない。そう、何度も思ったけれど、僕が小...
木曜日(雑談)

地獄で拾ったお土産

───木曜日は雑談の日。  二〇二四年六月十八日(火曜日)に桃の摘果と袋掛けが終わった。五月二日からのスタートだから、約一ヶ月半の道のりだった。今年は人手が少なかったのだが、去年と比較しても三日遅れでエンドです(笑)  人手不足は理解している。でも、暇を持て余したコロナ禍とは事情が違う。僕の時間も限られている。悪いなと思いながらも作業時間をセーブした。つまり、一日あたり三時間以内での参加だった。やれるだけ手伝う気持ちの向こう側。僕は新たな技を獲得した。それは、エレガントで画期的で作業の速度を一気に早めた……それを実現させたのが100均の手袋だった。  桃の摘果に必要なのは、瞬時に悪い子を見極め...
水曜日(猫の話)

飼い猫信長と野良猫家康(エモいの使い方)

いつもの屋根で家康はくつろいでいた。この一帯が家康の縄張りであり、見張りをするのに丁度いいのだ。そこのブロック塀の上、高々と尻尾を上げて歩く白い猫───ケイテイか……。家康は、ぼんやりとケイテイの姿を眺めていた。 「なぁ、家康ぅ~」  聞いたような声の先に、見たことあるような茶トラがいた……誰だっけ? 「馴れなれしいやんか? わけぇ~の。お前、誰だっけ?」  思ってもみない言葉に、信長は驚いた。 「ほら、あそこ。白猫の名前を教えてくれたやろ? どんだけ、高齢やっつーたって。2、3日前のことくらい覚えてるやろ? な、そんな目で俺を見るなよぉ~ 家康ぅ~」  信長は寂しげな瞳で家康を見つめた。  ...
火曜日(レビュー)

よつぼし苺の種のすべてが発芽か?

───火曜日はレビューの日。  五月七日にまいた種。小さな苺の種が発芽した……未だに自信がないのだけれど、苺の苗のカタチっぽくも見えてきた。きっとたぶん、苺だな? 前回、発芽を確認……否、確信した目は四粒中二粒だった。50パーセンなら上出来だろう。全滅よりも全然マシだ。  四つのポッドに水を与え続けて一ヶ月を余裕で超えた。もはやこれまで。そう思って、未発芽のポットの処分を考えていると、苺の芽らしい物体を確認した。そう、最初のふた粒は半信半疑で、ぬか喜びが怖くて、撮影しなかった小さな芽。それとよく似た双葉が見えて、今日もサヨリは元気です(笑)  普段食べる苺を思い出してほしい。苺の表面に見える白...
月曜日(畑の話)

プリンスメロン立体栽培

───月曜日は畑の話。  これまで話題にしなかったけれど、畑でプリンスメロンも育てている。もちろん種から発芽させていた。プリンスメロンを話題にしなかった理由は簡単である。育てる自信がまるでなくて、今日もサヨリは元気です(笑) だって、そうでしょ? 去年と一昨年、メロンにチャレンジしたものの、成功事例が一度もない。これにはさすがに凹んでしまった。だから、発芽程度じゃ喜べない。  慎重に、慎重に……。畝に植え付けたら記事にしよう。そんなぶらり散歩気分で、気長に苗の様子を見ていた───そろそろじゃ! 苗を畝に植えた翌日、幼い葉っぱがウリハムシに齧られた。齧られた葉っぱは穴だらけで、それはそれは無惨な...