2024-05-18

土曜日(ショート・ショート)

中二病、バカふたりの行く末を

「これ、可愛いだろ?」  お茶袋を指さして、あいつが俺にそう言った。  茶袋には猫のイラスト。そんなことはどうでもいい。こいつの所へ出向いたのにはワケがある。気になることがあるからだ。あいつが小説を書き始めたらしい……その真相を俺は知りたい。  中学時代、俺の夢は小説家だった。身を削る思いで作品を書いた。それを同級生に読ませると、みんなは俺の夢をバカにした。 「これで小説家になるつもり?」 あいつだけが、俺の夢を応援してくれた。 「いいんじゃね? なれよ、小説家に。本になったら買うからさ。買った本にサインしてくんねぇ~か?」  そう言って笑ってたっけ……。  遠い昔の話だ。大人になった俺は、夢...