白内障のオペに付き添って

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雑記・覚書き

───入院は?、麻酔は?、ドナーは?、成功確率は?。

てか、大丈夫?。

友人が白内障の手術をするという。僕の中で白内障は不治の病。オペだって大門未知子クラスの術式が妥当。だから、1ヶ月くらい動けなくなる事は容易に想像できた。

───10分で終わるから。

知ってる、それ、嘘でしょ?。地上最強の美女でもあるまいに、バイオニックはドラマの話。ジェミーの時代はまだ先だ。僕だっていい歳だし、取り乱したりしないから大丈夫。ホントのところはどうなのよ?。

───だから10分で終わるから。

いくら僕でもそれは分かる。目だよ、目。目のレンズを入れ替える施術にですよ、10分なんてあり得ない。全身麻酔が妥当でしょう。ダ・カ・ラ、本当の事を言いなよ。不自由あれば協力すから。努力は足し算、協力はかけ算って言うし。

───いつまでも昭和じゃねぇ、やかましい!。

僕がしつこく訊くものだから友人の方が逆にキレた。去年の秋の事である。その彼とはオペの数日後に顔を合わした。眼帯も無く普通に車の運転してた。見た感じ痛みも無いようである。「見える、見えるぞ!」とか言っている───アムロかよ。彼曰く、視力が1.5にまで上がったそうだ。

なんだか凄い。

その1か月後、オカンの口から同じ言葉が飛び出す。「来年、白内障の手術するから連れてって。10分で終わるって」友人の一件が幸いして取り乱す事も無く、先日、オペに付き添った。午前10時に眼科へ向かい、午後12時過ぎにはうどんを食べてた。目だよ、目。何この未来感。医療技術の進歩に多くの人々が救われた事であろう。

すばらしの一言に尽きる。

───でも、オペの前はざわざわだ。

付き添い共々一カ所に集められた。今日の患者は総数8名である。大画面からオペの手順と注意事項が流される。怖くないから、すぐに終わるから。そんな感じの演出だけれど、目だよ、目。目の中に消毒液をガンガン入れてる映像に、やらない僕でも身震いした。とある方のすすめから、昨年、眼科へ出向いたドキドキ感を思い出す。眼科へ行く。ただそれだけなのに食欲失せた。得体の知れぬ恐怖があった。

───だからオペは怖いんだって。

当然の如く場はざわめいた。耳に飛び込む血圧測定。「140デース。大丈夫みんなオペの前は上がるからねー」その結果たるや内科だったら全員アウト。周りを見渡すとお年寄りばかり、この雰囲気たるやデイサービスそのものであった。看護師さんへの質問の声もデカい。その気持ち、僕の胸にも届いています。オカンはまな板の上の鯛のように平然と椅子に座っている。オカンの順番は1番だった。点眼した麻酔が効くのをじっと待つ。

───女は強いのな。

徐々に周りからの口数が少なくなり、おじいちゃんの声だけ残る。男はそうなる。そりゃ怖いですよ、僕だってそうなる。看護師さんは手慣れたもので、おじいちゃんをやんわり論破。それこそまさしくプロのお仕事。

───瞳孔が開きましたね。

それ、一昔前なら息をしてない証だから。分かっていてもギョっとした。

看護師さんに連れられて、オカンはテテテとオペ室へ。やる事とやってる動作とのギャップに僕の脳がバグり始める。目だよ、目なのに、なにこのぶらり散歩気分?。それと同時に目だけは大事にしようと思った。オペ室に入ったと思った数分後。右目に眼帯を貼り付けて看護師さんとテテテと戻る。「もうやったのか?、オイ!」って感じある。

「痛かった?」

「わからん」

オカンは説明下手である。聞きたい気持ちは山ほどあれど、深掘り過ぎると喧嘩になるので黙るに徹した。怖さの後で興奮しているふうにも見えない。そんな事よりお昼のご飯が気になるようだ。ぼそりとつぶやく。

「うどん」

その数分後には支払いである。オペの費用は1万5千幾らかだった。目だよ、目。そのフレーズが頭を過る。今日、何度目?。そのまま調剤薬局へ。薬は3種で2百幾らか。目だよ、目。ドラッグストアで目薬買ってみ?、それ一桁間違ってない?、そんな気にもなる。

───うどん、うどん。

薬局を出るとオカンはテテテと最寄りのうどん屋に飛び込んだ。僕はいつものかけ小とおむすび1個にコロッケを添えて。オカンはざる小とおでんとおでん。2本目のおでんに手を伸ばした時、そんなに喰うのと正直思った。

───食欲は健康のバロメータ。

ナンボでも喰え。ふたり分の支払いは千円にも達していなくて、今日もサヨリは元気です。家に帰るとじっとしない。それはレベルを上げた直後の勇者のよう。喧嘩になるので心でつぶやく。

───今日は1日、ご安静に。

コメント

  1. スゲぇ
    目だよね~

    • そうなんよぉ〜。
      若い頃にはあり得んくてびっくりしたわ(汗)。

  2. お母様の手術が無事にすんで本当に良かったですね (笑)。食欲もあるなら一安心。でも、私も心の中で、お大事になさって下さい。ゆっくりなさって下さいねってつぶやきました。付き添いはご本人とは違うご苦労と心労があるでしょう。お疲れ様でした。雉虎さんもゆっくり休んで下さいね(笑)。

    • ありがとうございます。昭和の頃には難病だった病気も今では10分で施術が終わってしまうんですね。医学の発展と技術の進歩に驚きました。世の中には様々な病気があります。けれど、僕の想像を越えた所を医学は走っているのでしょうね。そして多くの人を救っているのだと痛感しました。

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