───やぁ、久しぶり、誰だか分かる？。
ナンマドル（台風１４号）最接近２日前。
僕は玉ねぎ種を植え付けたセルトレイを避難させた。畑に設置してある物置（スチールロッカー）の中にである。始めて育てる玉ねぎだもの、最善に最良を重ねてもまだ足りない気分である。
だってそうでしょう？、台風１４号は過去に例がない危険な台風。下手すりゃ家ごと浸水しそうな雰囲気である。その証拠に台風当日はもとより、台風前日から僕の地域一帯に高齢者避難勧告が発令された。高潮を懸念した避難勧告は香川県下の広範囲で発令された。
───何これ？。
玉ねぎも初めてだけれどスマホもデビューしたばかり。どこかの国からミサイルが発射されたかのような聞き慣れない警告音が流れかと思ったら、避難情報のメッセージ表示された。その後で女性らしきボイス流れる。あれだ…スマホって勝手に喋りはじめると、この世の終わりを感じるのな。不安に駆られて咄嗟に外を眺めると、買い物帰りのおばあさんが軽快に自転車を漕いでいた。
───これが嵐の前の静けさというやつか…。
強風に煽られてロッカーごとセルトレイがひっくり返れば即ゲーム終了！。そんなビジョンしか頭の中に浮かばなくて、心の煽り運転が止まらない。僕はテレビを観ながら悶々とした時を過ごす。嵐の中で畑を見に行くおじいちゃん。今ならその愚行が理解できる。家庭菜園でこれだものプロ農家なら尚更である。
───その９時間後、大きな被害も無く警報と注意報が解除された。
僕らの地域に大きな被害は無く、いつもどおりの日常が戻ってきた。台風の影響で外の空気が冷たく感じた。半袖では肌寒さを感じる程で、サヨリは今日も元気です。
バイクを走らせ畑へ向かう。真っ先に目についたのは大根だった。立派に発芽していた。春の緑肥として種を撒いた大麦も盛大に発芽していた。同じく緑肥用のホワイトクローバーも一斉に発芽を開始。夏野菜を片づけてから寂しく感じた畑が賑やかさを取り戻し始めた。
───じゅんこ、ももえ、まさこ…。
少し固くなったロッカーの引き戸を開く。本丸の畑のアイドル玉ねぎの確認である。じゅんこ、ももえ共に芽が伸び始めていた。ももえの方が勢いある。僕の中では一斉に全部の芽が出るものだと思っていたのだけれど、発芽率は半分以下で先行きが危ぶまれる。
───こんなものかな？。
すでに賽は投げられたのだ。今さら心配しても始まらない。反対側の引き戸を開いてまさこを確認。ロッカーに入れる時にも全く芽を出さなかったまさこである。今年は気温が高いから適温になれば芽吹くはず。仮に芽が出なければ、どこかで種の植え直しの決断も必要になるだろう。
期待よりも不安が勝っていたのだけれど、まさこも小さな芽を出していた。心配に心配を重ねたけれど、玉ねぎもイケそうな気がしてきた。
その勢いで、ゴボウ、ほうれん草、小松菜、細ネギの種も植え付けた。大麦の種が大量に余っていたので、それらはトウモロコシの畝にバラ撒いた。これだけあれば来年のスイカで使う敷きワラにも困らないだろう。
セルトレイに玉ねぎの種を植え付けてから１週間後の出来事である。
───猪の気配はあれから感じられない。
芋掘り予定日まであと１０日、このまま何事もなければ良いのだけれど。
コメント
発芽ラッシュ！まさこちゃんも、良かったぁ～。まずは芽が出ないとね。アイドルとしても、作物としても。以前、読んだ野菜栽培の本には、玉ねぎ栽培は簡単とあったけれど、現代においては、本来は簡単な事でも、気候が難しくさせている感じがします。(他の作物にも言える事ですが‥)適温なら発芽も生育も、簡単にしやすいでしょうに。種からは難しい‥、ほんとよく聞くけど、野菜も気の毒ですよね。本当は素直な良い子なのに、難しい子とか言われちゃって‥。
種からやってると言うとドン引きされますね。スイカの時は失笑され、苗を買えば楽なのにと続きます。けれど、今年植えた野菜の種は取っておいて、来年も植えようと企てているのでやはり種からやってみないとです。ブログも畑も1年目は様子見なので思い付いた事は全部やってみようと考えています。一個も芽が出なかったらどうしようとか思っていましたが、ゼロじゃない事が分かった経験は大きかったと思いました（笑）。
私も種から派です。畑は趣味で、本気のお遊びだからこそ、種から真剣勝負！。楽な方に逃げたら、面白さと感動が半減します。食べた後の種から栽培する事もあります。庭の柿の木と、夏みかん、金柑は、店で買って食べた後に、種を植えたら芽が出て、今では美味しい実を付けます。種から、何でもわりとイケますよ。お互い頑張りましょう(笑)
えっ、桃栗三年柿八年の柿ですか？、猿かに合戦の柿ですよね？。なんか…スゴイ！。