「お・・お稲荷ニャン♪。」
「お稲荷ニャンだろ?、サヨリちゃん。
普通につくったお稲荷さんの端っこを引っ張って、耳の形にすると簡単にお稲荷ニャンが作れるよ。この方法は、本物のいなり寿司にも使える方法だから、お料理研究家のアナタにもおススメです。」
「誰と話してんの?。」
「お料理研究家の誰かさんと。」
「誰かさんねぇ。」
「そう、誰かさん。」
「お稲荷ニャンは沢山作ったんですね、お父さん。」
「ここで重要なお知らせがあります。」
「にゃんですか?。」
招き猫は断念!
「お父さん、招き猫を諦めました。」
「にゃんで?。」
「形は作れるんだよ、招き猫の形は。でもね、」
「でもねと!。」
「着色で尽く失敗。やり方が間違っているのか、センスが無いのか知らないけれど、ホトホト疲れちゃった・・・。兎にも角にもキジトラは難しい。タビー柄は鬼門だったよ。」
「なんか・・・お気の毒。」
「でも、このままでは終われない。いや、終わらない。」
「終わっても良いですよ、お父さん。」
「1ヶ月くらいの間だったけれど、色々作ってきたじゃない。」
「色々作って来ましたね。」
「食べ物は作れそうな気がするんだよ。」
「ダイエット中でしたから余計に想いがこもっていたのでしょうね、お父さん。」
「だったら猫のフェイクフードを作れば良いじゃないかって。」
「あ~、それはアリかもしれませんね、お父さん。パン系とかなら得意でしょう?。お米も作れるから、少し前に流行ったカレー猫も簡単ですね。」
「パンの型はさっき作ったよ、サヨリちゃん。カレーライスを作る時にクリームシチューもハヤシライスも出来ちゃうからね。ここで質問です。12分の1スケールの最大の魅力は何だろう?。」
「可愛い!。」
「ブッブーッ!。材料が減らないでした。レジンも粘土も減らないからね、幾つでも作れるよ。そして、場所を取らないから大量生産しても置き場にも困らない。」
「それで、猫稲荷でしたか。」
「そういう事なんだよ、サヨリちゃん。」
「そうなると、出品作品が困る事になりませんか?。」
「困ることになるけれど、出来ないものは出来ないからね。ミニチュアパーツだけ作っておいて、それを繋げて何かに出来たりすると思って。」
「何も出来ないよりもマシという判断ですか?。」
「そういう事。やっている間にいい案が浮かぶかもしれないから。招き猫は、一時保留にします。」
「それはそうと、お父さん。」
「どうしたんだい?、サヨリちゃん。」
「キジトラ柄に文句でもあんのかよ!。タビー柄には罪はねぇ~ぞ!。」
「いや・・・そういうワケでは・・・。そして、せっかくの猫を殴らないで。」