「何の写真を見てニヤついているの?、何か良い事でもあったのですか?、お父さん。」
「良い事かどうかは分からないのだけれど、顔見知りの三毛猫に話しかけられてね。」
「顔見知りの三毛猫って?、ボクはそんな猫は知りませんよ。」
「サヨリちゃんは会ったことが無いのだから知らなくて当然だよ。そもそも別の猫を見るとシャーシャー威嚇とするじゃないか?。でもね、『三毛猫の99.9%はメス、オスの値段は3000万円』という記事のアイキャッチ画像の三毛猫はこの子だよ。」
「あ~~~、見たことはありますけど、この三毛猫はお父さんのお知り合いでしたか。お父さんの事だから、また、ネットでパクって来た画像なのかと思っていました。」
「パクるって、人聞きの悪い言い方はやめてくれないか、サヨリちゃん。少なくとも、お父さんは画像の盗用なんてしたことは無いよ。お父さんは、ドロボウは致しません!。」
「分かってますって。冗談ですよ。」
「冗談にも程があるわ!。」
「ところで、この三毛猫がお父さんに何の用事だったのでしょう?。普通に考えると、猫が人間を呼び止めるのは、餌が欲しいとかですよね。あ~~~!、お父さん、この子にご飯をあげているのですか?。それは、不味いでしょ!?。」
「お父さんは、飼い猫でも野良猫でもご飯を与えることは致しません!。僕がご飯をあげるのは、サヨリちゃんだけです!。」
「おとニャ~~~ん!。」
「サヨリちゃーーーん!。」
「では、何の用事だったのでしょう?。それこそ、緊急事態だったの?。」
「そんな事でも無かったみたい。写真に撮っているから、サヨリちゃんも見る?。その結末を。」
「見せて、見せてー!。」
三毛猫のお願いは、僕の影
「何をやっているのでしょうか?、お父さん。」
「僕も最初は何だろうって思っていたのだけれど、動かなくなった猫を見て理解したよ。この子、僕の影が欲しかったみたい。」
「影?。」
「そうそう。まだ、直射日光が厳しいからね。僕の影の中で涼んでいたようだよ。」
「『化物語』の忍野忍ちゃんみたいだね、阿良々木くん。何かいい事でも、あったのかい?。」
「ホントだね、キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードみたいだ。てか、忍野メメ化しているよ、サヨリちゃん。」
「失礼、化けました!。ところで、忍ちゃんは、どれほどの時間お父さんの影の中にいたのでしょう?。」
「うーん、10分くらいかな。流石にお父さんも暑さで辛くなって来たからね。ところで、早速、この子に名前が付いてしまったね。」
「そうですね、これからは忍ちゃんと呼びましょう。」
「でも、この子は飼い猫か野良猫か分からない上に、オスかメスかも不明だよ。」
「大丈夫ですよ、お父さん。最初はみんなボクが女の子だと信じ込んで、サヨリという名前にしたのでしょ?。」
「三毛猫のほとんどはメス猫って言われているしね。」
「大丈夫ですよ。お父さんが思うほど、猫は人間の事なんて何にも思ってはいませんから。猫の事は猫に聞けです。今日からこの子の名前は忍ちゃんです!。」
「そっか、そこまでサヨリちゃんが言うのならそうしよう。じゃ、忍ちゃんに会いに行ってみる?、ご挨拶を兼ねて。」
「それは断じてお断りします。それはそれ、これはこれ。お分かりですね、お父さん。」
「やっぱ、猫だ。」
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