───え〜！マルナカ？。
マルナカとは、地元では知らぬ者など存在しない、うどん県のご当地スーパーの名称である。古くからの対抗馬はマルヨシセンター。
───桃の日の、お昼ご飯はカロリーメイト。
水と一緒に流し込む。食べないのは良くない。食べなくては夏が越せない。スクーターを導入しても、わざわざ走らせるのも面倒で、かと言って、お弁当も恐ろしい。
麦わら帽子、純白のワンピース、透き通る白い肌。そんな美女の手作り弁当。そんな世界線などありゃしない。畑の井戸から前髪垂らしてやってくる。そんな貞子の襲来確率の方が遙かに高い。現在多忙な故、罰当たりと食中りは是非とも避けたい今日この頃。
───すべては自己責任なのである。
メイプル、チーズ、チョコレート。その日の気分でチョイスする。お昼ご飯は、カロリーメイトのヘビーローテーションがデフォとなる。慣れたけれど、慣れてない。控えめに言って、カロリーメイトに飽きました。
───明日は嬉しいうどんの日。
明日は片原町（香川県高松市）で仕事の予定。一汗かいて冷たいうどん。どこのうどん屋で食べようか？。天ぷら乗せる？、肉乗せる？。そんな、ぶらり遠足気分で眠りについた。最近、疲れが溜まっているのだろう。数秒で眠り、目覚めれば朝。外には広がる青い空、予想気温３０度、今日も一日がんばろう。
───細魚さん、お昼にしましょう！。
お待たせしました、お待たせし過ぎたのかも知れません。お待ちかねたお昼である。讃岐のお昼はうどんだよ。この仕事が終わったら、プロポーズするんだ。僕はウキウキ気分で助手席に乗り込んだ。
───何でだよ！。
目の前には商店街。
うどん屋だってあるでしょう？。たぶんだけれど、結構な数、あると思うの。何でだよ！、若い衆に問いつめる。キョトンとした顔、少し間をあけて彼はこう答える。
───うどん、飽きました。
そうなの？。
食べ物で揉めるのも面倒だし大人げない。マルナカの駐車場に止まっちゃってるし、別便の仲間らは店内に消えていったし、トイレもしたい。うどんは次回に、僕らはマルナカで弁当を物色した。
───食べたいものがありません。
唐揚げ、トンカツ、天丼、冷やしうどん…半額シール慣れし過ぎて、今、買うのもなんだかなぁ。夢、打ち砕かれた今。結局、カロリーメイトへと導かれる。
───そこで、バニラ味と第三種接近遭遇。
未知との遭遇、接触である。
メイプル＞チーズ＞チョコ＞フルーツ
バニラは強敵、下克上の予感しかない。どんな味でもカロリーメイトはパサパサで、正直、美味いと思わない。体によさげ───８０年代から刻み込まれたイメージだけで食べている。もしかしたら、乾パンでも同じなのかも知れない。数分後、僕のランキングの順位が変動した。
メイプル＞バニラ＞チーズ＞チョコ＞フルーツ
バニラが２位に食い込んだ。うまいね、これ、お菓子みたい。マルナカの駐車場、カロリーメイトを口に啣え、５分にも満たないランチタイム。
我は、まつはまのぶっかけうどんが食べたいぞよ。
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