「昨日は熟睡だったね、サヨリちゃん。」
「改まってどうしたのですか?、お父さん。」
「今朝はフライング気味に目が覚めたんだよ。でね、例によって僕の敷布団を我が物顔で寝ているサヨリちゃんの姿が『夏が来た!』って感じだったんだよ。もはや、ヘソ天は我が家の夏の風物詩になっちゃったみたいだね。それが上の写真だよ。」
「どうでも良いですけれど、ボクが寝ている時の写真撮影は、ボク若しくはマネージャーを通してくれませんか?。アポ無しでの撮影は、契約違反だと思いますが。これでも一応、善良なニャンコなのですから。」
「ヘソ天で寝ている時って、暑いからそうなってるの?。」
「ボクの言い分はオールスルーですか。そうですか、全否定ですか。」
「今朝は、そんなに暑さを感じなかったのだけどね。暑いかぁ〜、ヤッパ、暑いのかぁ〜。」
「えぇ、暑いのでしょうね。熟睡しているから自分でも分かりませんけれど、お父さんの部屋にはクーラーすらありませんものね。」
「あれ、知らなかったっけ。エアコンあるよ。たまに写真にも写り込んでいるよ、エアコン。でも、体を冷やすのは、体に悪いんだぞぉ。人間だってそうなのだから、猫だってよく無いと思うよ。」
「じゃ、去年や一昨年の過激な日々は、お父さんがエアコンを付けなかったからという理由だけですか?。」
「うん、そうだよ。でも、死を覚悟した夜には、扇風機回したし。扇風機、朝まで『強』で回したし。」
「ボクに扇風機が無力だって、知ってて言ってるんですか?。虐待だ!動物虐待だ。これは由々しき問題です。今夜から早速、エアコンのスイッチを入れて下さい。これは警告では無く命令です。」
「大きく出たね、サヨリちゃん。そんな事を言っても、キミ、夏の温度に慣れると、お父さんに寄り添って寝てるじゃない。お父さんは、汗だくだけれど、キミはイビキをかいて寝てるじゃない?。そもそも猫は暑さに強いんじゃ無かったっけ。」
「それは、寒いのでは無くって。」
「何?。」
「え〜っと、え〜。」
「お父さんにくっ付いていたいの?。くっ付いていたいんでちゅか?。流石のサヨリちゃんも、真夏の人気は一気に下がるもんなぁ。結局、お父さんのところで夏を乗り越えるもんなぁ〜。そうだろうなぁ〜、やっぱり…。」
「皆まで言うな。お父さんの考えてる事は、このボクが、全てまるっと、ヌルッと、バシッとお見通しですよ。分かりました。今年の夏も、よろしくお願いします。お父さん。」
「お父様だろ?。」
「ビチクソ丸…(小声)。」
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