仕事帰りにいつものスーパーへ立ち寄る。
自分の餌というよりも、愛猫サヨリの晩飯が目的だ。何だかんだあったのだけれど、サヨリも頑張って10歳超えを果たしたのだ。これからの余生は出来るだけ美味しいご飯を食べさせてやろうと、良さげなキャットフードを見つけては、サヨリのお皿に入れるのが、いつの頃からか僕の楽しみになっていた。いくら美味しいモノとは言うものの、9割方は老猫用キャットフードを選ぶのだけど、この日は、はごろもフーズのパッケージが目が止まった。漢前だ。
無一物
なーんか、とおい昔。夕暮れ時に放送していたアニメの台詞のような名前だ。煙草を咥えたイケメン金髪坊主が吐いてた台詞が頭を過る。
坊主が吐くには物騒な言い回しだが、この台詞の真意はこうだ。
こんな解釈だったか、無かったか。
まぁ、いっか。
サヨリちゃんのご飯、ご飯っと。
藪から棒に無一物を手に取ってみると、このキャットフードには、食品添加物などの余計な物は一切入っていないらしい。だから、だからこそ無一物という名前なのだ。漢っぽい。
うん、気に入った。
訳の分からんメーカーの製品ならば、そういうのを疑いの目で見るのだけれど、天下のはごろもフーズなのだから信頼性は高いはず。いつものご飯よりも15円ほど高額ではあったのだけれど、興味本位で無一物を一個だけカゴの中に放り込んだ。
俗に言うお試し購入だ。
後は、芋パンにうつつを抜かしていたサヨリの反応次第。
はごろもフーズ「無一物」の試食だニャ
事務局のドアを開けると99.9パーセントの確率でサヨリが扉の向こう側から鈴を鳴らしながら駆け寄って来る。鳴き声が聞こえない時は嫌な感じがしてしまうので、扉越しに聞こえる
ウニャウニャ
という鳴き声は僕とサヨリとの間では大切な儀式だ。そんなサヨリのお帰りニャ〜を聞きながら、取り出したるは無一物。ファーストコンタクトの反応は、ニャに?、という感じだったものの、喰そうと判断したようで、
袋ごと行く気満々。サヨリの中のやる気スイッチがオンされたようなので、いつものデッカい猫鍋に無一物を投入すると、行ったね。頭からダイブしてたね。カツオのプールに飛び込んでった。
サヨリはマグロよりもカツオが好き。やっぱりカツオを選んで良かったと思える齧り付きで、見ているこっちの顔が綻んでしまう。今のサヨリはこんなだけれど、一時期ご飯を食べない事があって、食べてくれるだけでも有難い。
ゴロゴロと喉を鳴らして食べるサヨリの背中からは、老猫という雰囲気は微塵も無くって、まだまだイケる気がするお父さんであった。
無一物を堪能した後は、いつものように僕の膝の上で寛いで寝まうサヨリ。それはそれで良いのだけれど、これから小一時間はトイレにも行けない賢者タイム。
その賢者タイムの間に、キジとらの更新は行われているのです。
たぶん。
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